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青色はぐれ星  作者: Full moon
第1章
16/21

第十四話 狙撃と修復




そこは、地獄の一部を切り取って、現実の中に貼り付けたような光景だった。

立ち上る炎。コンクリートは砕かれ、割れたガラスが足の踏み場もないほど。水道管は破裂し、水柱を登らせ、時折響く爆音は、ビルの一部が地面に叩きつけられた時の音だ。

そして当然、ビルの中にも人はいた。道を歩く人もいた。運悪く、瓦礫の直撃を受けた人は、身体を砕かれ、血まみれで物言わぬ死体となっている。運が良かったと言うべきか、致命傷を避けた人もたくさんいた。足にガラスの破片が煌めいている人がいる。顔面が焼けただれ、男か女かさえ判別がつかなくなった人がいる。お腹の大きい妊婦が、腹部に刺さったコンクリート片を抜こうとしている。下半身がほとんどなくなった赤ん坊が、泣き叫びながら親にすがりついている。


それを見た僕は、バイクから降り、こう思った。


良かった、と。


こんな光景を家族に見せなくて良かった。小鳥の家の住人がこんな姿にならなくて良かった。狙撃が成功して良かった。

笑み、とまではいかないが、奇妙な高揚感があったのは確かだ。その場の絶望と、血の匂いがそれらを簡単に押しつぶしてしまったが、確かに僕の心にはそれがあった。


助けを求める声がする。多分そのうち、軍の方から救援隊がやってくるだろう。

だが彼らが最初に助けるのは、高層ビルの上階にいた、裕福な者たち。軍にとって、特に貧民層は、いなくてもいい存在になりつつある。


地獄の沙汰も金次第とは言うが、多分それは正しいんだろうと思ってしまう。


「優一くん、向こう・・・」

隣の如月さんが遠慮がちに声をかけた。指差す方向を見ると、ピンク色の塊が見えた。ここからルシアニウムがいるところまで、建物はなぎ倒され、コンクリートが抉られた後がはっきりと見える。あれに押しつぶされた人もたくさんいるだろう。そうなった人は、すでにただの肉塊と成り果て、誰かということを、もしくは人の肉か豚の肉かも判別がつかない状態になっているだろう。


まだ、ルシアニウムは動いていた。


僕は狙撃銃を構える。しかし、今から何ができるというのだ。あのルシアニウムは、政府の要所に突撃でもして、被害を与えることが目的だったのではないのだろうか。だとしたら、あれは陸上を動く力なんて持ってない。それならば、軍が来て一斉に攻撃をすればあの図体でも、楽に殺せるだろう。


「もう、手出しすることないんじゃないですか?・・・・・・一応、救助の手伝いをしたほうがいいと思うし」

僕がそう言うと、如月さんが驚いた表情で僕を見てくる。ああ、救助を一応、なんて言葉でくくってしまったことかな。

如月さんはぐっと何かを我慢するように口を結び、再び開く。


「違うの。あのルシアニウム、あれ、一つじゃない。あれは、タネの塊」

「タネ?」

おうむ返しに聞き返すと、それは目の前の現実で起きた。もごもごと、芋虫の皮膚が蠢く。何かがあれの中で暴れている。傍目からみてとてつもなく気持ち悪い。ボコボコと、さらに激しく。

そしてついに、皮が破れた。倒れこむように、現れる中身。風船がしぼんでいくように、芋虫の皮がへたる。それを煩わしく退けながら、その人形のルシアニウムは現れた。

芋虫の体液なのか、体は粘性のある液体で光っている。人のようだけど、口、目、耳、鼻、といった部分をそぎ落とした、のっぺらぼう。髪はなく、頭と首が、蛇のように同じ太さ。ぶよぶよした皮に全身が覆われ、猫背になりながら、長い手はだらりと地面についている。


