27話
今回も短めです
私はふと隣に居るエルヴィンさんを見上げた。あっちも私のことを見下ろしていたようでパッチリと視線が合う。
そのまま数秒お互いを見つめた。深い藍色の瞳にやっぱり引き込まれそうになる。
「あの、私こんなに薄着なのに寒さを感じないんですけど…。」
「あぁ、それはこの城全体に魔法が掛けられているからだ。常に丁度良い温度にしてくれている。」
「そうなんですか。」
「まだ3月だから外に出ればもちろん寒いが、城の中でならどんな格好をしていても寒さや暑さを感じることは…どうした?」
「い、いえ。」
不思議そうにこちらを見てくるエルヴィンさんにとりあえず微笑んでおく。
少しビックリした。私がこの世界に渡ってきた時はまだ1月の半分も終わってなかったのに。
日本より暖かいなとは思っていたけどもう3月を過ぎているというならそれも当然だ。
その時エミーリアさんが2人が着ているのと同じデザインの黒の軍服を持って戻ってきた。
「とりあえず一番小さいサイズを引き出してきたけど…それでもちょっと大きいかもね。」
そう言って私の身体に服を押し当ててくる。確かに袖の部分が指先寸前まで被っているけどこれくらいなら問題ない。それにブカブカの服は好きだ。
「大丈夫です。これくらいならいつも着てる服と変わらないですし。」
「おっけー。それじゃあ早速着替えましょ。ほら!野郎は出て行く!!」
「分かった。外で待ってるからな。」
「聞き耳立てるんじゃないわよ?」
「しない…。」
まるで拗ねているように眉間に皺を寄せたままエルヴィンさんは部屋を出て行った。
目を覚ましてからずっと見てきたエルヴィンさんはこの間私と星空の下で言葉を交わしたエルヴィンさんと全く違って見えた。お姉ちゃんに頭が上がらないという彼の新しい
一面を知ることが出来てちょっと得した気分になる。
ふと耳元でクスリと笑う声が聞こえた。
「あいつあんな顔となりしてムッツリの気があるから気をつけてね。」
「は、はぁ…。」
ムッツリというとシュヴァイツだ。でも確かにエルヴィンさんとシュヴァイツはどこか似てるかもしれない。
「細いわねぇ…ちゃんと食べてる?」
「まぁ食べられる分はちゃんと食べてます。」
元々胃袋が小さいのか一度に食べられる量はそんなに多くはないけど、お腹が空くのは割と早い。だからその度に何かを口に放り込んでいたので総合すれば結構食べている方だと思う。学校じゃ休み時間毎に清花から貰ったお菓子を食べていたものだ。それでも太らなかったのはたぶん体質のせいだろう。
その後エミーリアさんに服を渡されて服屋さんにあるようなカーテンで仕切られている着替えの個室を探したけど見つからない。
私は彼女に着替えている間後ろを向いていて欲しいとお願いした。
「別に女同士なんだから気にしなくてもいいじゃない。」
「わ、私は気にしてしまうのでお願いですから後ろ向いててください…。」
「初心なのねぇ。」
可愛いわねぇ~とクスクス笑うエミーリアさん。ナイスバディな美人さんに自分の貧相な身体を見られたくないだけです。
軍服に袖を通すとやっぱり手の甲がすっぽり隠れて指先だけが辛うじて見えている。腰でベルトを締めて上とお揃いの黒のスカートを履いた。ちょっと短いような気もするけ
ど文句は言えない。
そういえばこの部屋までは普通に裸足でペタペタ歩いてきたけどまさか王様の前で裸足なんてことはないよね?むしろそれは私が嫌なんだけど靴とか貸して貰えないだろうか
…。
「あの…エミーリアさん。」
「振り向いて大丈夫?」
「えぇ。」
「あら!似合ってるじゃない!!素敵素敵!!」
「そ、それはどうもです。」
ファッションセンスなど欠片も無かった私は清花の好みでいつもゆるふわと言われる系統の服を着ていたから軍服のようなどちらかというとかっこいい系統の服は似合わないと思っていたけど、少しだけ安心した。
私はエミーリアさんに何か靴はないかと尋ねた。すると彼女はすぐに黒いショートブーツを出してくれた。サイズはピッタリだしヒールもそんなに高くないから歩きやすい。
無事に着替えを終えた私は衣装部屋を後にして、王様の待つ部屋へと案内された。
清花色に染まっていた玲那




