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断罪の未来を避けたいのに、王太子から逃げられません 〜この人の想いを信じてもいいですか〜  作者: 華舞 このは
第二章 魔導訓練

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26. 初陣

 ――シャリ。


 ついに私たちは封鎖区域へ足を踏み入れた。


「……お、早速いるな」


 隊長が立ち止まり、目を細める。


 その視線の先では、黒いトカゲの群れが、じわりと砂の下から姿を現した。

 いくつもの赤い瞳が、獲物を見据えるように光る。


「よし、まずは見習いたちのお手並み拝見といこう。ベルナールは右、アンドレは左、ポワリエは中央を任せた」

「了解です!」


 指示と同時に、右へ駆けた。


 私のすぐ後ろには、一定の距離を保ちながらエリックがついてくる。

 魔導士と騎士は基本的にペアで行動する。つまり、彼が私の護衛ということだ。


 背後からは、すでに剣戟の音と魔法が弾ける音が響く。

 と同時に、一体の黒いトカゲがこちらを認識した。


 赤い瞳と視線が合う。

 息が止まる。

 その瞬間、甲高い咆哮が空気を裂いた。


「……行きますわ」


 トカゲが炎を吐きながら突っ込んでくる。

 私は身をひねってそれを避け、雷を放とうとするも――素早い動きに阻まれる。


「でしたら……」


 砂地で足が沈む。それでも止まれない。

 足元の砂を巻き上げ、半円状の土壁を生成し、トカゲたちの動きを止めた。


 動きが鈍った瞬間、私は指先が痺れるほど魔力を集中させる。


 ――ピシャァッ!


 砂煙を裂いて、雷が走る。

 焦げた匂いが一瞬漂う。

 黒い身体が崩れ落ち、静かに粒子となって消えていった。


「……お見事」


 背後から、落ち着いた声が響く。

 振り返ると、エリックはすでに仲間の方へ歩いていた。


 私は慌ててその背中を追う。


 皆が合流すると、隊長が私たちを見渡して言った。


「初戦闘にしては悪くない。三人ともいい判断だった。

 だが――魔力の出力がまだ荒い。次は余裕を持て」


「「はい!」」


 息をつく暇もなく、私たちは次の魔物が潜む建物へ進む。


 崩れた柱と蔦が絡み、足場はひどく悪かった。

 そんな中、小型や中型の魔物は次々と襲ってくる。

 そのたびに倒し、前へ進んだ。


「ベルナール! その威力だと巻き添えが出る! 魔力量を絞れ!」

「……っ、はい!」


 まだ出力調整は難しい。

 私自身、魔力量が大きい分、丁寧に扱わなければ暴走にも繋がる。


 そう意識しながら進むこと、およそ数時間。

 夕陽が差し込む広間へと辿り着いた。


「……ここは」


 祭壇が置かれたその部屋は、ステンドグラスに照らされ神々しく輝いていた。

 静かで荘厳な空気――しかし、その空気はすぐに破られる。


 地鳴り。空気が震える。


「……来るぞ!!」


 砂が爆ぜるように舞い上がり、巨大な影が姿を現した。


「っ……!」


 真っ赤な舌が、ゆらりと揺れる。

 見上げるほどの巨大な蛇が、そこにはいた。

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