銅像の噂
ももかはえりの提案により顔を赤く染め硬直している。
「ももかちゃん、どうしたんだ?」
「いっ一緒に寝るなんて、ゆっゆきさんに悪いです。」
「ははは、」
挙動不審になっているももかを見てえりは笑い出す。
「ももかちゃん、僕達女の子同士だろう?」
えりはももかをベッドに座らせ腰に手を回す。
その時
「失礼致します。」
メイドが部屋を訪れる。
「えり様、奥様がお呼びです。」
えりとももかがメイドに連れられ向かったのは応接室であった。そこには中原公爵夫人と袴に赤い簪を付けた少女がいた。
「どうぞおかけになって。」
えりとももかは中原夫人に席を勧められるまま座る。
「実は貴女方にお越し頂いたのは娘の婚約披露会のことでですの。」
隣に座っている簪の少女が会釈する。彼女は中原公爵家の1人娘のぞみである。のぞみは大手出版社を最もいる財閥の御曹司と婚約にあたる。
「それでわたくしが心配しているのはこの街で起きている不可解な出来事ですの。」
メイドが新聞を持ってくる。
その噂には少女達の失踪事件が書かれていた。一件や二件ではない。複数の少女達がこの街で消えている。
そして彼女達はとある銅像の前で姿を消しているという。
「こちらです。」
メイドは銅像の写っている写真を指差す。銅像は袴姿にリボンを頭につけた少女で海の方を向いている。
「これ、道中見ましたわ!!」
ももかが声をあげる。
「この銅像は何のために建てられたのでしょうか?」
「供養とでも言いましょうか?」
えりの質問に中原夫人が口を開く。
この海辺の街には高等女学校がある。まだ明治の頃女学生の飛び降り事件があった。彼女は親しい学友がいた。二人は女学校の同級生で同じく教室で学ぶ中だった。二人は卒業したらこの街を出て二人で暮らそうと約束する。その約束をした場所があの崖の上である。
しかし片方に縁談話が舞い込んだ。お忍びでやって来た伯爵家の子息が彼女を見初めたのだ。両親は持参金に目が眩み二つ返事で承諾した。
残った片割れの少女は崖の上から身を投げて亡くなった。少女が亡くなってすぐ女の子達が海辺で事故に合うけとが多発。それで供養のため崖にあの銅像が建てられたのだ。
「それでえりさんにお願いというのは明日婚約披露のパーティーが終わるまで娘をのぞみを守って頂きたいのです。」
メイドがテーブルの上にトランクを置く。開けると中には大金が入っていた。
「こちらが報酬です。」
えりは少し考えると口を開く。
「お話は分かりました。しかし僕が娘さんを護衛するよりもっと効果的な方法がありますよ。」




