第28話 世の中コロナ禍ことさらこのままされどもコトヨロ
フェルディーグたちと不穏な空気になっている中、ウィルゲンを連れて1人の男がアドラスたちのもとへやって来た。
「遠いところからようこそマジグレンへ、と言ってもまだどこからお越し下さったのかお聞きしていなかったですな。これは失敬。私、このマジグレンのトップを務めております、リフィールと申します。」
そう言うと、男は深々とアドラスたちにお辞儀をした。
紳士な対応にこちらも合わせるように、自分たちの素性そして旅を続けてマジレグンに来たことをアドラスは丁寧に伝えた。
「木村…ですか……それはなかなか遠方から来られたのですね。」
言葉ほど驚いていないリフィールに、逆にマフェスタが嫌な空気に飲まれていた。
(あの看板に書かれていた「シヅゑ」が、百歩譲って俺の知っているシヅゑさんのことならこの街の住人たち、少なくともリフィールやウィルゲンは木村のことをよく知っているはず。)アドラスはここへ来た目的の他にシヅゑに繋がる情報がないか模索していた。加えてワンピースの1000話目はどうなるのか、予想していた。
「その、ここにシヅゑさんという方がいると思うんですが、その人も木村出身だったかと。」今年引退した元ヤクルトスワローズ五十嵐選手のストレート並にアドラスは直球で聞いた。
リフィール「…さまだ」
アドラス「え?何ですか?」
リフィール「シヅゑさまだ。二度と間違えるな。少し知っているからといって次はないぞ」
突然のリフィールの豹変っぷりにアドラスやマフェスタだけでなく、シェードそしてフェルディーグやロンドまでもがびっくりしていた。(え
言い終わるとリフィールは一変して穏やかな顔に戻り、こう続けた。
「確かに、シヅゑさまも木村出身だったと記憶しております。しかしながら先程のあなたのお話を聞いたところ、探しているお人がいるということですが、その事とシヅゑさまとは残念ながら無関係ですね。」
「それは、どういう意味ですか?」
アドラスの質問に、火の呼吸、いや、ひと呼吸置いてから口を開いた。
「この街にいる者には十分に浸透している事実なのですが、シヅゑさまはこのマジレグンの人を、未来を護るためにこの街に来てくださり、今までも、そしてこれからも使命をはたしてくれているのです。ですから、何人が来ようとあの方は戻るという選択肢を選ぶことはないのですよ。まぁ、その探し人があの方だとは私は思いませんがね。ふふ、いや失敬」
「どうも胡散臭いなアイツ。シヅゑ本人に会ってみないことには真偽は分からない。どうするんだ。」
急に自分の後ろからマフェスタに囁かれたアドラスはびっくり半分、ドキドキが止まらないのが半分な気持ちになった。
これがキュンというやつか。アドラスはマフェスタに聞かれた質問はおろか、次週のワンピースさえもどうでもいいぐらいにときめいていた。




