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不調和音

 「やぁ、アリス君。来てくれたのだね。」

 ニコニコと上機嫌で椅子に座り、診断書の整理をしていたドジソン。自身の診察室に来たアリスを見ると、手元にあった診断書をしまい、クルリと椅子をアリスの方向へと向けた。

「それで先生?わざわざ私を呼びつけて、何の用かしら?」

 相変わらず素っ気なく言うアリスだったが、上機嫌でいる今のドジソンにはそれが全く気にならない。

「いやいや・・・すまなかったね、わざわざ来て貰ってしまって・・・。いやね、今回はどうしても君の病室まで運ぶ事が出来ないものだから、こうして直接君に来て貰ったのだよ。」

 嬉しそうに言うドジソンに、アリスは不思議そうに首を傾げた。

「やたらとご機嫌みたいね・・・先生・・・。」

「あっはっは、そうかい?そんな事無いよ。それより、新しく来た友達はどうだい?うさぎ君とも、上手くやっているかな?」

 そんな事ありまくりだ、と思うアリスだったが、それよりもドジソンのその後の言葉に反応をした。

「上手くやっているかですって?冗談!あの二人、喧嘩ばかりして・・・困りものよ!」

 不満を漏らすアリスに、ドジソンは困る所が、更に機嫌良くなった。

「そうか、喧嘩ばかりか。うん、いいね。とてもいいよ。」

 そんなドジソンの言葉に頭に来たアリスは、怒鳴りつけるかの様に怒った。

「何がいいって言うの?ちっとも良くないわよ!私はイライラしてばかりよ!」

「いやいや・・・それがいい事なんだよ。」

 怒るアリスとは裏腹に、ドジソンは穏やかに説明をし出す。

「君は今、イライラしてばかりと言ったね?それは君に、一つの感情が産まれた・・・いや、大きく芽生えたからだ。イライラ、つまりは怒りだ。今まで何の興味も反応も無かった君が、ここまで感情的になって怒っている。それはとても人間らしく、素晴らしい事なのだよ。」

