13話
ご夫婦に拾われて(?)から時間が経ち、夕方になった。
アイナさんとグースさんは町で小さな雑貨屋さんを営んでおり、私はその手伝いをさせてもらった。
といっても店番やましてカウンターの仕事は無理なので、商品を言われたところに並べたり、運んだりする力仕事を主に手伝った。
そしてヴァイスとシュヴァイツには店の前で集客をしてもらった。神獣なのにこんなことをさせてごめんね。
2人の店には色んな商品が置いてあって雑貨屋さんというよりは何でも屋さんの方がしっくりきた。
役に立ちそうな物から何に使うかよく分からない商品まで、正に選り取り見取りである。
空が赤く染まり、日が沈みかけた頃。夕食の準備のために一度店を閉めることになった。
ご夫婦 がとても満足した顔で簡単にお店の片付けをする。
「いやー今日はいつもよりたくさんお客が入ったなぁ!」
「えぇ!レナちゃん達が手伝ってくれたおかげだわ!」
「いや、私は特に何もしてませんし。ヴァイスとシュヴァイツのおかげですよ。」
実際ヴァイスとシュヴァイツの人気は凄まじかった。
2人がどうやって客を集めればいい?と聞いてきたから、適当に尻尾降って愛想ふりまいておけばいいよと言っておいた。
そしていざ2人が尻尾を振りながら店の前に出ると若者からお年寄りまで足を止める人がたくさん。
念話でお手って何?とかおかわりって何?とか色々と聞かれた。私は棚の整理をしながらまるでただのワンコだなと苦笑いしつつ丁寧に対処の仕方を教えた。
しかしなんだかんだで2人も乗り気だったらしく、ちょっと文句を言いつつも頑張って集客に勤しんでくれていた。
私も一度やってみたかったバーン!!て銃を撃つマネをして死んだフリをさせるというヤツをやらせてもらった。楽しかった。
『うああぁ。疲れたー。集客がこうも大変なものだったとはなぁ…。』
(お疲れさん。でもなんだかんだで楽しそうだったよね2人とも。)
『まぁ人間の楽しいとか嬉しいとかいう正の感情がたくさん溢れてたし。それに褒められるのも良い気分だったわ。』
『完全に犬っころ扱いだったけどな。でもまぁ、それには同意だ。』
アイナさんに入れてもらったココアを味わいながら2人と感想を言い合っているとふと町の入り口辺りが騒がしくなった。
そっと覗いてみると入り口にはたくさんの人だかりができている。どこからともなく「騎士団だ!!」と興奮した声が聞こえてきた。
その騒ぎに気づいた夫婦が店の奥から出てきてそこを凝視している私に教えてくれる。
「昨日ザヴェードの森の魔獣を討伐しに騎士さん達が来てな。今日の朝早くに森に出て行ったんだよ。」
「だから私達あなたが森の方向から歩いてきてるのにビックリしたのよ。ほんとに無事で良かったわねぇ。」
その騎士団と魔獣の戦闘を崖の上から覗いてちょっとだけ手伝いましたなんて言えるわけもなく、私はとりあえず笑っておいた。
世界各地の魔獣を倒して回る騎士はみなの憧れ。そんな騎士になりたくて毎年騎士養成の学校の門を叩く若者がたくさんいるらしい。
ただ世界各地とは言っても基本的には自分の国で出現する魔獣だけを相手にし、他の国からSOSがかかったときのみ一部を国外へ送るそうだ。派遣というヤツですな。
養成所には17歳から入ることができ、3年間徹底的に騎士の教育をほどこす。けど、その厳しさに耐えきれず止めてしまう人もたくさんいるんだとか。
ご夫婦の説明を「ふーん。そうなんだー。」と聞いた後、私は店の中に戻った。
グースさんが「見ていかないのか?」 と不思議そうにしていたけど、私はさっき騎士団の隊長らしき人に顔を見られたわけでして。
何かあるとも言い切れないけど何も起こらないとも言い切れないので、「ちょっと疲れましたから…。」と適当に返事をして店のカウンターからそっと覗き見ることにした。
椅子に座ってカウンターに突っ伏しながら顔だけ上げて町の通りに視線を向ける。
ほどなくしてあの隊長らしき銀髪藍眼の男の人が店の前に現れた。女性方の黄色い声が聞こえてくる。そりゃあんなに美形だったらなぁ。
その人は微笑み付きの軽いお辞儀をしながら進んでいく。店の前に立っていたグースさんやアイナさんにも同じように会釈をしていた。
そしてどうやら店の奥にいた私には気づかなかった様子。そのまま視界をログアウトしていく彼を見てホッとしつつ頭の片隅で銀色と藍色の組み合わせかっこいいなぁとぼんやり思った。
総合評価が100ポイント超えててビックリ。
ありがとうございます。
いつ更新が止まるか自分でもビクビクですが頑張っていきたいです。