人型、に見えないことはない。二足歩行をしている時点で、以前見たルシアニウムから二度目なのだ。


しばらくの間、ルシアニウムはキョロキョロと周りを見ていた。口を開いたり閉じたりして、口に溜まった粘液を吐き出す。


僕はこの時、戸惑っていた。芋虫から現れた人形に気持ち悪さを感じ、おののいていたのもある。それ以上に、攻撃を加えるべきなのか、ということに。

ここから攻撃すれば、多分一体は確実に倒せるだろう。しかしそれでこっちに一斉に向かって来られたら?多分ひとたまりもない。家族のためでもないのに、そこまで命を張れるのかと言うと・・・


それが、墓穴を掘った。対応が遅れた。ルシアニウムは一斉に体を低くすると、とてつもないスピードで走り出した。

周りには逃げ遅れた人々がたくさんいる。それらを掴み、コンクリートの地面に叩きつける。人は悲鳴をあげる。


そして、僕はその光景を初めて目の当たりにした。信じられない光景だった。


ルシアニウムが溶けた。文字通り、アイスクリームが垂れるようにのっぺらぼうの顔面が。だが、それは重力に囚われて、無力に地面に落ちるわけではない。押し倒した人間の顔を伝い、目を覆い、口に割り込み、耳に取り付き、一気に、人間の体内に侵入した。


悲鳴をあげることもなかった。口を塞がれている以上叫ぶこともできなかった。ただ手足をジタバタと。やがてそれも終わり、ピクピクと痙攣を起こしながら、ルシアニウムは完全に人間の中に入り込んだ。

それがそこら中で起きている。中には、囚われている仲間を助けようと、落ちた鉄骨でルシアニウムを殴りつけた者もいる。しかしルシアニウムは液状化すると、そのまま鉄骨を持った人間の中に入り込んだ。


もがき、苦しむ。叫ぶ声は、溢れる水の中に溺れるように、暴れ出す体は、最後の命を抵抗に捧げようとするように。


やがて大人しくなる。そしてそれは、新たな命の、命という概念が当てはまるのであれば、始まりであった。


立ち上がる。それは人の目をしていない。人の眼球で、瞳の奥に移す光は、人にあらず。皮膚が裂けた。背中が、腕が、足が、肌色の皮を食い破り、中身が飛び出る。

透明で粘度のある液体が、傷口の間から溢れ出る。赤色はない。ピンク色の、柔軟性のある皮が、ミミズのように生え、のたうちまわる。


そしてそれは、首を360度回転させ、周りを確認する。獲物を見つけたその怪物は、触手を含めた8本の足で移動し、人間の前に立つ。

口を開けた。ガコリ!という音とともに顎が落ちた。皮膚が裂けた。極限まで広げられた口から、数本の触手が映える。


それはおぞましい光景だった。


まるで蛹から蝶が光を望んではい出ようとするように、全身ピンク色の、のっぺらぼうが現れる。


それは目の前の死にかけの人間を容赦なく組み伏せた。そして再び、人間の中に侵入した。


「・・・くん、優一くん!」

耳元で響き渡った大音量に、頭を殴られる。

「何ぼさっとしているの!くるよ!」

その声に、慌ててスコープから目をそらす。大量の人型ルシアニウムが接近して来ていた。それらは道に倒れる人々を蹂躙しながら、ものすごいスピードで迫ってくる。


「う・・・」

トリガーにかかる手が震えた。それは、単純な恐怖だった。理由なんかない。あんなのと普段戦っていると言う実感がなかった。今までやって来たことなんか単なる遊びに過ぎないのだと。本当に殺されるかもしれない、あんな風に、ルシアニウムに取り込まれるかもしれない。


子供の姿が見えた。小鳥の家にいるのとほとんど変わらない背丈。瞳は、人間らしさを持っていない。口を大きく開け、新たな触手をのぞかせながら、およそ人とは思えないような走り方で、迫ってくる。

恐怖なのか、恐れなのかわからない。何に恐れ、何を恐怖しているのかもわからない。でもただただ震えていた。指先の感覚がない。息をしていない。苦しい。でも、体が動かない。


「しっかりして!!!」

乾いた音。

「今優一くんがなんとかしないと!小鳥の家にだってこいつらがいくかもしれないんだよ!!」

痛む頬が、心を現実に呼び戻す。

そうだ。もしあれが、あいつらなら?果穂なら?僕はそれを攻撃できるのか、その眉間に銃痕を残すことができるのか?

