2/10
2話
教室は騒がしかった。
誰かが飛び降りたらしい、とか誰?とか。
僕は席に座る。窓際の席は朝の日が少しだけ眩しかった。
「久世、お前見た?」
後ろの席の男子が声をかけてきた。
僕は少しだけ振り返る。
「うん」
「なんか、人が倒れてるって騒いでるよ」
「そう」
それだけ答えて、前を向く。
男子は困ったように笑った。
「久世ってマジで反応薄いよな」
ほら、と机に置かれるあの小さな白い花。
制服についていたらしい。
窓の外から花壇のあたりを見る。先生たちが集まっているのが見えた。
荒らされた花壇の中に彼女の姿はもうなかった。
少しだけ残念だと思った。もう一度見たかった。
チャイムが鳴り、教室内のざわめきが止まる。
僕は机に置かれた花を指で潰した。
簡単に崩れた。
その日は、緊急下校となった。
現場検証などをするらしい。




