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乙女探偵団が通る  作者: 白百合三咲
乙女の銅像
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のぞみの初恋

「のぞみさん、落ち着いて下さい。」

ももかはのぞみの背中を擦りながら抱き起こす。

「ありがとうももかさん。」

「ももかさん、結婚は親が決めたってどういうこと?」

「お相手の方はお父様の会社の取引相手の息子なの。私の意見なんて聞いてはくれなかったわ。」

「のぞみさん、もしかして他に好きな人いるのですか?」

一瞬間があったがのぞみはゆっくりと頷く。

「なら、奥様に話してみましょう。きっと分かってもらえるはずたわ。」

ももかさんはのぞみを説得するがのぞみは首を縦に振らない。

「ありがとうももかさん。でもその人とは一緒になれないわ。」

(一緒にはなれない?)

ももかはそれを聞いてふと思った。のぞみももしかしたらこの銅像の少女と一緒なのではないかと。

「のぞみさん、良かったら話してくださらない?」

「駄目よ。きっと笑われるわ。」

「私はそんなことしません。」

ももかはのぞみの手を握る。

「分かったわ。好きな人は他にいるわ。その方は貴女の察した通りよ。」

のぞみはももかの耳元に口を近づけその人の名前を囁く。

「呆れたでしょ。こんな話。」

「のぞみさん、私も一緒です。」

「ももかさん?」



「襖庭そのは」


のぞみの口から出たのは浅草歌劇団星組のすたあの名前だった。

 しかしそのはは女性であり、浅草歌劇団は未婚の女性のみの劇団のため在団中の団員は結婚できない。

「分かるわ。のぞみさん。私も団員の方が好き。」

ももかは先日星組の「紅はこべ」を観劇に行ったとき謎の騎士の男役に恋した。

「ありがとう。ももかさん。貴女だけだわ。私の気持ちを分かってくれるのは。」

二人は互いに抱き合う。


「お嬢さん達!!」

のぞみとももかが抱擁を交わしていると男性が声をかけてきた。地元の漁師だろうか?

「お嬢さん達、ここは危険だよ。」

「おじさん、何が危険でしょうか?」

地元の人なら何か知ってるかもしれない。そう思ってももかは尋ねてみた。

「お嬢さん達何も知らないのか?ここで飛び降り事件があったんだよ。」

直近の事件があったのは2週間。地元の女学生が飛び降りたのだ。

その前にはこの辺りの地主の娘、それから地元の小さな宿屋で働く若い女性もここから飛び降りているという。

共通点は女性というだけで年齢は10代半ばから20代、身分や地位はばらばらで飛び降りた女性達に接点はない。皆突然いなくなっては崖の下で遺体で発見されているという。

「この銅像の少女が寂しくて仲間を呼んでるんじゃないかって噂になってるんだ。」

その時、遠方から馬車から誰か降りてきた。

えりだった。

「おじさん、お話ありがとうございました。」

「ああ、もうここには近づくんじゃないぞ。」

「のぞみさん、行きましょう。」

ももかは男性にお礼を言うとのぞみを連れ馬車へと向かう。

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