無理だ。そしてルシアニウムはやがて軍に討伐される。それをただ待っているなんてことができるだろうか。果穂に佐藤が銃を向けたとして、僕は一体どっちを助ける?どっちを攻撃する?


スコープを覗く、向かってくる(てき)。トリガーを引く。頭を撃つ。青白色の弾丸に貫かれた怪物は、そのまま地面に倒れた。


殺した。殺せた。初めての感触だ。今まで倒して来たルシアニウムはなんだったのだろうか。もしかしたら彼らルシアニウムは、人と融合して初めて生を受けるのかもしれない。つまり、僕が今感じているのは、命を刈り取った感触。


もう一度、狙いを定め、撃つ。当たる。倒れた怪物に引っかかり、後続の何体かは倒れる。


だが、勢いは止まらない。人の、感情を持った軍隊なら、止まるということを知っている。逃げるということを知っている。仲間ということを知っている。だが、ルシアニウムにはそれがない。だからいかにも怪しい罠や誘いに引っかかってくれる。だが今はそれが裏目に出ている。逆を言えば、全員を倒さなければ終わらない。


「私が抑える!その間にどこか高いところに!」

如月さんが大剣を構える。一体どこから取り出したんだろう、とか考えたけど、今はそんなことを考えている余裕はない。

「了解!」

返事をして、近くで一番高い建物に駆け込む。エレベーターは起動してない。なら階段。アドレナリンが出ているのか、全く疲れを感じない。

地上7階。

窓を破壊し、狙撃銃を構える。スコープに如月さんの姿が映る。彼女はすでに戦闘状態だ。彼女一人に対して、相対するルシアニウムは軽く50体を超えている。その中に一人突っ込み、大剣を振り回して、次々と怪物を物言わぬ肉界へと変えていく。


だが、彼女にだって限界がある。認識できる敵の数、向ってくる攻撃の数。だから僕がいる。彼女に攻撃が当たらないように、ここから狙い撃つ。


小さいルシアニウムがいた。おそらく幼い子供を取り込んだのだろう。その小ささのせいで、如月さんは認識できていない。彼女に近づき、取り付こうとする。

それを狙撃する。頭を撃ち抜かれたそれはそのまま地面に倒れこんだ。いつもなら、彼女は僕に何かサインを送っているだろうけど、でも次から次へと襲いかかってくるルシアニウムに、そんな暇は与えてくれない。


迫り来るルシアニウムを、如月さんがなぎ払い、僕が狙撃をする。1秒も気は抜けない。もし如月さんが攻撃されれば、僕の狙撃だけでは倒せる数に限界がある。絶対に、やらせるわけにはいかない。


お腹の大きいルシアニウムを貫く。多分こいつは、妊婦を取り込んだルシアニムだろう。

背の高い、敗れた制服を着たルシアニウムを撃つ。多分こいつは、高校生のバスケ部だったのかも。

スカートを履いて、おしゃれをしたルシアニウムを殺す。多分こいつは、誰かとの待ち合わせにきていたに違いない。

教科書が出かかっているランドセルを背負ったルシアニウムを攻撃する。多分こいつは、通学途中だった可能性がある。


どれもこれも、人間離れした姿をしていた。頭からツノが生えているやつがいる。腕が16本あるやつもいる。目が10個あるやつもいる。スカートから鋭い刃が生えているやつがいる。背中から大きな甲羅のようなものが生成されているやつもいる。


それらをいくら殺しても、なぜか罪悪感が生まれることはなかった。遠近法のせいかもしれない。スコープで拡大されているからといって、ここからじゃ、等身大のルシアニウムはゴキブリと同じように思える。アリを潰しても罪悪感が起きないように、蚊を叩いても、喜びしかないように、ゴキブロを殺せば、妙な達成感があるように、もしかしたら僕はこれを楽しんでいるのかもしれなかった。


僕はむしろその方が怖かった。何かを殺していく方が楽に感じているのなんて、狂ってい


パキっ!


