表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜道で拾ったスマホ・The Smartphone-like Object Found on a Dark Road  作者: 黒船雷光


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/17

第十五話:The Vessel・憑代

 (ひのき)で組んである(やしろ)全体が、複雑に組み上げられている接合部が悲鳴を上げる。


「来おったんちゃうか」


 上を見上げて様子を(うかが)う阿部に思わず聞く。

「何が?」


 答えなんか分かっているのに。


 そう言えば、外でこの一条戻橋神社の神主、寺社杜(じしゃもり)さんが誘き寄せて封印すると言っていたが……外の様子がよく分からない。


 カタカタカタ……


 三方(さんぽう)の上の呪物が震える。


 せっかくパニックから阿部が助けてくれたのに、またしても恐怖の叫びが、激しい吐き気となって喉元まで込み上げてくる。


『(悪霊は)中には入れないから慌てず、心静かに』


 と言う叔母さんの忠告など目の前の恐怖で吹っ飛ぶ。


 今度は一人で抱え込もうとするとさっきのような醜態を晒すと思ったので、最初から阿部にすがる。

「おい!コレどうすりゃ良いんだよ?!」


 だが阿部も少し動揺していて「わ、分からへん……」と降参状態。


『中には絶対入れない』――って言ってたよね?


 外の状態が知りたい……


 出入口に向かう。後ろではカタカタと震えた呪物がブルルル……ブルルルル……と振動が過ぎて、スマホのバイブの様になっている。


 阿部もさすがにお手上げのようで壁に張り付いて、部屋の中央で震える三方を只々見つめて距離を取ることしかできない。


 壁が、柱が、天井が、床が「ミシミシミシ」と断続的に木材としての限界を超えたような裂ける様な音を立てて(きし)む。


「ど、ど、どうする……」「どうもこうもあるかい……落ち着かなアカンやろ!」

 三方は震えすぎて踊っている。どう見ても異様だし、それに合わせて社が震えている様にしか思えない。

 そんな中でどうやって落ち着けというのか。


 ――ブツン。音を立ててLEDライトが切れた。


 床が波打ち、ミシミシなどという優しい音ではなくバキボキと何かが確実に折れていく音が重なる。

 私は腰が抜けて壁際に体を押し付けながらも立ち上がれない。


 先ほどは、私が精神錯乱を起こし、一人で自滅の道を突き進んだが、阿部の冷静な?対応で落ち着けた。

 すると今度は物理的な干渉をし始めた……と考えるのが妥当だが、それさえも「心静かに」であればやり過ごせるということなのだろうか?


 私は恐怖に押しつぶされそうになりながらも、這って阿部のところに行く。

 暗闇の中だが、障子窓の外からわずかに明かりが入り、輪郭は見えている。


 阿部も恐怖にひきつった顔でオレを認識すると、寄り添い手を取り合う。

 社の狭いほぼ正方形の部屋構造は捻じれるように歪み、天井と床の角が交差するほど歪んでいる。

 捩じ切れる……


 メキメキ……ビシィゴキィ……パキピキ……


 結構太い柱も使われている構造が雑巾の様に絞られている……


 必然的に部屋が狭くなる……入室前に阿部の叔母さんがからかった「二人で抱き合ってたら~」の状況にいよいよなりつつある。


「これから……一体どうすりゃいいんだよ?!このままだと倒壊して俺たちお陀仏だぞ?!」


「た、確かに……こりゃアカンかもな……近藤!」


 ――ボキィ!


「何?!」思わず叫ぶ声で聞く


呪物(アレ)をどこか隙間……ら外に捨て〇へ×か?!」

 阿部も頭を抑えながら太い柱がささくれて割れ、木片を飛び散らかす柱から離れる。

 言葉の端々が聞き取れない


「何で?!」辛うじて聞き取れたが、意味が分からない。


 ――バコン!

 何かが抜けた音もする。


「そりゃ、お前……アレの中に未だ入っとるっちゅうことやろ!部長に憑りついとったんは、その一部やったっちゅうことちゃうんか?!」


「(結界は)外からは入れないが、内側からは招けるって奴か?!」


 ミシミシミシ……


「せや!!せやから、アレはただの空の器ではないっちゅうことや!」


 ガラガラ……天井の板が落ちてくる。


「アレも外に出してオレらから引きはがしてもろた方が良いんちゃうか?!」


「た、確かに!」


 ボゴン!床が歪みに堪えられず跳ね上がる。


 私も阿部もまとも立てる場所もない斜めに歪んだ床を這いまわる。


 床の真ん中が裂け、床下の支え木が突き出す。


 三方から呪物は転び落ちてその裂け目に落ちそうになる。


「まずい!」殆ど反射的に反応して呪物(それ)を拾ってしまう。


 ――パチン……と何かがはじけたような音がした気がする。


 無意識に拾ってしまったけど、もうどうしようもない。


「クソ、もうどうにでもなれ!」


 扉のあったところに這いずって進み、開けようと試みる。

 だが、外から何かで留められている様にして開かない。

 …それ以前に扉が歪み過ぎている。


「開かない!阿部!手伝ってくれ!!」


「……せ、せやな!」一瞬迷ったような間があるが、同意はしてくれた。


 ゴゴゴゴ……もはや地鳴りのような音がしている。

 薄明りの中四方八方の壁や天井、床から梁が飛び出し破片が舞う。


 阿部も這って来て、扉に縋る。


 ミチッ!


 押しても引いても動かない。


「勝手に暴れててもアカン。せーので行で!」


「「せーの!!」」


 バリッ!!という音で扉が開く。

 全体重をかけて押したので開いた瞬間転がり出ることに。


 そこで見たモノとは……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