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断罪の未来を避けたいのに、王太子から逃げられません 〜この人の想いを信じてもいいですか〜  作者: 華舞 このは
第二章 魔導訓練

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番外編2 お泊まり会

 ついに迎えたお姉さまとのお泊まり会。


 本当はもっと早く開催されるはずだったのに、私が風邪をひいて延期になってしまったのだ。


 胸を弾ませながら、私はお姉さまのいるお屋敷を訪れた。


「お祖母様、ローズですわ」

「本日はよろしくお願いいたします」


 スッとカーテシーをすると、お姉さまにそっくりの金色の瞳が柔らかく細められた。


「いらっしゃい。そんなに畏まらなくていいよ」

「恐縮ですわ」


 お姉さまと目が合うと、ふわりと笑って「部屋はこっちよ」と案内してくれる。


「まぁ……可愛らしいお部屋ですわね」

「ありがとう。お祖母様が用意してくれたの」

「趣味まで素敵だなんて……お姉さまのお祖母様、何者なのですの!?」


 思わず身を乗り出すと、紅茶を運んできたメイドが小さく笑った。

 フルーティーな香りが部屋に広がる。


「お祖母様はね、昔は魔導騎士団長だったのよ」

「まあ、それはすごいですわ!」

「私と同じで魔力量が多くてね。雷魔法で魔物を薙ぎ倒す姿から“稲妻の悪魔”って呼ばれてたらしいわ」


 くすくす笑うお姉さまの横顔があまりにも自然で、強くて、美しくて――思わず見惚れてしまった。



 宿題を終え、ご飯を食べ、お風呂にも入り――気づけばもう就寝時間。

 ゆるい寝巻きを着たお姉さまは、いつもより少し柔らかい雰囲気で、胸がきゅっとなった。


「あれ?」

「どうしたの、ローズ?」

「いえ……お姉さまのブレスレット、私のとちょっと違いません?」


 私のブレスレットは、ただの金の輪。兄のものと同じ、質実剛健な形。

 対してお姉さまのものは、アクアマリンの宝石がはめ込まれ、繊細な細工が施されている。


「お姉さまも陛下からいただいたのですよね?」

「そうよ」

「王太子殿下の瞳の色と同じで、ぴったりですわね!」

「……言われてみれば、そうね?」


 初めて気づいたのか、お姉さまは驚いたようにブレスレットを見つめた。

 その表情が可愛くて、胸が温かくなる。


「ふふ、案外、王太子殿下がご用意したものだったりして?」

「これをもらった時は、まだ知らない仲だったのよ。それはないでしょうね」

「まあ……残念ですわ」


 少しからかってしまったけれど、お姉さまは困ったように笑ってくれた。


「そういえば、この前のラファエル様とのペア実習はどうだったの?」

「それ、聞いちゃいます……?」

「ふふ。こちらの方まで賑やかな声が聞こえてきたのだけれど?」

「ひどいんですのよ! 私が魔法を撃つ前に、全部ラファエル様が魔導擬装体を倒してしまうんですの! 私だってやりたいのに!」

「それで喧嘩したのね?」


 お姉さまがにこにこしているのが、なんだか悔しい。


「そうですわ! 弱いお嬢様は後ろに下がってろなんて言って! 私の方が魔力量も攻撃魔法の威力も強いのに!

 ……まぁ、的に当てるのが上手いのは認めますけれど」


 うっかり小声で付け加えてしまい、少しだけ顔が熱くなる。


「ふふ……楽しそうで良かったわ」

「お姉さまっ……!」


 布団の上であれこれ話して、笑って、愚痴って――

 気づけば、夜が更けていた。


 やっぱり、お姉さまは最高ですわ。

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