浅草少女歌劇団
えりが麻友と共に向かったのは浅草少女歌劇団の劇場であった。
大正2年に宝塚少女歌劇団の発足により全国に似た歌劇団が多数作られた。この浅草少女歌劇団もそのうちの1つである。
どの歌劇団にも共通するのは団員は全員未婚の女性で男役と娘役に別れていること入団するには付属の音楽学校を卒業しなければいけない。
えりと麻友は楽屋口から通る。
受付を済ませると稽古場へと向かう。稽古場では麻友が贔屓にしている娘役のゆりなが1人バーレッスンをしている。白い長袖のレオタードにピンク色のスカーレットをはいている。
浅草少女歌劇団は花組、海組、星組と3つの組に別れている。
花城ゆりなは星組の主演娘役である。
麻友が部屋のドアをノックするとゆりなも気付きドアを開けてくれた。
「麻友さん、来てくださったのね。」
「ええ、助っ人を連れて。」
「助っ人ってこのもしかしたらこの方?」
ゆりなはえりの方を見る。
「初めまして探偵の小宮えりといいます。麻友ちゃんとは女学生時代からの付き合いでね。」
「まあ、私はてっきり初舞台の男役のどなたかと思ったわ。」
ゆりなは冗談を言いながら廊下にあるテラスに2人を案内する。
「ゆりなさん、君これに見覚えはあるか?」
えりは予告状を見せる。手に取り中身を見るゆりな。
「はい、これは歌劇団宛に送られてきたものです。」
劇団側は最初はゆりなに黙っていたがゆりなが噂で耳にした。ゆりな自身が劇団に問い詰めこの予告状を知ったのだ。
「誰か心当たりはあるか?」
「分かりません。」
「何か些細なことでもかまわない。例えばこのスカーレットピンパーネルという名前は?」
「ScarletPimpernelは次回作。御披露目公演の演目を英語にしたものです。きっとこの公演とかけたのでしょう。」
「脚本見せてもらってもいいですか?」
えりは脚本に目を通す。
「あの、主演の男役の方は本日とはお会いできますか?」
「襖庭さんですか?」
襖庭そのは。星組の主演男役で今日は商事雑誌の撮影のため今日は出版社に出向いてるという。
「分かった。ありがとう。麻友ちゃん出版社に行ってみよう。」
「襖庭さんを疑ってるのですか?彼女は違うと思います。本当に団員思いの方で昨日も遅くまで稽古に付き合って下さったのです。」
「疑ってるつもりはない。だからこそ聞き込みに行くんだよ。」
えりと麻友は劇場を後にした。
その頃劇場の表口では公演が終わり観客が出てくる頃であった。ゆきとまりと美伶は人混みの中ももかの姿を探すがそれらしき人影は見当たらない。その時
「ゆきちゃん?!」
振り返るとえりがいた。麻友と一緒に。




