えりかのカチューシャ
「ゆきさん!!」
梅子がゆきを呼ぶ。
「見て下さい。えりかお姉様がしてたカチューシャと同じです。」
梅子がカチューシャを手に取りゆきに見せる。
「用は済んだかい?」
えりがやって来る。
「えりちゃん、これえりかさんが着けてたカチューシャだって梅子ちゃんが言うの。」
「無地の赤いカチューシャなんてどこでもあるだろう。」
えりはカチューシャを手に取る。
(これは?)
「梅子ちゃん、これ君にプレゼントするよ。今日のお礼。お姉様と同じので嬉しいだろう。」
えり達はカチューシャを購入すると店を後にした。
「ねえ、えりちゃん、どうしてあのカチューシャ梅子ちゃんに?」
邸宅に戻るとゆきがえりに尋ねる。
「あのカチューシャ、赤いテープが貼ってあった。僕は明日マダムリーズの店に行ってくる。」
「マダムリーズの容疑は晴れたんじゃないの?」
「今度は捜査じゃない客として行くんだ。」
翌日梅子が女学校の教室に入ると級友達が噂話をしていた。
「ごきげんよう、梅子さん。」
「ごきげんよう。」
「ねえ、ご存知うららさんのお姉様行方不明になったまま帰ってこないのよ。」
うららは梅子と同じ級の少女だ。うららの姉は女優の花池さらである。活動写真の主演が決まってすぐ行方不明になったそうだ。
「それが最後に姿を見られたのは貴女の好きなマダムリーズのお店に入ったところなのよ。」
「マダムを疑ってるの?マダムはそんなことしないわ。」
「梅子さん、それじゃあ犯人は誰だというの?」
うららが食ってかかる。
「私犯人は分かったわ。これ」
梅子は昨日えりに買ってもらったカチューシャを見せる。
「今日学校が終わったら私と一緒に来てくれるかしら?さらさんの手掛かりが分かるかもしれないわ。」
その日の夕方一台の場所がマダムリーズの店の前で止まった。降りてきたのはえりだ。
「なんだこれは?!酷いな。」
店の扉には貼り紙が貼ってある。
「人さらい、パリへ帰れ、人身売買の仲間。」
えりは貼り紙を全てはがすと店内へと入る。
店内は暗く人影はない。
「すみません。」
声をあげるが返事がない。昨日出迎えてくれた日本人少女もいない。
「どなた?」
ほどなくしてリーズが奥から現れる。
ドレス姿だがどこか元気がない。
「大丈夫ですか?!」
リーズは倒れ込む。顔を見ると目は充血している。眠れていないのだろうか?えりはリーズを寝室へと連れていく。
「ありがとう。探偵さん。」
「何があったんですか?それに他の店員は?」
昨日からお店に無言電話があった。そして朝店を開けようとしたら店のドアに大量の貼り紙が貼られていた。店を開けるのは難しいと判断したリーズはサリーとお咲に休んでもらい店を閉めた。
「ごめんなさい。今日は捜査に協力できそうもないわ。」
「今日は捜査で来たのではありません。客として来ました。」