 ドジソンの言葉に、ふとアリスは考えた。

「怒り・・・そう言えば・・・こんなにイライラしたのも、怒ったのも、とても久しぶりだわ・・・。」

「うさぎ君が来た時は、どうだったかな?」

「うさぎが来た時・・・?」

 アリスは少し考え込んだ。

「うさぎ・・・確かにイライラする時もあったけれど、あの子はすぐに言う事を聞いたから、ここまで感情的に怒った事は無かったわ。あぁ・・・でも一度・・・。」

 ドジソンは言い掛けて止めるアリスを促す。

「一度、何かな?」

「一度・・・先生がチェシャを連れて来た時。あの後私、とても酷くうさぎに怒ったの。」

「ほぅ・・・それは何故かな?」

 アリスの話をじっくりと聞きながら、ドジソンは何気に診断書にアリスの言葉を書き取る。

「何故って・・・腹が立ったからよ。」

「腹が立った、その理由は?」

「理由は、あの子が先生ととても仲良く話していたからよ!」

 また少し強い口調になるアリスの様子も、ドジソンは診断書に記入をする。

「仲良く・・・か。どうして君は、うさぎ君が私と仲良く話をしているのに、腹が立ったのかな?」

「だって!私以外の人とあんなにも仲良く話していたのよ!腹が立つわ!」

 思い出してまたも怒りが湧き上がって来るアリスに、ドジソンはニコリと笑い言う。

「そうか、君以外の人と話すと、腹が立つのだね。君はその事が相当気に入らない様だけど、そう言った感情が何なのかを、君は知っているかな?」

 ドジソンの質問に、アリスは首を傾げた。

「そう言った・・・感情?」

「そう、うさぎ君が君以外の人と話をするだけで腹が立つ、気に入らないと感じてしまう感情。」

「感情・・・何かしら・・・。怒り・・・とはまた少し違う気がするの・・・。」

 困惑気味のアリスに、ドジソンは嬉しそうにその答えを口にした。

「その感情はね、嫉妬、と言うのだよ。」

「嫉妬・・・?私がうさぎに嫉妬しているとでも言うの?」

 更に首を傾げるアリスに、ドジソンは嬉しそうに笑った。

「はっはっっはっはっ。そうだったら嬉しいのだけれどもね。でもこの場合は逆だよ。君が私に嫉妬をしたのだよ。」

 そんなドジソンの言葉に、アリスは顔を真っ赤にした。

「なっ!私が先生に嫉妬ですって?そんな事あるわけないわ!どうして私が先生に嫉妬しなくちゃいけないの?」

 少々恥ずかしそうに言うアリスに、ドジソンはまた穏やかに説明をする。

「君はうさぎ君が私と仲良く話をしていたから、腹が立ったのだろう?それはきっと、私にうさぎ君を取られてしまうのでは?と思ったからではないかな?」

「それは・・・。」

「それとも、彼が君以外の人に興味を示したと思ってしまったから?君以外の人と、君以上に仲良くなってしまうのでは?と思ってしまったからかな?」

「それは・・・多分全部当てはまると・・・思うわ・・・。」

 言葉を濁しながら言うアリス。そんなアリスを、微笑ましく見つめながら更に言う。

「そうか、ならその感情は間違いなく、私に向けられた嫉妬だよ。そして大好きな友達を奪われてしまうかもしれないと言う、恐れ。君は既に怒り以外にも、嫉妬と恐れ、と言った感情の芽生えがあったのだよ。」

「大好きって・・・別に大好きって訳じゃ・・・。」

 恥ずかしそうにそっぽを向いて俯くアリスに、ドジソンは優しくアリスの手を握った。

「アリス君。君は確実に、様々な感情を取り戻しつつあるのだよ。現に最近、君の病室から笑はい声が聞こえる。これはとても素晴らしい事だ。とても人間味溢れる事なのだよ。」

 ドジソンのそんな言葉に、アリスは更に恥ずかしそうに顔を赤らめ、握られた手を振りほどいた。

「何よそれ・・・。感情ならちゃんと前からあるわ。」

「そうだね、誰でもちゃんと前から持ち合わせている。でも君は、長い事それを閉じ込めてしまっていたのだよ?それがまたこうして、再び外へと出ようとしている。外へ感情を出すと言う事はね、とても大切な事なのだよ。笑ったり、怒ったり、泣いたりと、それ

を外に出す事で、人は自分を表現している。生きていると実感する事が出来、楽しいと感じる事が出来るのだよ。」

「何それ・・・説教臭い・・・。」

「いいかいアリス君。感情を閉じ込め続けてしまうと、人は体も心も痩せ細ってしまうのだよ。何をしていても、楽しいとは感じなくなってしまう。だから、恥ずかしがる事なく、素直に自分の感情を表に出していいのだよ。」

 ドジソンの言う言葉に戸惑いながらも、何故か心が安らいでいくかの様に感じ、アリスの顔は和らいでいった。

「じゃあ・・・私はこれからもどうどうと先生に・・・その・・・嫉妬して、チェシャに怒ってもいいって事?」

 ドジソンは嬉しそうに頷くと、診断書を閉じ、椅子から立ち上がった。

「そうしてくれた方が、私も彼等も嬉しいと思うよ。さて・・・と。話も済んだ事だし、本題に入ろう。」

「本題?今のが本題じゃなかったの?」

「はははっ。まぁそうでもあるけれど。君にわざわざ来て貰った理由だよ。」

 そう言えばと、アリスはドジソンに呼び出された不満を思い出したかの様に不機嫌に言った。

「そうよ!話なら病室でも出来るのに、何でわざわざこんな所まで呼び出したのよ?」

「ははは。だから今その理由を見せるから、こちらへおいで。」

 ドジソンは笑いながら、診断室の奥にある扉の中へとアリスを手招いた。

「こちらって・・・そのドアの向こうに理由があるの?」

 アリスはドジソンに招かれるがまま、そっと覗き込む様に扉の中へと入っていった。扉の中は消毒液臭く、小奇麗ではあるがどこかゴチャゴチャとしている。そして部屋の真ん中には大きな手術台が置いてあり、その隣には沢山の医療器具が置いてあった。

