ハラビロ2
カマキリは咆哮を上げて右手を降り下ろした。
銃で応戦していた自衛隊の人達の一部に命中して即死する。
「やべぇな、ありゃ正面からは無理だな」
カマキリは広間の扉から頭を出している。なら、ステージ裏から上の階に行けば不意を突けるかもしれない。
「安藤さん、俺が上から頭を潰します。それまで注意を引いてくれませんか?」
「君がそれをやるのか!?危険だ!後は我々でやる!」
「待ってくれリーダー。一誠、勝てるのか?」
蓮さんが真剣な目でこちらを見る。
「……多分」
「分かった……やるなら一発で殺れ。いいな?」
「まて、蓮。貴様何を言ってるのか分かってるのか!?」
安藤さんが勢いよく噛みつくが蓮さんは冷静に流している。
「今ここで一番戦闘経験のあるのは一誠だ。一誠が多分ぐらいは勝率があるならっちのがいい。それに、他に名案が無いしな」
「ぐぅ……」
安藤さんが奥歯を噛みしめる。
「一誠。お前の案を採用だ。俺達の命を、預けるぜ」
命を預ける。なんて重たい言葉なんだろう。全身が緊張で固くなる。
「よし、行ってくれ!」
背中を思いっきり叩かれて緊張が飛散した。
「はい!」
緊張している場合ではない。今はとにかくあのカマキリを倒さなくては、
全速力でステージまで走る。カマキリが動きに反応したかのように腕を伸ばすが俺には届かなかった。
「させねぇよ」
どこから用意したのか蓮さんが大型のライフルで腕を撃ち抜いた。
ステージに入って階段を上って上の階に入った。
急ぎめで走ってカマキリのほぼ真上に移動する。
「すぅー……はぁー……」
今でも巨大化したやつらは恐い。だから気持ちを落ち着ける。
頭のなかで何度も繰り返し手順を繰り返す。飛び降りてカマキリの頭を叩き潰す。
「よし、行くか」
バットを握りしめて勢いよく飛び降りる。
もう少しだった。なのに、カマキリは頭を180°回転させてこちらを捕捉して腕を降り下ろす。
(ダメだ、これは助からない……)
これまでみたいに避けようにも空中で逃げ場がない。どうしようもない。
こちらに降り下ろされていた腕が、急に方向を変える。
理由はなんでもいい。これで攻撃出来るようになった。
俺はバットをカマキリの頭に全力で降り下ろす。
頭から地面に衝突して床に上半身が埋まる。少しだけ動いていたが、やがておとなしくなった。
カマキリを始末したことで静かさが戻った。
「なんとか、生き残れた、か」
疲れすぎて座り込んでしまった。
この町から脱出できるって話で来たのに疲れただけだった。
外から車の音が聴こえる。続いて、ドタドタと人の足音がいくつも響いて安藤さんや蓮さん達と同じ様な格好をした人達が現れた。
「片浜はどうしました?」
「逃げられた。ここにあるのは死体だけだ」
「分かりました。……その人は?」
「唯一の生き残りだ」
どうやら俺の話をしてるようだ。
「一誠、よくやったな。立てるか?」
「蓮さん……すみません。ありがとうございます」
ヨロヨロとゆっくりと立ち上がる。少し座るだけでも結構楽にはなれた。
「立てたか、良かった良かった。これから、ちょっと来てもらいたい所があってな」
まだどこか行くのか。この人は元気だな。
「まあとりあえず一誠。お前を今回の重要参考人として、拘束するわ」
「は?」
理解できなかった。自衛隊の皆さんが俺に銃を向けている。
化け物から助かったのに……俺は、これからどうなってしまうなだろうか。




