番外 at アーニーの家
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
ようやく全ての視察業務が終わってウエストエンドへと帰って来たが、土産と土産話を持って訪れた神殿ではニコが僕の帰りを待ちわびていた。
「待ってたわよ礼二くん。早く話聞かせなさいよ」
「あれ?もしかして聞いてる?」
「もちろん。なによ、ウエディング巡業だとは聞いてなかったわよ」
「成り行きだって成り行き。でもやって良かった。っていうかもっと早くやれば良かった」
「礼二くんそういうとこおおざっぱだもんね。繊細そうだったゲームのランカスター公とは雲泥の差よね」
ニコに言われるのは甚だ不本意である。
「それにしても五児の母になった時はさすがにあたしも笑っちゃったわ」
「それも成り行き。でもみんな可愛くってね」
「あなた小さい生き物好きだものね」
「大きいのも好きだよ」
「五人揃えてお祝いしないの?」
「いつかしようと思ってる。少しデュトワ侯爵とも話したけど、三か国あげてのお祝いとなると大規模になるから、調整とか、その他諸々ですぐって訳にはいかないって」
「年単位?全員そこそこ育ってからなら丁度いいんじゃない?」
「うん。三歳の誕生日とかを一堂に会してやろうかと思ってる」
僕は言った。七五三、その時だけは五つ子集めた記念のお祝いにするつもりだと。今度アルバートにも相談するつもりだ。
その後、例の『恋エロ』オペラ化の話をして、ニコを絶叫(喜びの)させてから、僕は神殿を後にして、来月から長期出張に出る予定のアーニーを訪ねたのだ。
「アーニー、それじゃあ最初はウルグレイスから?」
「外交を考えたら優先すべきだろ?」
「おっ、分かってるね~。その通り」
ウルグレイス、エトゥーリアと済ませ、その後がエンマやレイジタウン。クラレンス国内は副監督に丸投げらしい。
「クラレンスはレベルの高い魔法の使い手が多いからな。任せてあんだよ」
「ウルグレイスも魔法レベルは高いけど?」
「ここにはお前がいるだろ?」
アーニーとは今までもこうやって力を合わせてきた。
僕が領を飛び出しヴォルフとあちらこちらに出かけてやらかしてる時も、いつだってアーニーは僕の代わりに街を育ててくれたのだ。
それだけじゃない。アーニーはエンマの別荘を建てる時もやレイジタウンの整備にも関わっている。
頼りになるフィールドマネージャー、それがアーニーだ。
なんだかんだで僕と離れたがらないヴォルフと違って、意外にもクールなのがアーニーの面白いところだ。
ヴォルフはウエストエンドに居る時はわりと一人でフラフラしているが、僕が領外に出る時は必ず付いてくる。
逆にアーニーは、自分が暇なときは「部屋に来い」とか「一緒に飯食おう」とかやたら誘うし、断るとギャンギャンうるさいのだが、そのわりに自分は僕にも言わずにあっさり出かける。いつの間にかクーデンホーフ領に出かけて2~3日留守、とかザラだったりする。
自由気ままさはシャリムと似ているが、また種類の違う気ままさなのだ。
ベッタリしないところがアーニーの魅力でもある。が、さすがに長期出張前だし、今日ばかりは労いにやってきたのだ。
「お行儀悪いよアーニー。そっちに座って」
「いいじゃねぇか」
彼はさっきから僕の膝に頭を乗せて、膝枕状態でジャーキーを齧っている。
この膝枕は僕がしつけてしまった習慣だ。
あの頃のアーニーはまだ大人になり切れていない、褐色の肌としなやかな身体が眩しい少年以上青年未満で…それはもうカッコカワイくてついつい甘やかしてしまったのだが、今でも膝枕はアーニーの特権である。
「なあレジー、俺の作った巨大な街に何点つける?」
「120点、それからアーニー、俺たちが作った街だからね」
「わりい」
アーニーの言う巨大な街とは、自分の関わった国全てを含めた、マップ全域を差すのだろう。
気が付いたらそこは一つのマップになっていて、フォルダのタイトルには『礼二』と名前が付いている。感無量だ。
「…アーニー、アーニがいなくちゃここまで出来なかった。僕の街をいつも守ってくれてありがとう」
「あん?何言ってんだよ。お前があの時俺を連れ出してくれたから、俺たちは人でいられた。感謝するのはこっちだ。見ろよ、ガキどもも今では一人前だ」
薄暗いスラムで子供たちを守った縄張りのボスは、今もみんなに慕われている。
アーニー、僕の自慢、金眼の黒猫。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




