「あの曲に会いたい」シリーズ(その59) ー マラッカ
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
マラッカ
1979年に日本のロックバンド、PANTA & HALがリリースした曲です。
PANTA & HALはロックミュージシャン、パンタが率いるバンドです。
このバンド、メンバーが凄いのであります!
日本のロック・ポップス界のレジェンドが集結した驚異的なバンド、と称しても大袈裟ではない気がします。
メンバーお一人お一人の紹介は省かせていただきますが、私にとっては、何と言っても偉大なギターリスト、今剛さんの存在が大きいのであります。
(大?)昔、私の友人宅で、友人が聴かせてくれた「頭脳警察」というバンドで、初めてパンタを知りました。
「うわっ、何このバンド?めっちゃ過激じゃん!」
これが私のパンタの第一印象でした。
もう覚えていませんが、いわゆる反体制全開の政治的なメッセージの歌詞が多かったように思います。
(随分後になって調べてみたら、やはり1970年代の日本ロックシーンを代表する、最も過激でスキャンダラスな伝説のバンドだったのであります。)
正直、当時の私には、その世界観はあまりにも遠く感じられました。
以来、パンタを聴くことはありませんでした。
そう、PANTA & HALを聴くまでは…
それから数年後、「頭脳警察」を聴かせてくれた同じ友人宅で聴いたのが、この≪マラッカ≫でした。
その友人は、おもむろに何も言わずにあるLPレコードに針を落としたんですね。
すると、サンバ・ホイッスルとパーカッションによるサンバのバツカーダのような演奏が勢いよく始まります。
そして、緊張感のあるピアノ、ベースが被さってきます。
(おお?カッコいいぞ!コレ!!)
私はサンバやボサノヴァも好きで良く聴いていたのですが、ふと思ったのです。
(アレ?彼って、ラテンも聴いてたんだっけ??)
すると、日本語のボーカルが入ってきたんですね。
「え?コレ誰?」
私は彼に聞きました。
彼は、ニャッと不敵な笑みを浮かべて言いました。
「パンタ」
その瞬間、私は仰け反りながら叫んでいました。
「パンタ…って、あの過激なバンドの?
…………うっそそそぉぉぉぉ〜!!」
友人の顔には”してやったり”の笑顔が浮かんでおったのです。
(“不敵な笑み”あたりからの彼とのやり取り、かなり私の脚色が入っております。実際はどうだったか覚えてニャイ…(^^;;)
圧倒的に洗練されたメロディー、アレンジ、迫力の演奏力、そしてパンタの熱いボーカル。
とても「頭脳警察」のパンタと同一人物の音楽とは思えなかったのです。
(これは本当です。( ◠‿◠ ))
この曲は、曲名と同じタイトルのアルバム≪マラッカ≫のオープニング・トラックだったんですね。
アルバムを通して聴いてみて、その全曲が素晴らしかったのであります。
友人が≪マラッカ≫の歌詞の解説をしてくれました。
タイトルの「マラッカ」とは、マレー半島とスマトラ島の間にあるマラッカ海峡のこと。日本が中東から輸入する石油の大半が通る、日本の生命線とも言える海峡なのだそうです。
そしてこのマラッカ海峡は、現在でも日本にとって重要なオイルロードであり続けています。
歌詞では、巨大タンカーが重油を積んでその狭い海峡を進む緊迫感が描かれており、1970年代のオイルショックの時世を反映した曲だったのであります。
メッセージ色の強い曲には興味が向かなかった私ですが、友人の解説を聞いた私はこう口走っておりました。
「うわっ、カッコいい!」
頭脳警察のようにメッセージを真正面からぶつけるのではなく、当時の緊張した時世の断片を、緊迫感あふれるビジュアルとして歌い上げるスタイルに”斬新さ”を感じたんですね。
以来、私はパンタの大ファンになり、ライブにも何度か足を運びました。
ですが、友人は私の「カッコいい」がお気に召さなかったようで、怪訝な表情で私を見ていた気がします。
彼は、あの過激で反体制全開のメッセージバリバリの「頭脳警察」以来のパンタの大ファンです。
きっと、私の”ミーハーな言葉”が不快だったのだと思います。
私は彼に隠れてパンタをガンガン聴くようになっておりました。「頭脳警察」時代を除いてですが…
(「頭脳警察」のファンの方、ごめんなさい!)
m( _ _)m
え?「何故”彼に隠れて”なんだ?」ですって?
だって、彼とパンタの話になると「頭脳警察を何故聴かんのだぁー!」とか「お前はパンタの本当の凄さを分かっとラーン!」とか言われそうで…
でも逆に、背徳の快感もちょっとあったりして…
てへっ(ꈍᵕꈍ)
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「マラッカ PANTA & HAL」)