「何よここ?手術室?」

 不思議そうに辺りを見渡すアリス。そんな中、ドジソンが部屋の奥から手招きをする。

「こっち、こちらだよ。」

 ゆっくりとドジソンの元へ行くと、その足元には大きな箱が二つ置いてあった。

「これだよ!君の新しい友達の体なのだけれどもね、2体あって・・・。流石にこの二つを一人で病室まで運ぶのは難儀だったから、直接君に来て貰った方が早いと思ったのだよ。」

「それで、わざわざ呼びつけたのね。」

 参った参ったと言う感じに、頭を掻きむしるドジソンに、アリスは一つ溜息を吐く。

「で?今度はどんな耳の付いた子なのかしら?」

 皮肉交じりに言うアリスに、ドジソンはハハハと笑いながら二つの箱の蓋を開けた。箱の中には顔のそっくりな男の子が、それぞれ入っていた。可愛らしいお揃いのベレー帽を二人共被り、洋服までもお揃いだ。

「あら?今度は、耳は無いのね、シッポも・・・。」

 箱の中の二人を交互にマジマジと覗きこむアリス。二人を何度も交互に見ると、首を傾げた。

「どうして同じ物が二つもあるの?」

「はははっ。彼等は君の言っていたトゥイードルダムとトゥイードルディだよ。まぁ・・・長い名前だから、ダムとディでいいかな?」

「あぁ・・・それで同じ顔の人形が二体あるのね・・・。」

 アリスは納得した様に、何度も小さく頷く。 

「でも、これじゃあどっちがどっちか見分けが付かないわ・・・。」

「心配しなくてもいいよ。ほら、ベレー帽を左に被っている方がダム。右に被っている方がディだよ。」

 ドジソンは指を指しながら、どちらがどちらかを説明する。しかしアリスは首を傾げたままだ。

「帽子の向きで判断って・・・。それじゃあ帽子の向きを変えてしまったら、分からなくなるわ。」

「大丈夫!ちゃんと体に、どちらかが分かる様印を付けておいたからね。」

 得意げに言うドジソンだったが、アリスは呆れ顔だ。

「じゃあ、後はアリス君に任せるよ。私は隣の診察室に居るから、何かあったらすぐに呼んでくれたまえ。」

 そう言い残し、ドジソンは隣の診察室へと戻って行った。


 診察室へと戻ったドジソンは、早速椅子に座ると閉じたアリスの診断書をまた開く。そして簡単に書かれていた先程の会話のやり取りを、事細かく書き直した。言葉一つ一つ、仕草や動作、反応と言った事まで、全てを書き記す。

「うん。思っていた以上の成果が出ている。もう一人増えた事で、彼女は自分の役割を見出しただろうな。二人が喧嘩をする。その仲裁に入らなければいけないと言う思念と役割。これはコミュニティーにおける基本的役割だ。これであのダムとディが加わるとどうなるか・・・。これからが本番と言った所かな・・・。」

 ドジソンは何度も診断書を読み返しながら、ウンウンと頷く。

「成程・・・医院長はただ単に彼等を治療の掛け橋にしているだけでは無く、治療そのものにしていたのか・・・。現実を見ない・・・それは他者を見ないと言う事でもある。しかし彼等との接触は、例え元は彼女の中に居た意識とは言え、他者との接触と同じ事になる。対人関係の言わば練習と言う様な物か・・・。小さな病室と言う社会。その中で様々な感情や役割を見出し、社会適合をさせる・・・と言った所かな?これで外への関心が高まればいいのだが・・・。」

