ロシアから来た実業家
リーズの店にやって来たのはロシア人の紳士であった。白い軍服に長い金髪の髪を一纏めにしている。美青年である。
「ごきげんよう、ムッシュガローラ。」
「ごきげんようマダム。」
ムッシュガローラ。彼はロシアからやって来た実業家である。
「マダム、本日は新作のスイーツを持って参りました。マダムの店内は華やかですね。私の店も見習わなくては。」
ガローラは高島屋に店を開いている。リーズと同じブティックとスイーツの店である。リーズは同じく他国から来たこと、そして同業者であることから仲良くしている。
ガローラが持ってきたのはクッキーだ。ピンク、ブルー、イエローと色とりどりにコーティングされている。しかし数は店員の人数分しかない。
「さあ、お嬢さん方どうぞ。」
「ありがとうございます。後で頂きますわ。」
「ムッシュのお店はどちらですか?」
梅子が尋ねる。
「銀座の高島屋です。宜しければいらして下さい。」
ガローラから名刺を渡される。
「是非今度お邪魔しますわ。」
「じゃあ今から行くか?」
えりが声をあげる。
「マダムの店に案内してもらったし、捜査に協力してくれるお礼。」
「でしたら、お連れ致します。今日は馬車できているので。」
ガローラに馬車で連れて行かれたのは銀座の高島屋店であった。
ガローラは高島屋の1ふろあを借りている。洋菓子のお店とブティックを開いている。
「さあ、どうぞ。」
えりとゆきと梅子は洋菓子屋に案内され席を勧められる。
「君、」
ガローラはカフェガールを呼び止める。花のような洋装だ。
「彼女達にお茶と。それから新作のケーキを。」
「あのお代はいかほどでしょうか?」
ゆきが尋ねる。
「構いませんよ。その代わりまた私の店に来て下さいね。お友達を連れて。」
ガローラは少女達を店に案内して新作を無料で試食させている。それが彼の営業だ。少女達は店頭に再び買いに来てくれるという。
カフェガールは小さなショートケーキを4人分運んできた。
「えりちゃん、ケーキも美味しいけど私ブティックも見てみたいわ。」
「私も。」
ケーキを食べ終わるとゆきと梅子はブティックを見に行く。置かれてる商品はマダムリーズの店とさほど変わらない。
「ゆきさん、見てください。」
梅子が見つけたのは洋服の値段が書かれたタグである。
「嘘でしょ?梅子ちゃんこのワンピースマダムリーズの店の半額以下の値段だわ。」
「お嬢さん達、面白いところに目が行きますね。」
ガローラであった。
「私の店はマダムリーズとは違い富裕層だけでなく中流階級の奥方や職業婦人、お嬢さん達のような女学生もいらっしゃるので値段は安くしてるのですよ。」
「それでは利益は得られないのでは?」
「いえ、値段が安いとそれだけお客も集まりますし、商品も大量生産できますからね。」
「ゆきさん!!」
梅子がゆきを呼ぶ。
「これ見て下さい。お姉様のカチューシャと一緒だわ。」
梅子は手に赤いカチューシャを持っていた。




