表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダメなわたしが転生したら、やっぱりダメでした――ドアマットヒロイン勝利のお知らせ!  作者: 赤城ハルナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/9

毒メシの刑

「おいコレット、食事の用意をしろ!」

「はあ?」

「コックがいなくなったからお前が食事を作れ!」


 口と顎に髭のある、少し古びたモーニング姿の男爵様、もしかしたらクズ父――が屋根裏部屋にやって来て、ベッドでごろ寝しながらお腹を空かせているわたしを怒鳴った。


「……わたしは何もしてはいけないと言われています」

「あの二人の言葉なぞどうでもいい、聞かなくていい。使用人がいないんだ、だからお前が料理をするんだ!」

「……使用人がいない?」

「そうだ、お前のせいでな! 責任は取ってもらう!」


 しかしわたしは『お嬢様』である。

 なぜ『お嬢様』のわたしがコックの真似をしなければならないのでしょうか。

 理由は分からない。

 そもそもコックがいなくなったって、どういうこと?

 解雇したの? 自分から辞めたの?


 何を言っても無駄なので、地下の調理場へ行く。

 誰もいないんですけど。


 料理の材料は?

 ガスコンロは?

 お米は?

 お味噌は?


 ない。


 そもそもわたし、料理なんてマトモに作ったことがないのです。

 家庭科の調理実習は料理好きの人が率先してやりました。わたしは皿洗いをしただけ。

 カレーをレンチンとか、ミックスチーズを載せたパンをトースターでチンとか、カップ麺にお湯を注いで三分くらいならできるけど。


 そもそもガスコンロも電化製品もないんですけど。





「何だこれは」

「食事です」


 わたしが作ったのは、小麦を水で溶いて練ったものに塩と砂糖を加え、葉物を千切って入れ、お湯で煮たもの。

 ドロドロな何か。


 ホットケーキだって作ったことがないのに、わたしにどうしろと?


 そばがきというのを作った記憶があったので、試してみました。

 そばがきは、そば粉にお湯を入れて混ぜ混ぜするだけの、簡単な料理です。ただし、ダマにならないように少しずつ練らなければなりません。


 大きな鍋に水を入れて暖炉のようなオーブンのような場所の上に置き、たくさんお湯を沸かしました。


 今回はそば粉がないので小麦粉を使いました。

 給食で出た『すいとん』っぽいかな?


 二品目は、暖炉にジャガイモをそのまま入れて焼いたもの。焼きジャガイモ。

 皮をむいて半分に切ったから大丈夫だと思うけど、生焼けだったらごめんなさい。パンなんて焼いた事ないし、カレーなら作れるかもしれないけれど、お肉と玉ねぎとにんじんが見当たらない。

 そもそもカレー粉がない。


 三品目は、野菜をちぎって塩をかけたものを各人のお皿に盛りつけた――適当に。ドレッシングなんてどこにあるのか知らないし、自分で作れるわけがない。

 

 お茶なら入れられると思うけれど、どれが何の茶葉なのか分からない。

 香りは緑茶っぽい。少なくとも紅茶ではないような。

 コーヒー豆があったけれど、豆からコーヒーを入れたことがありません。


 じゃじゃ~ん、晩餐用お料理の出来上がりです!


 すいとん風小麦がき。(作者注:十分火を通してくださいm(_ _;)m)

 生野菜のサラダ。

 焼きジャガイモ。

 緑茶もしくは紅茶。


 お肉と魚はないけれど完璧!

 わたしの夕食よりも豪華じゃない!





「ま、マズイ! 何だこの料理は!」

「こんな家畜のエサのようなもの、食べられるわけないでしょう!」

「最低! どこの残飯!?」

 ガっちゃーンと、お皿を払って割れる音がした。


 テーブルを見ると、収入の一部を失ったひげ面のオジサン(男爵様、まさかとは思うけれどコレットのクズ父?)と、階段落ちして足を引きずっているオバサン(まさかのクズ母? クズ継母?)と、ドレスがほつれて恥をかいたお嬢様(まさかのクズ姉? クズ異母姉? クズ連れ子?)が、しかめ面をしてわたしを睨んでいる。


「コレット、今すぐパンを買ってこい!」

「こんなゴミはさっさと片付けなさい!」

「お菓子も買って来て!」


 ナ、ナンダッテー!? オマエラハナニヲイッテイルノダ!?

 もう夜なんですけど。





 わたしは仕方なくお金と、麦わらで編まれたカゴをもらって屋敷の外に出た。

 こんな夜更けにお店なんて開いているのかなぁ……コンビニなんてないだろうし。営業してたとしても、この世界でお買い物をしたことがない。

 お金の価値も物価も知らない。


 第一、ここ、どこですか?


 ウッ、寒い! 初冬ですよ!

 わたし、古ぼけた長袖ワンピースしか着ていないですよ!

 フリースコートプリーズ!!!


 何だか哀れなコゼットになった気分です。


 そうか、わたしはコゼットなのか。

 ほうきを持って玄関の掃除をすれば、完璧にコゼット。

 コゼットというか、コレットですけど。

 歌っちゃおうかな?


 けれど……。


 そもそもわたし、この世界に転生してから屋敷の外へ出たことがない。

 お店がどこにあるのか知らない。

 町の名前も、国名さえ知らない。

 男爵家の苗字も知らない。


 文字は仏語っぽいです。

 たぶん発音も仏語っぽいです。

 仏語を学習したことがないわたしが、なぜ言葉を理解できるのか不思議です。


「はぁ……お腹空いたよぉ」


 もしもわたしがコゼットなら、夜の森に行けば見知らぬオジサマに助けてもらえるはずじゃない?

 大きくて強くて頼もしいオジサマはいずこ?

☞次回は『告げ口の刑』です。とうとうお約束の頼もしい救世主が!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