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元人間の天狗徒然紀行  作者: 唐墨 いくら
第一章 山籠もり編
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その十七、良い子のみんな、無茶は良くないよ!

本当に、無茶はしたらした分自分に返ってきますのでご注意を。

今回の光翼はアカンことしてますな。


 ここ最近はずっと雨が続いている。おかげで魚はほとんど取れないし、雨だからぬかるんで歩く場所は限られるわ、翼が濡れてしまって飛びにくいわで食糧難に陥っている。


 米はなくなったし、山菜もこの季節になるともう立派に成長しちゃっている。果実が熟れてくるにはまだ早いし...。この際、釣りの成功率が低くとも魚を獲ってくるしかない。幸い、羽は焚火にあたって渇いているし、しばらくの間は飛べるだろう。


 皮脂でコーティングされている翼は、多少の雨や水ならはじける。雨合羽を何で持ってこなかったのだろうと後悔しながら滝つぼ洞窟から飛び出す。フィも最近雨ばかりで体を含ませながら寝ていることが多い。今日はたくさん魚を獲ってあげたいな。


 ビシビシと顔や体に雨粒が当たる。そりゃそうだ。大雨の中をスピード緩めながらも、傘も差さずに飛んでいるのだから。ちょっと痛い。


 いつもの池を見ると、水かさが増して、どんよりと濁っている。いつもの足場が水に沈んでおり、今にもそばの斜面へと流れ出そうだ。


 しょうがない、もうちょっと遠くなるが向こうの川まで行こう。


 あそこの川は先日の夜に見た村か町に近いが、そんなこと気にする状況ではないし、人がこんな大雨に山へ出るなんてありえない。まぁ、私は人のこと言えないんだけど...。


 飛んで行った先の川は、増水していていかにも危険だが、岩場に立てばまだ釣りはできる。釣れる保証はないが、こっちは食糧、つまり命がかかっている…!


 「ていやぁ!」


 自分への喝もかねて気合を入れて投げいれる。


 待てども待てども魚は釣れない。というか、今日は出てくる気配がない。


 「岩場に隠れているのかなぁ。」


 ちょっと大きめの岩を持ち上げて、今まで自分の足場だった岩にガ――――ンとぶつける。すると、


 気絶して死んだような状態になった魚が次々と浮かんできた。それを流されてたまるものかと急いでかき集める。


 「ものは試しとひらめきやな!当分は焼き魚で飢えをしのごう。」


 すでに体がびしょぬれになり、寒気を覚えた光翼は急いで焚火にあたるべく、その場を去ろうと飛び立った。


 「ぐぇ…羽と、体が重い…」


 長い間雨にあたり、すっかり水分を含んでしまった翼と服は、光翼の飛行能力を容赦なく落としている。それに加え、なんだかいつもより体が内側から重く感じる。早く帰りたいのに翼が思うように動かず進めない、といった感じだ。


 川の流れに沿って急いで戻ろうとしたところ、一筋の太い一撃と轟音が光翼の目の前をかすった。


 一瞬の出来事で目を回した彼女の翼は止まり、そのまま川へと落下していった。



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