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断罪の未来を避けたいのに、王太子から逃げられません 〜この人の想いを信じてもいいですか〜  作者: 華舞 このは
第三章 学園一年生

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番外編4 受難

 ――それは、試験期間に入る少し前のこと。


「殿下、魔導研究所からの返事がきました」

「……ああ、ラファエルか」


 生徒会室。魔導大会後の後処理のため、殿下に手紙を渡す。

 だが、正直に言って怖い。特に最近、殿下の視線がやけに冷たい気がする。


「あの……俺、何かしましたでしょうか?」

「いや、何も?」

「ですが……」

「ただの嫉妬だろ」


 隣で、アンリ先輩がふんっと鼻を鳴らした。


「どうせ、婚約者様と同じクラスでよく話してるのが羨ましいんだろ。しかも、授業のダンス相手がお前だから拗ねてる。……自分で頼んだくせにな」

「アンリ、うるさい」

「……なるほど?」


 それはそれで、とても理不尽だ。


「大丈夫だよ。ラファエルは我が妹にゾッコンだからな」

「ち、違……いえ、違わないですけど……」

「それは知ってる。だからこそ、ラファエルに頼んでるんだ」

「それで、アリーヌ嬢とのダンスはどうだ?」

「え、あ……体幹がしっかりしているので、とても踊りやすいです」


 その瞬間、氷点下の視線が突き刺さった。


 アンリ先輩は完全に面白がっているが、被害を受けるのは俺なので、正直やめてほしい。


「それはそうと、王太子様は婚約者と一緒に試験を受けるために、いろいろ画策したとか?」

「……ノーコメントだ」

「え、でもダンスはクラス別だったはず……」

「さすがにダンスは無理だ。半年間同じペアで練習しているからな」


 手紙と資料に目を通しながら、殿下が答えた。


「でも、一年生は基本、筆記試験ですよね?」

「甘いな、ラファエル。ひとつだけ実技がある」

「……あ、魔導学?」

「正解」


 今度はアンリ先輩に冷たい視線が向けられたが、本人はどこ吹く風だ。


「A組とB組合同ですか?」

「いや、全クラス合同だ」

「なるほど……?」

「アリーヌが暴走しないかが心配でね」

「それは、さすがに……」


 たかが試験で暴走はしないだろう。

 そう思ったが――殿下は一瞬、視線を伏せた。


「……それと、余計な目もある」

「目、ですか?」

「ラファエルは気にしなくていい」


 それ以上、殿下は何も言わなかった。


(……試験、何事もなければいいけど)


 そんな不安を胸の奥に残したまま、試験期間は、静かに始まろうとしていた。

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