第8ターン➁
王都に帰ると、すぐメイドを招集した。
正式に歌手のグループを立ち上げ、私たちがその歌謡祭に出場する事。
その事について、彼女達、コリーナ霧島とミーナ神楽に伝えるためだった。
今まで、あのプロデューサーの下、レッスンはしていたが、これからは本格的に準備に入ることになるだろうし、ある意味国を代表する事になる。
だから、その前に、当然断る事も出来るし、歌手として活躍する事も出来る、その時はバックアップもする。
執務室でアナベルは二人の前で説明した。
二人は顔を見合わせ
「もちろんさせていただきます、でもアナベル様と一緒であれば、です。」
決心した表情だった。
「私たちで、みんなに元気とか届けることが出来るのでしたら是非。」
その表情は晴れやかだった。
そして、決意みなぎるものだった。
この話は当然義姉や義母の耳に入っていたのか、また、おかしなことをはじめた。
そんな目立つことは私よ!と思ってだろうか、
勝手に歌の先生を雇って勝手に歌のレッスンと、舞踊のレッスンを義姉だけでなく、義母もあわせてし始めたと情報が入ったのはすぐこの後だった。
相変わらずの母娘だとアナベルは呆れていた。
☆
そのプロヂューサーの指定した歌のレッスン場、ダンスレッスン場にいつも通りの市井の巡回のスケヂュールの最後に組み込まれた。
「舞踊、や剣舞も取り入れましょう、ダンスもです。
それに歌謡は、歌も確かにいいですが、民謡も歌いましょう。
できることはやってみましょう。」
アナベルとメイド達は意見を出し合い、その時に向け準備を本格化した。
執務も終り、歌と、ダンスのレッスンがみっちり、夜半過ぎまで続いてクタクタになって、王都にある執務室と、城下町にあるレッスン場の往復。
これじゃ社畜の時と変わらない。
アナベルは少し苦笑いをしたが、その疲れの心地よさは社畜の時と雲泥の差だった。
ある目的のため、確かに最初はエクストラシナリオのクリアが目的だった、それも終盤に懸かり、後は出来る所までやるしかない、そう腹が括った自分がとても清々しく、毎日を送っている自分がとても嬉しかった。
そんなある日、レッスン場から帰路に就こうと、コリーナ霧島に裏口にスチームモービルを回すよう言ってフト出口に目をやると、一人の女の子が立っていた。
市井の他のレッスンの生徒かなと、特に気にせず横を通り過ぎようとした時、
「お姉さんはさっき歌を歌っていましたか?」
と、たどたどしく聞いてきた。
アナベルは、そのたどたどしさに他の民族の子なんだ、と思いながら答えた。
「ええ、そうよ、どうかした?」
少し思いつめた表情の後、少女は、
「その歌を、私たちの施設で聞かせて下さい。」
と、言ってきた。
そしてその施設の場所を指し示し、
「お願いします。」
そう言うと、丁度、スチームモービルと入れ違いに、逃げるように駆け出してしまった。
もう後姿は見えなくなっていた。
降りてきた、コリーナ霧島が、
「どうされました?」
と聞いてきた。
「今、女の子とすれ違わなかった?」
アナベルが尋ねた、
「いえ、特に気が付きませんでした」
と走り去ったと言う方向を、スチームモービルの向こうに見ながら答えた。
そこには、暗い街路があるだけだった。
暫くの間、城に帰るのが遅くなり、疲れ切っていた。
出場までの時間がない、
取り敢えず、後は食事をして沐浴をして寝るだけの生活が続いた。
ある時、出発する、前ばったりヴァル君に出会った。
その時、あの少女の言っていた施設の場所について思い出し、調べてもらうことにした。
彼は相変わらず、顔を真っ赤にしてキョドりながら。
「承知しました調べてみます。」と言って駆けて執務室に駆け込んでいった。
クスッと笑っている自分をアナベルは客観的にハッと気づき、自分自身が熱くなってしまっていた。
目を通していただき本当に感謝しております。本当にお付き合い下さり、ありがとうございます。




