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ダメなわたしが転生したら、やっぱりダメでした――ドアマットヒロイン勝利のお知らせ!  作者: 赤城ハルナ


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追放の刑

★リアルざまぁ回です。

 ジャン・ヴァルジーという名のイケオジ、つまりコレットの伯父さんたちと一緒に屋敷に戻ったら、三人の住人が食堂で倒れていました。

 お嬢様は全力で吐いていました。


 えっ、汚い。誰も片付けないなんて、ホントに最低だな。衛生観念ナッシングだな!


「テルミナス、貴様、よくもコレットを!!」


 ドッカーン!!


 食堂に入るなり、ジャン伯父さんが、食堂で倒れている小太りクズオジを掴んで高々と引き上げ、グーパンで吹っ飛ばした!?


 す、すご~~!

 大男がグーパンすると迫力あるわぁ。

 ――死んでたりして、ナム~。


「お前が責任をもって男爵家を引き継ぐというから全てまかせたのに! リュミエールはどこだ!」

「に、兄さん……いつの間に帰って……彼女は去年……し、死んでしまって……」

「何ということだ、そんな重大なことを俺に知らせなかったのか!? 実家へは連絡したろうな、彼女は伯爵家のご令嬢だったんだぞ!」

「それは……だって、病気になってあっという間に死んでしまって……」

「リュミエールが病気になったとき、ちゃんと医者に診せたのか!?」

「も、もちろん!」


 リュミエールという人が去年死んだらしいのです。

 医者に診せたのか怪しいものだわ。


 リュミエールって、もしかしたらコレットのお母さん? 琴美の母は『留美恵ルミエ』だけど。

 クズ父はテルミナスなのか。琴美の父は『照実テルミ』だけど。伯父さんの名前は『ジョウ』だけど。

 照実はしょっちゅう競輪へ行ってたな。儲かったらお菓子を買ってくれたっけ。

 そこは良い父だったな。


「使用人はどこだ!? しかもこの二人は何者だ、まさかお前の後妻と連れ子か? 会ったこともないし、俺に知らせてもいなかっただろう、いつの間に連れ込んだんだ、どこの馬の骨なんだ!」

「そ……それは……」


 え?

 あのぽっちゃりお嬢様は後妻の連れ子なの?

 それなのに、わたしに威張ったり殴ったりしてたの?


 本当に最低最悪だな!


「お義兄様、言いがかりですわ! わたくしたちは病気になった前妻様のことをそれはそれは気遣って……」と、派手オバサン。

 恐らくわたしの義母。


「だったらなぜコレットを虐げた? こんなみすぼらしいお古を着せて! 気持ち悪いからお義兄様などと呼ぶな! 連れ子と共に出ていけ!」

「そ……そんな……」

「待ってくれ、兄上。これには深い訳が……」

「理由に深いも浅いもない、ろくでもない言い訳なぞいらん!」


「ねえ、あなたは伯父様の息子さん? それならわたくしの従兄だわ、わたくし、あの小汚い娘に毒を盛られたんですの……」

 隅で様子を見ていた、嘔吐物をドレスに撒いた『お嬢様』が、媚びるような態度をとりながらリュシアンに近づいた。


「毒ならもう死んでいるのではないでしょうか? 皆さんお話ができるではないですか」

 冷めた目でリュシアンが言う。

 冷静なヤツ。だけど死ぬって……随分極論を言ってるんですけど。


 それにしても……吐くなんて……お嬢様、虫でも食べたの?


「いいえ、もの凄く吐いてしまいましたし、身体が苦しくて死にそうなんですの……あの女の仕業よ!」と、わたしを指さす連れ子お嬢様。


「わたし、毒なんてそんな物は持っていません!」

 許せないわ、全くの冤罪じゃない!

「分かっているよ、コレット。落ち着いて」

 リュシアンがわたしをなだめた。


 いい奴だな、リュシアン。


「あ、あなたはコレットに騙されているのよ! この女はお母様を階段から落として殺そうとしたり、お父様の大事な書類をわざと燃やして財産をダメにしたり、わたくしのドレスに細工して恥をかかせたり、最後にはわたくしたちを毒殺しようと……」


「全て言いがかりです!」


 だから、そんなことやってないって!


「毒と言いますけれど、この貧しい、家畜のエサのような気持ち悪いお料理はどういうことなのでしょうか。あれだけコレットさんに仕送りをしていたのに」

 素敵な美人お姉様が呆れかえりながら言った。

「確かにね。仕送りの使い道を調べたほうがいいですね、お母様」と、リュシアンお兄さん。


「こ、これは、コレットが作って……」


「は? さっきから聞いていれば――どうしてコレットが料理なんかするんだ、お前たちはまだれ言を言うか!」


 ジャン伯父さんが小太りクズ父の首根っこを捕まえて立たせ、今度は思いっ切りぶん投げた!


 ビューン、ドッカーン!


 暖炉の角にぶつかって倒れるとき、グシャッと嫌な音がした。


「キャーッ、も、もう、やめてください、お義兄様!」

「初対面で、しかもどういった素性の者かも分からないお前に、お義兄様と呼ばれる筋合いはない。吐き気がする!」


 クズ父は口からドクドク血を流している。どうやら歯が折れたみたい。


 ざまぁ。


「お前たち全員出ていけ!」


 なんと!!

 クズ父一家が短時間で屋敷を追放された!

 リアルバイオレンス大男がDVバイオレンス一家を追放したわ!


 この屋敷、大丈夫なの?





 クズ父一家は屋敷から強制追放され、その後どうなるのかはどうでもいい。


 それよりも、わたしの立場は?

 コレットってクズ父の娘なんですけど……。


「十年ぶりに実家に帰ったのに、リュミエールは亡くなっているし、弟は得体の知れない奴らを連れ込んでいるし、コレットは可哀そうなことになっているし、気分が悪くなった。ロンダ、酒と温かい飲み物とツマミを用意してくれ!」

「ジャン、もう少し穏便にできませんの!?」

「できるか!」

「騎馬憲兵隊を呼べばいいではないですか!」

「そんな洒落たものがこんな田舎に来る訳ない。この町の領主はヴァルジー男爵家だ、これからは俺が法律だ!」


 あ~、領主が法律なんですか、そうですか。

 絶対王政かな、怖い。


「コレットが怯えています。二人とも静かにしてください!」


 リュシアン〜。

 アンタ、本当にいい奴だな。


 ジャン伯父さんは沸点が低いようです。

 これからはジャン伯父さんが法律。絶対怒らせないように振舞わなければ、マジで命がないでしょう。

☞琴美がしでかしたことは……最重要機密です。

☞ジャン・ヴァルジーの前では大人しくしようと決意する琴美であった。

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