第23話 老人は大切に
3人が目指す街、マジレグンへ向けてどれぐらいの時間が流れただろうか。アドラスの体を吹き抜ける風は彼自身を心地いい気持ちにしてくれたが、ふと後ろを見るとシェードとマフェスタが楽しそうに談笑しているのが目に映る。彼らも風圧と轟音でお互いの話し声が聞こえないから時折物凄く顔を近づける。男同士じゃないかと分かっていても、その雰囲気はまさにお似合いカップルのオーラそのものであり、イエローカードの1つでも出したい。アドラスはそう思って胸ポケットを物色してみたが、期限の切れたTUTAYAのカードと熟女キャバクラの割引券しかなかった。
「まぁた必ずきぃてぇぇんねぇ、ずぇったいよ、ぜーーったいじゃからのぉ」頭を小さく振りながら接客してくれたシヅゑさんをふと思い出したアドラスであった。熟女って世の中では80歳超えても言うんだなぁ。勉強になったわ。震えてるのは頭だけでなく、晩酌してくれる手もプルプル震えていたので、基本テーブルはビチャビチャである。付いた源氏名がアメー婆。なぜアドラスが本名を知っているのかというと、自己紹介の時に免許証を見せてきたからである。
アドラスは完全にハズレくじを引いたなと、誘ってきたギュータールや他の村人たちを睨んだが、ほとんどオー婆エイジ枠の婆さんたちで、みんなファミコンのセーブデータが無くなった時と同じ顔をしていた。
割引券の期限日には「あたしが死ぬまで」と書いてあるのを見て、フッあの婆さん、今ごろどうしてるのかね。ふと、想いにふけったアドラスは再びマジレグンを目指して突き進んだ。
しばらくすると看板が見えてきた。「マジレグンまで12km」もうすぐだ。更に看板の下には続きがあった。
「シヅゑまで12km」