 一人ブツブツと言いながら真剣に診断書を読み続けていた。そしてこれからの方針を考えながらも、医院長への報告書を書き出し、それをファイルに納めていた最中だった。突然隣の部屋から、ドタッドタッと物凄く大きな暴れる音が聞こえて来た。

「何だ?何の音だ?」

 突然の騒音に驚いたドジソンは、慌てて隣の部屋へと行こうと、扉に手を掛ける。扉を開けようとした瞬間に、思い切り向こう側から扉が開くと、血相を変えたアリスが飛び出して来た。

「先生!先生!何とかして!」

 取り乱しながら出て来たアリスは、そのままドジソンを部屋の中へと引っ張り込む。

「先生!あの二人を止めて!何とかして!」

 部屋の中に入ると、目を覚ましたダムとディが、取っ組み合いの喧嘩をしているではないか。部屋中を駆けずり回りながら殴り合い、部屋にあった道具や物はあちこちへと散らかされている。

「なっ・・・これは・・・いったい何があったのだね?」

 その様子に驚いたドジソンは、慌てて二人の間に割って入った。

「止めなさい!どうしてこんなに喧嘩をしているのだ!」

 二人の喧嘩を止めに入ったドジソンだったが、そんな事はお構い無しにダムとディの喧嘩は続く。

「僕が先に言うんだ!」

「いやっ!僕が先に言うんだ!」

 二人はドジソンを押し退けると、またも取っ組み合いをし始める。

「お前は寝てろよ!」

「お前が寝てろよ!」

二人に押し退けられたドジソンは、ドタッと、そのまま尻もちを付いてしまった。

「イタタタ・・・。」

 お尻を摩りながらゆっくりと立ち上がると、再び二人の間へと入り込み、今度は強い口調で言った。

「止めないか!何故こんな喧嘩をしている?」

 怒鳴りつける様なドジソンの声に、二人は一瞬動きを止めて言う。

「僕が先にアリスに挨拶をするんだ!」

「いやっ!僕が先にアリスに挨拶をするんだ!」

 そんな二人の言葉に、ドジソンは呆れた様子で言った。

「君達は・・・どちらが先にアリス君に挨拶をするかで、喧嘩をしているのか?」

「「そうだ!」」

 二人同時に答える。そしてまたも喧嘩が始まる。そんな二人の様子に、完全に呆れてしまったドジソンは、溜息を吐きながらアリスの元へと向かった。

「アリス君・・・君から言ってやってはくれないか?どちらからでもいいと・・・。」

 すっかり気が抜けてしまったドジソンに対し、アリスの体は小さく震えていた。

「アリス君?どうした、大丈夫かい?」

 アリスの様子がおかしい事に気付いたドジソンは、そっとアリスの肩に手を置いた。

「どうした?震えているよ?・・・アリス君?」

 心配そうに見つめるドジソンに、アリスは声を震わせながら言う。

「先生・・・私・・・怖い・・・。怖いわ・・・。」

「怖い?怖いとは・・・あの二人がかい?」

「違う・・・違うの・・・。あんなに言い争って・・・喧嘩をして・・・。伯父様や・・・伯母様達みたい・・・。」

 今にも泣きそうなアリスのその言葉に、ドジソンはハッとした。

(これは・・・遺産争いの時の光景を思い出してしまっているのか・・・。あの時のトラウマが、今のダムとディの激しい喧嘩で重なって・・・。これは危険だ・・・。)

