失踪事件の謎
「まりさん行きますよ!!」
ここは中原公爵家の別荘の中庭。梅子はラケットをおもいっきり振り上げてにすぼーるをまり目掛けて放つ。白いワンピースを翻しながら。
「梅子ちゃん、やるわね。」
まりも負けじと打ち返す。
「あっ、えりさん、お姉様。」
えりとももかが玄関から姿を現した。ももかはこの日のために新調した丸襟のピンクのワンピースを着ている。
「ももか、えりさんとランデヴゥー?」
まりがからかうように尋ねる。
「違います。」
ももかはこれからえりと調査に行くのだ。
昨日えりは中原公爵夫人から娘ののぞみの護衛をお願いされた。しかし
「僕がお嬢様をお守りすることは容易いです。ですがもっと良い策がございます。」
それは噂や事件の真意を明らかにすることだ。
事件の真相を知れば恐れる物がなくなるとえりは判断したのだ。
容子夫人のような売春斡旋目的の誘拐か、それともエレナのように女性達を監禁して楽しんでる愉快犯がいるのか。それとも身投げした少女の霊が本当に仲間がほしくて呼んでいるのか?
「えりさん、ご覧になって。」
ももかは馬車から身を乗り出している。
「ももかちゃん、危ないだろう。」
「あれですわ。」
えりも窓を外を見る。窓の外からは崖の上に佇む袴姿の少女の銅像があった。
「ここで止めてくれ。」
えりが御者に馬車を止めさせる。
「ももかちゃんはここで降りてくれ。」
「あの、これから失踪した女の子が通ってた女学校に行くのでは?」
「それは僕がやる。だからももかちゃんは近隣の人達から情報を集めてほしい。」
「分かりました。」
ももかはえりに手を支えられながら馬車を降りると銅像のあるがけへと向かう。
少女の銅像は海を見ている。彼女は岸壁から飛び降りる前何を思ったのだろうか?
「ももかさん?」
「のぞみさん?!」
ももかに声をかけてきたのはのぞみだった。
のぞみは銅像を見上げる
「ねえ、ももかさんなぜ彼女はここから飛び降りたと思う?」
「なぜって彼女は女学校の同級生と恋人同士でだけどその方は婚約者がいてだから。」
「飛び降りる以外道はなかったのかしら?例えば二人で駆け落ちとか。」
女学生同士の駆け落ちは確かに今話題になっているし少女小説ではよくある。しかし彼女達は皆最後は心中を遂げている。生きて一緒になるのはほぼ不可能なのだ。
「やっぱりそうよね。女の子同士で駆け落ちなんて。」
のぞみは岸壁へと近づいていく。
「変なこと考えないで下さい。」
ももかがのぞみの腕を掴む。
「それにのぞみさんには婚約者がいるじゃないですか。」
婚約者といっても親同士が決めた結婚相手だ。
「お母様はわたくしの話なんて聞いてくれなかったわ。」
のぞみはその場に泣き崩れる。




