第7ターン➁
前回の自分たちの目論見、というか人を陥れることに大失敗したことがまるで無かったかのように振舞う二人を見て、何だか怒りと言うか。
相手をしているのがバカバカしいと言うか。
自分に真っ正直なのか。
ある意味うらやましいと言うか。
これ位の鉄のハートが無ければ、令嬢の一つもやっていけないのだろうか?
そう思うと何だか、自分に正直な彼女達を見ていると変にかわいく見えてきて、クスッと笑ってしまった。
が、それがいけなかった。
エリザベート義姉にピキっと青筋が立つのが見えた。
ラプス王朝国、後継第一位アントン・ゲオルク・ラプスとその弟後継第二位のユルゲン・ゲオルク・ラプス様をお出迎え、歓待する為の打合せ中の事。
しまったと思った時には遅かった。
義姉は噛み付かんばかりに迫って来た。
「あなたね!今度視察にお越しになるご兄弟を前回の貴族盟約国、第一後継者ハンス・オー
ゲン・ユルゲンス侯爵子息様を張り倒しておいて、たまたま運が良かっただけの事。」
フンスと息巻いて。
「今度は私がお相手することに決まったんだから、私の邪魔しないでくださる?
さっきからニヤニヤして。
私こそがこの国の次期王女、いや、代表だと言う事をしらしめてく御覧に入れてよ!」
振り返り、執務をしている官僚や、大臣に高らかに宣言した。
後ろに控えていた、義母もウンウンと頷いて、手を叩いて喜んでいた。
本当にこの母娘は。
と、アナベルは小さく溜息をついて、まあ、今度失敗すれば今度こそ他国との関係は引き返すことが出来ない位悪化して、溺愛どころの話じゃなくなる。
取り敢えず今度のターンは民生に内政にもう一度力を入れるチャンスと思って気持ちを切り替え、内政、国内の情報を仕入れることにした。
その中で、亡き父の、国王霊廟に幽霊が夜な夜な出ると言う噂が、まことしやかに都中に流れ出している。
その噂は、結構目撃談が多く、その度、衛兵や警務兵が出張っていると言う、今は噂だが、その内、根も葉もない噂が、大きくなって、父王に関する批判に結び付き、やがてこの国に関するネガティブな噂が流れ出したり、墓暴きなど亡霊を隠れ蓑に、冒涜し、この国を貶めることになりかねない。
アナベルは御庭番ミーナ神楽とコリーナ霧島を呼び、取り敢えず亡父の墓に出張って貼りつくことにした、その途中、洛中寄って亡父の霊廟の幽霊について聞き込みをして噂を収集することにした。
夜の帳が下り。
その霊廟、入り口には衛兵がかがり火を燃やし立っていた。
近付くと衛兵が敬礼をし、出迎えアナベルは、
異状の有無を聞き一度霊廟の周りを巡回する事にした。
霊廟の周囲は堀と柵で囲まれていて、入り口は今見た衛兵が詰めているところ。
形だけの裏門はあるが開閉のできない、謂れは諸説あるが悪霊を追い出すための門と言う。
薄暗くほとんど視界がきかなく、その裏門の所まで来た。
その門に何かヒラヒラと何かが張っている様で、近づき見てみると、何か御札の様だった。
それに触ろうとすると、「アナベル様、気軽にその様なものにふれてはなりません、ここは私に。」
と、ミーナ神楽が縄鏢を放った。
縄鏢がその札をミーナ神楽の手元に持ち帰ったその時。
「曲者!」と正面入り口方面から叫び声が聞こえた。
アナベル一行がかがり火の所に戻ると衛兵が慌ただしく、その曲者と叫んだ者、それを目撃した者、その曲者の後を追う者と、騒がしく慌ただしく雑然としていた。
取り敢えず今回収した札が何か関係あるのかどうか、魔術者や、兵法者、学者、学術者、錬金術者に分析してもらおう。
その場は一旦衛兵たちに任せ、帰路に就いた。
人材ならあの日記の中に入るだろう。
「あなたなんかに任せなくて正解だったわ。」
アナベルが帰って来て開口一番、義姉は言った。
とっても嫌な予感がしたが、当たっていた。
王宮の執務室の中、相変わらず忙しかった。
女の私が見るのも赤面する位の胸と、肌とこれでもかという位強調するド派手なドレスを着たまま義姉は続けて言った。
「殿方は私の美貌にぞっこんよ!」
「ぞっこん!」
アナベルは思わず繰り返し、心の中で苦笑した、(ぞっこん)って、こういうセンスが多分このドレスとかに反映してるんだろうと、そんな事を視界の隅に追いやつつ、笑顔で聞いていた。
義姉は続けて「まあ、貴女も仮にも代表補佐ですから。顔ぐらい出されたらどうです?あの殿方も私のこのナイスバデーにぞっこんよ!ヲホホホ!」と高笑いしながら、この忙しい執務室を一瞥もせず出て行った。
執務室のみんなの思いは、「手伝えよ!」と統一した思いだった。
まかせっきりにした私も悪いし、取り敢えずエリザベート義姉の言う通り私もあいさつはすべきだわ、と兄弟の予定を聞いて、迎賓館で待機、宿泊していると聞き、アナベルは赴いた。
やはり、第二位の国力のあるラプス王朝国は違う。
御付きの者たち、侍従者、従者、腰元に至るまで威厳に満ちていた。
それは他を蔑むと言った処から発するものでなく、自身の内なる矜持から来るものだろう、小国の我々に対する態度はいつぞやの貴族の国と違った雰囲気を醸し出していた。
ラプス王朝国の御付きの者に案内され、兄弟の宿泊している部屋にアナベルは通された。
そこで彼女が見たものは、
そこには大胸筋がモリモリ動いていて、腹直筋が六つに、いや、八つに、割れていて、広背筋と、僧帽筋が般若のようになっていて、上腕二頭筋と三頭筋がエライ事になっていて、大殿筋とハムストリングと大腿筋がドラム缶のように、ヒラメ筋がスカートのようになってその筋肉に汗がまみれて光っていた。
アナベルは思わず叫んだ。
「っギャー!」
拙作に目を通していただき誠にありがとうございます。お時間を頂戴いたしている事、感謝に堪えません。