 ドジソンは新たに二人の間に割って入ると、今度は力ずくで二人の体を引き離し、大声で怒鳴った。 

「止めなさいと言っているのだ!」

 激しい怒鳴り声に二人は驚き、一瞬時間が止まったかの様な空間が生まれる。そしてダムとディの体の力が抜けると、ドジソンは二人をアリスの目の前へと連れ出した。

「見なさい!君達の喧嘩のせいで、アリス君はこんなに怯えてしまっている!」

 アリスの体は小さく震え、頬には一つ、二つと涙が零れ出していた。そんなアリスの姿を見たダムとディは、険しかった顔から悲し気な顔へと変わる。

「あ・・・アリス・・・。」

「アリス・・・。」

 アリスは声を殺すかの様に、ヒクヒクと泣きじゃくる。

「見なさい、泣いてしまっているではないか!きちんと彼女に謝るのだ。怖がらせてしまった事をね。」

 ダムとディは互いに顔を見合わせた。

「ごめんよ、アリス。」

「ごめんよ、アリス。」

 謝る二人だったが、それでもアリスは泣き止む事が無い。

「怖がらせてごめんよ。」

「もう僕達喧嘩はしないから。」

 必死に謝る二人に、アリスは涙を拭いながら言う。

「ほ・・・本当に?・・・もう・・・殴り合ったり・・・しない・・・?」

 二人は飛びきりの笑顔で、何度も頷いてみせた。その笑顔を見て、ようやくアリスの顔にも笑顔が戻り、ニコリと笑った。

「よかった・・・。」

 嬉しそうに笑うアリスを見て、ドジソンはホッし、アリスの頭を優しく撫でた。

「よかったね、アリス君。それでは、改めて3人で仲直りをしなさい。私は席を外すから・・・。」

 そう言い残すと、ドジソンは部屋を後にし、隣の診察室へと戻って行った。


 ドジソンを後に、ダムとディは改めてアリスに挨拶をする。

「初めましてアリス。僕はトゥイードルダム。」

「初めましてアリス。僕はトゥイードルディ。」

 二人はベレー帽を取り、行儀よく同時に頭を下げた。

「知っているわ。ダムとディね。」

 穏やかに頬笑みながら言うアリスに、二人は嬉しそうに続ける。

「先程は失礼しました。」

「見苦しい姿を見せてしまったね。」

 二人の言葉に、アリスはニコやかに首を振った。

「アリスが優しい子でよかった。」

「でも僕等はアリスにお詫びをしなくちゃいけない。」

「お詫・・・び?」

 不思議そうに首を傾げるアリス。ダムとディは互いに向き合い手を繋ぐと、ゆっくりと互いの体を近づけた。 

「「楽しいショーをお見せしよう。」」

 二人同時に言うと、互いの体を密着させ、顔を少しづつ近づけ、そのまま二人は唇と唇を重ねた。軽く触れ合う唇は、次第に強くお互いの唇を貪るかの様に、激しくキスをする。アリスは顔を真っ赤にしながら、それを茫然と見つめていた。やがて二人の激しいキスが終わると、二人は嬉しそうに言う。

「どうだい?アリス。」

「同じ顔同士の口付け。」

「「とても不思議で楽しいでしょ?」」

 二人はケタケタと笑いながら、何度も何度もキスをした。

「もっ・・・もういいわ!分かったから、もうしなくていいわ!」

 顔を真っ赤にさせたアリスは、戸惑いながらも二人に言った。

「「アリスがそう言うなら、もう止めるよ。」」

 又も二人同時に言うと、密着させていた体を離し、アリスの方へと向く。

「ねぇアリス。それよりここはもういいよ。」

「アリスの部屋で遊ぼうよ。」

 ニコニコと無邪気に言う二人は、まるで善悪の区別もまだ付かない子供の様であった。アリスは無言で頷くと、隣のドジソンの居る診察室へと移動をした。

「ドジソン先生、私達、もう病室へ戻るわ。」

 机の上でセッセと仕事をしていたドジソンに声を掛けた。アリスの言葉に、ドジソンは無事収まったのだと安心をした顔をし、ニコリと笑う。

「あぁ・・・そうかい。そうだね、うさぎ君と猫君を待たせたままだしね。分かったよ、そうしなさい。」

 ダムとディは軽くドジソンに会釈をしてから、アリスはそのまま、診察室から出て行った。そんな3人を見送った後、ドジソンは深く溜息を吐く。

「ふぅ・・・。いつも通りのアリス君に戻っていたな・・・。しかし驚いた・・・・。彼女があんなにも取り乱している所など、初めて見たからな・・・。」


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