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永匣ー次こそは、君を殺さず愛したい  作者: 来襲さん


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7/10

7話

軽く面接も終わり、その場で採用を伝えられた。


「来週から、よろしくお願いします」


「こちらこそ、期待しているよ」


何か飲んでいくか聞かれ、僕はホットココアをお願いした。


苦いものは苦手だ。


カフェラテさえ苦く思える。


入れたての熱いココアが喉を通る。


甘かった。少し、舌に残る甘さだった。


昼過ぎの店内は静かだった。


数人の客が、それぞれの時間を過ごしている。


マグカップ片手にパソコンで作業をしている女性。


あっちの壁際のテーブルは、商談中なのだろうか。


スーツの男性と若い夫婦。


勉強中であろう学生も数人。


窓際の席に、1人で座っている女の子がいた。


休みの日なのに、制服を着ているから目立っていた。


ノートを開いて、何かを書いている。


ときどき止まって、外を見る。


ときどき肩くらいの長さの髪を耳にかける。


テーブルの上のスマートフォンは、触らなかった。


僕はそれを見ていた。


彼女はひとりだった。


しばらくして、女の子はノートを閉じた。


立ち上がり、カウンターへ向かう。


「ごちそうさまでした」


店員が軽く笑って


「またお待ちしております」


と言う。


女の子は店を出た。


僕は彼女の音が聞こえなくなるまで、カップを持ったまま動かなかった。


カップの湯気が少し、弱くなっていた。


少し、ぬるくなっていた。



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