第20話 充電器はちゃんとした所で買いましょう
子ブタが新たに仲間に入ったアドラス一行は、共通の目的地マジレグンを目指していた。本来、友好のある街同士であれば、制限はあるものの、人や物を瞬時に送れる移動装置、アジュートルというものがある。お互いの街に装置があり、受け入れ体制が整っていれば人であれば200kgまで体調を害する事なく送ることができる。生命体でなければトントントントンヒノノニトンまで送ることができる。残念ながらシーヤンムスクとマジレグンは友好な関係ではないため、ブエナビスタ(スケボー)に乗るシェードがタイヤとIKEAのイスで作った即席車両を引っ張る形でマジレグンへと向かっていた。その速さ、実に180km/hを越していた。即席車両の上でアドラスの口は風圧で乾きまくり、子ブタの頭の着ぐるみは取れかかっていた。
1時間半ほど走り続けたころ、シェードがブレーキをかけた。
「どうした?シェード、んm…」マジレグンにはまだ到着してないだろうと言おうとしたアドラスであったが、口が乾ききっていたので閉じた瞬間暫く開かなくなった。
「ん?なんすかアドラスさん。いやね、ブエナビスタの電池が切れそうなんでそろそろ充電しないといけないんすよね。」シェードがスケボーから降りて電池パックを取り出した。
「ん………え?」やっと開いた口でアドラスは疑問を投げかけた。
「おまん、いん充電って言った?」まだ完全に開き切らない口で続けた。
「何言ってんすかぁ。充電ですよ、じゅ、う、で、ん。いくら俺のブエナビスタと言っても無限に走れる訳じゃありませんからね。」アドラスの疑問に対して、シェードはさも当たり前かのように答えた。
「念の為追加で聞くが、どこで充電を?」
アドラスの執拗な投げ掛けに、やっと無理難題を言っていることにシェードは気付き、論破されたコメンテーターのように苦笑いの表情を浮かべた。
「あるぜ……あるブー。充電器なら俺が持ってるブー」自分の動物の設定を忘れかけていた子ブタが、風圧で取れかかっていた着ぐるみの頭の中から充電器を取り出した。




