海の街からの依頼
最終章書きはじめようと思います。
「えりさん、見えてきましたわ。」
ももかは馬車の窓から顔を出し、風で帽子を飛ばされないように右手で押さえる。
窓の外からは一面に海が広がっている。
「ももかったらそんなにはしゃいで。」
隣に座るまりが微笑ましそうにみている。
「お姉様ったら子供ね。えりさんに呆れられるわよ。」
ももかの向かいに座るのは梅子だ。
「梅子ちゃん、僕はいいと思うよ。ももかちゃんみたいな娘。」
「本当ですか?」
ももかは顔を赤く染め座り直す。
なぜこの4人で馬車に乗って移動しているかというと、時は遡ること2週間前。
ももかと梅子の母である花江の親友中原公爵夫人から依頼が来た。彼女は毎年夏になると家族で千葉の房州の別荘で過ごしている。今年は娘の婚約披露のお祝いを兼ねているが房州では女の子だけが行方不明になるという事件が多発している。中原公爵夫人は心配してえりに護衛を頼んできた。
しかし
「えりさん、どうなさったの?」
花江がえりを自宅に呼んだ時は元気がなかった。ももかが心配して尋ねたところ
「何でもないよ。ただ」
「ただ?」
「ゆきちゃんがいなくなって寂しいなって。」
ゆきはえりの家を出てったのだ。
「そんなことがあったのですね。」
といっても喧嘩したわけではない。ゆきのデビュー作「桜の簪の誓い」が読者人気投票で一番になった。
連載も続いておりゆきは秘書を辞め出版社近くのアパートに引っ越したという。
ももかはゆきの代わりを買って出た。そして千葉に行くと知ったまりと梅子が着いてきたのだ。
「お姉様も梅子も遊びに来たんじゃないわよ。」
「ももかお姉様が一番はしゃいでるように見えるわ。」
その時馬車は停車し、御者が扉を開ける。
「到着致しました。」
えりが先に降りまりと梅子、そしてももがえりに支えられ下車する。
えり達が着いたのは丘の上の別荘だった。
メイドに迎えられ客室に案内される。しかし部屋は2部屋しか空いてない。えりと秘書が来ると聞いて二人分の部屋しか用意していなかった。
「申し訳ございません。えり様と秘書の方お二人で来られるとお聞きしましたので。」
「構わないよ。2人づつで使わせてもらうから。」
えりがそう言った途端ももかはまりと梅子を交互に見る。
自分はお姉様か実の妹と同室になるべきだろう。しかし
「梅子ちゃん、わたくしと同じ部屋にしましょう。」
まりは梅子を連れて1室に入る。
「じゃあももかちゃんは僕と一緒の部屋だね。」
ももかはえりに手を引かれ部屋に入る。部屋には机とイス、クローゼット、それから大きめのベッドが置かれている。
「この大きさならももかちゃんも一緒に寝れるね。」
えりの一言でももかは頬を赤く染め硬直する。




