閑話その三、興味 【イラスト付き】
おじいちゃん神様のお話はいったんこれで終わります。
人々を眺めても、さして面白そうな人は滅多にいるものではない。神にとって興味深い人は神自身に興味を持って信じてくれる人、心清く、どのような状況でも優しさを保っている人などである。しかし、現代の街中では誰も古い神に関心を抱くものはない。神の寂しさは募るばかりであった。
ふいに、元あった場所が懐かしくなり、その場所へ神社ごと霊体として時々訪れた。そこは確かに賑やかで、発展した場所であり、神は最早自分を必要とする者はここにはいないのだと改めて感じた。ただ、昔の思い出に浸りたいがため、何度もその場を訪れた。
ある冬の昼、いつものように只々街中を眺めていると、こちらをじっと見ている女子がいた。女子は実際にあるビルの入り口から少しずれた、まさに霊体としての神社のある場所を見つめていた。久しく認識して貰えなかった神は珍しく心躍り、彼女を招き入れた。
その女子は正しく拝み、笑顔で飴やら菓子やらを供えた。こんな事はもう何十年何百年もされていない。願い事など何でも良い、何でも叶えられるのだから。
彼女が境内を出ていく前に
――善きかな
と、礼を伝えたが風で聞こえなかったのだろう。ならばと彼女の家へ先に待ち伏せすることにした。
人間好きの優しくて寂しい神に、一つの暇つぶしができた。
―――――
ふっと、まどろみから抜け出た。いつ振りに眠ったであろうか、久しぶりの眠気に少し驚く。いつもと違うことをし、力を多めに使ったためか少し疲れたのだろう。
今までの出来事を一周するような夢を見ていた気がする。神は決して一瞬一瞬を忘れることはない。休む必要もない。従って不意に眠りに落ちたことを不可解に思いながらもすぐに意識は覚醒した。
いつもの日課に加わった、光翼の観察。最近拾ったらしいあの梟も一緒だ。あの梟、まだ幼鳥であるにも関わらずこんなところまで南下してくるとは運の良い奴よ。
どうやら、麓の村の者どもに彼女の存在を気づかれたらしい。今日も村の男衆が山へ女探しときた。いつもであれば山に声をかけ、追い返す手伝いをしてもらうところなのだが、今回はそうはいかない。
あの娘自身が自ら偵察と称して男衆の方へ向かっているではないか。何と愚かな。娘よ、万能の神であっても人間同士の行いには儂にはどうにもできん。せめて運勢でも上げておくかの。逃げ切ってくれよ。
――人間はやはり飽きぬなぁ。




