えりとゆきの奮闘
「その役目僕に任せてもらえないか?」
そう言って入ってきたのはみずきだった。彼女は浅草にある少女歌劇団の元主演男役であり今はまりの専属ダンス講師をしている。
彼女ならかつての後輩を集められるという。
「宜しいのですか?先生」
「早く事件解決しないとまりちゃんがレッスンさぼるからな。解決したら遅れた分みっちりレッスンするよ。」
「はい。」
まりは気まずそうに返事をする。
「それからえりさんだっけ?君にも協力してもらいたい。」
みづきはかつての仲間と共に船員や売春斡旋業者に扮してももかを引き渡す現場に潜り込もうという。
「で僕は何をすればいいんだ?みづきさん。」
えりが尋ねる。
「君も僕達の仲間に加わってほしい。常日頃から男装してる君にしか頼めない。」
みづきはえりにも一緒に扮装して潜入してほしいというのだ。
「待ってくれ。僕は演技なんてできない。」
「してるだろう。今だって。」
みづきが笑いながら答える。
「まあ、えりさんは僕が鍛えてあげるよ。」
話はすんなりと纏まった。
その翌日えりはみづきに連れられてとある場所へと向かった。
そこはみづきが所持している練習場である。一面鏡ばりになっていてバーレッスン用のバーもある。
歌劇団時代は劇団の稽古場を使っているが退団してからはこの一室を買い取って練習に使っている。
練習場には複数の青年達が集まっていた。15人くらいだろうか。
青年には見えるが華奢な体つきからして皆女性だ。
「お疲れ様です。」
15人の青年、いや少女達は皆一斉にみづきに挨拶をする。お辞儀の角度も全員綺麗に揃っている。
「えりさん、紹介しよう。僕の可愛い後輩達だ。」
「初めまして。小宮えりです。」
みづきから教わるのは剣の使い方だ。歌劇団では殺陣師はいるが稽古をつけてくれたのは元軍人であった。
えりは剣の持ち方からまず教わる。
えりがみづきと剣術の稽古をしている間かゆきは高宮家へと向かっていた。高宮家に顔を知られていないゆきが潜り込むことになった。
「今日からお世話になります。」
ゆきはメイド頭に屋根裏部屋に案内される。ここがゆきが寝泊まりする部屋だ。ゆきはメイド頭からメイド服を渡される。
「これに着替えたら台所に来なさい。」
ゆきは着替えると台所に向かう。その途中、黒スーツの男とすれ違う。。
(誰かしら?男性の使用人はいないはずだけど。)
ゆきは彼らに話しかけようとする。その時。背後から肩をつかまれた。
「何をしてるの?」
メイド頭だった。
「あの、こちらのお屋敷には女性の使用人しかいないはずでは。」
「あの方々は旦那様の側近です。行きますよ。」
ゆきは不思議に思ったがメイド頭に呼ばれてそのまま台所へ向かった。




