第5話 頼りガイ
自分のでまかせから同行者としてシェードを呼び込んでしまったことに、アドラスは申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。そんなこととはつゆ知らず、自分だけでなくスケボーまでもが選ばれたことに、シェードは目をキラキラ、もといキラッキラ輝かせながらアドラスの周りをチクタク(体のひねりだけで進むトリック)ではしゃぎ回る。
「それでアドラスさん、次はどこ向かってるんすか?」顔だけをアドラスに向けて、アドラスが答えにくい質問をシェードが無邪気に投げつける。
「…つ、次はあそこだ。」そう言ってアドラスはもくもくと歩き続ける。
「え?どこすか?」自分の聞き逃しかと思い、シェードはマニュアル(前輪を浮かして、後輪だけで進むトリック)をしながら聞き返す。
「街の人口が多いが故に,外からの人間に対しても外向的で,犯罪率も極めて少ない,ほら,あそこだよ。」アドラスはシェードに想像力にすがるしかなかった。
「え?てことはぁ…シーヤンムスクすか?」「そけだ!」サラッとシェードが名前を出してくれた事に嬉しくて、アドラスは噛んだ。
「でもここからだと歩いて2日ぐらいかかるんじゃないすか?」シェードはショービット(板だけをつま先側へ180°回すトリック)をキメながらアドラスに言った。
「それでも行かなきゃよ。あと5人もいるんだ。2日でもう1人見つかるのなら楽なもんさ。」アドラスは今日イチのキメ顔をキメた。
「アドラスさん…さすがだわ。やっぱり重要な任務を任されるわけだわ!」シェードは手のひらで顔を隠すようにしてアドラスを称賛した。
(20歳になれば無条件で任されるぞ)アドラスはシェードに心の中で返事をした。
「よっしゃ、そうなりゃやっぱり俺の出番だわな!」そう言ってシェードはスケボーを地面に置いた。
「アドラスさん、乗ってください!俺のブエナビスタはいざって時の為にニトロを積んでる。シーヤンムスクなら半日で着くぜ!!なぁーに心配いらねぇ、俺に掴まってなよ」そう言ってスケボーの裏にあるスイッチを押した途端、スケボーから凄まじいエンジン音が鳴り響いた。
(キュン)シェードの頼り甲斐っぷりに、心の中で濡れたアドラスであった。




