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元人間の天狗徒然紀行  作者: 唐墨 いくら
第一章 山籠もり編
15/37

その十二、脱出

短くてすみません。まだまだ続きます。


 「「誰だぁ?!」」


 呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンとはならずに、びっくりして少し尻もちをついてしまった。しまった、村の人たちに気づかれちゃったぁ?!


 焦ってどうしようか考えていると、さっきまでじっと村の人を目で捉えていたフィが彼らの方へ飛んでいく。


 「なんだぁ?フクロウじゃねぇか。見たことねぇ格好だなおい。」


 男たちの注意がフィに向いた。フィ、まさかこれが目的で...。感慨に耽っている場合ではない、フィが時間を稼いでくれている今は、ここを離れなきゃ!


 後でフィを迎えに行くとして、光翼はこそっと今いた場所から遠ざかる。幸い、少し後ろに行くと崖のような地形になっているのでそこから飛び降りてテント場まで舞い戻った。


 フィはその様子を確認した後、自身もテント場まで戻った。彼女とは違うルートで。


 荷物がほぼ片づけ終わり、あとはテントを畳むだけとなった時、フィが戻ってきた。


 「フィ!さっきはありが…と…?!」


 フィは男衆たちを引き連れて戻ってきてしまっていたのだ。まだ彼方遠くにいるが、その男たちの走る激しい息遣いや物音がここまで迫るように響く。


 「あん鳥、じゅーくこいて(生意気に)おちょくってるにちげぇねえ!」

 「さっきから時々止まってはこっち見やがってぇ!」


 男たちの声が段々と聞こえてくる。今飛び立たないと姿を見られるどころか捕まってしまう!と、先ほどまで男たちの会話を盗み聞きしていた光翼は恐怖に顔を青ざめる。


 「やばいやばいやばい…!フィ、私行くよ!」


 この幼い梟は男たちが自分を追ってきて、自分の行き先である光翼の場所へ自分自身が案内してしまうと言う事まで頭が回らなかったのだろう。鳥なのでそれを責める気はない。


 テントを片付ける暇もないのでそのまま飛び立つ。フィは軽い衣類が入ったリュックを持ってくれるようなのでテント以外のサバイバル道具、残った調味料等を抱えて必死に逃げるように飛び立った。


 後ろから喚き声が聞こえる。やれ、やっぱりいただの、やれ、あれは化物だの、フクロウは連れかと聞こえるが、もうこっちはそれどころではない。少し後ろを振り返る。幸い、カメラやスマホを持っている人はいない。証拠もなくただ、「見た」という話が村に広がるだけだろう。


 石や木の棒が投げられているがここには届きっこない。もう安心したと思ったのもつかの間、光翼が前方に向き直ったその瞬間、短パン風のキュロットに入れておいたスマホがスルリと零れ落ち、木々の中、そして水の中へ沈む音が聞こえた。


 「いぃいいやぁああああああああああ!」


  普段は静かな山に、どすの効いた太い声の数々と一人の女性の叫び声が木霊した。



次回からは別地点での暮らしになりますね。皆さんはどんな山が好きですか?

私は阿曽山とか結構好きです。

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