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断罪の未来を避けたいのに、王太子から逃げられません 〜この人の想いを信じてもいいですか〜  作者: 華舞 このは
第三章 学園一年生

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49. 魔導大会への序章

「魔導大会まで、いよいよあと一ヶ月だ」


 入学してから初めて迎える、大規模な行事。

 運用は、生徒会に一任されている。


「今日から準備を始める。担当は配った紙に書いてあるから、各自確認して、同じ担当同士で集まってくれ」


 紙に目を落とすと、私の担当は

 ――『魔導士 vs 魔導擬装体』。


「あら、アリーヌとは別の担当になっちゃったわ。でも私、王太子殿下と同じよ。なんかごめんね」

「ちょっと、なんで謝るのよ」

「ふふ」


 軽く手を振って、ナタリーは向こうへ行ってしまった。


「セドリック! アリーヌ嬢! ラファエル!」


 マクシムに呼ばれ、そちらへ向かう。

 どうやら、この四人が同じ担当らしい。


 セドリック・コスト伯爵令息。

 一つ上の先輩で、彼の家は魔導研究機関を率いていることで有名だ。


「去年の資料を用意してある。まずは各自、目を通しておいてくれ」


 そう言って、束になった書類を配られる。


「それから、明日は研究機関を訪問する予定だ。来賓の確認と、魔導擬装体の貸し出しについて打ち合わせを行う。

 今日はここまでにしよう。解散で」


 終わるのが早い。

 ――さすが、生徒会長だ。


 生徒会室を出て、ラファエルと並んで廊下を歩く。


「魔導士は二手に分かれて戦うらしいな。本番のチームは、その場でくじ引きだってさ」

「そうなのですね。知りませんでしたわ」

「最近、在学中に魔導士資格を取る生徒が増えたから、方式が変わったって」


 魔物の出現が増え、それに伴って魔導士を志す者も増えているらしい。

 危険な仕事ではあるけれど、その分、待遇が良いのも事実だ。


「だから組み合わせは運次第だな」


 そう言って、ラファエルは少し笑う。


「できれば、戦いやすい相手がいいし……アリーヌ嬢と同じチームがいいんだけど」

「ふふ。ラファエル様が一緒でしたら、心強いですわ」

「でも、こればっかりは仕方ないか」


 そう言って肩をすくめるラファエルに、私も小さく頷いた。


「魔導擬装体相手とはいえ、本番は人前ですものね。失敗はできませんわ」

「だよな。しかも、王宮の魔導騎士団や研究機関の貴賓も来る大会だし」

「そうですわね……緊張してきました」

「まぁ、アリーヌ嬢なら大丈夫だって。あの雷魔法の威力、正直反則だし」

「それは言い過ぎですわ」


 照れ笑いを浮かべながらも、自然と拳を握る。


 魔導大会は、ただの催しではない。

 魔導士としての力も、覚悟も――きっと、試される。


(中途半端な姿は、見せられないわね)


 そう心に決めたところで、校門が見えた。

 ちらほらと下校する生徒が歩いている。


「じゃあ、また明日な」

「ええ。資料、きちんと目を通しておきます」


 そうして、魔導大会に向けた日々が、静かに、けれど確実に動き始めた。

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