背後で起こったその音に体を捻る。下半身と上半身が分離するかと思えるほど勢い。目前に、ピンク色をした怪物の瞳があった。その変質した長い爪が僕の喉元を狙って伸びてくる。

とっさに狙撃銃を横に構え、盾にした。

破片が飛び散った。銃身を爪は貫く。鋭利なそれが僕の喉仏の数センチ前で止まっていた。


ルシアニウムはすでに人を取り込んでいるようだった。背丈は多分僕より小さい。男の子。虚ろな瞳が僕を写している。


ギリギリ、と爪が前にでる。少しずつだが、爪が銃身に食い込んでいく。もう、破片がボロボロと地面に落下する。

男の子の口が、ガパリ、と開いた。奥底から、ヌメヌメしたピンク色の肌が見える。


恐怖が背筋を走り、逃れたい一心で、狙撃銃のトリガーを引いた。普通ならそのまま銃口から光が放たれる。しかし今はその通り道にルシアニウムの爪が刺さっている。狙撃銃は光り輝いた。


暴発。粉々に砕け散った狙撃銃の破片が、容赦なく全身に突き刺さる。勢いで吹き飛んだ体が宙を舞う。ほんの一瞬の浮遊間の後、床に叩きつけられた。


ぐらりと、気持ち悪さが全身を襲う。吐きそう。だがそんなことをしている暇はない。ビリリ!とした痛みが右腕に走った。見れば狙撃銃の破片が深々と刺さっている。指先に力が入らない。それ以外には特に目立った外傷はない。切り傷が大量にあるくらいだ。


ルシアニウムの方は爪が壊れ、顔に大きな破片が刺さっている。だが、痛覚の存在しないルシアニウムに対してはあまり効果がない。口から触手をのぞかせながら、ルシアニウムは向かってきた。奴の爪はもうない。だが、組み伏せられ、あの触手に体内に入り込まれたら終わりだ。

左腕でR.I.Rデバイス拳銃を取り出す。ろくに狙いもつけずに、発砲。音もなく進んだ光は、ルシアニウムの足を貫いた。しかし、ルシアニウムは止まらない。なんのそぶりも見せずに、ただ向かってくる。


真横に飛びつく。ガラスの破片が体に当たる。銃を向けた先には、爪を壁にめり込ませているルシアニウムの姿があった。再生していた。もし、爪がないと踏んで取っ組み合いになっていたらおそらく死んでいただろう。

だが、今は好機だった。奴は動けない。今ならこちらが一方的に攻撃できる。


銃を向ける。奴のこめかみに正確に狙いをつける。トリガーを引く、瞬間だった。ドゴ!と背中で音がした。肺から空気が漏れ出た。

倒れそうになるのを、足を踏み出してなんとか堪える。振り返ると同時に、顔を殴られた。


勢いのままに壁に叩きつけられる。


エプロンを着たルシアニウム。長い髪、そして腕の先が丸まり、巨大で硬質な塊となっている。

どうしてこの可能性を考えなかったのだろう。ルシアニウムは一体じゃない。今も多分人を取り込んで次々と増殖しているだろう。なら、ここにくるルシアニウムも一体だけ、という方がおかしい。


腕が上がらない。体が動かない。多分さっきので背骨が折れてる。これじゃあ立ち上がることすらままならない。


エプロン姿のルシアニウムが迫る。硬質化した腕が振り上げられる。必死の思いでわずかに体を捻る。右腕にそれが叩きつけられた。


多分ものすごい痛みが走ったはずだ。でもそれを形容できる言葉がない。ただ頭の中によくわからない電気のようなものが走り、のたうちまわるように体が痙攣しただけだ。


ああ、やば、死ぬかも。爪が刺さっていたルシアニウムも自由になり触手を口から覗かせている。あれにとりつかれたら、楽になるのだろうか。痛いのは勘弁だな。それと、できるだけ早めに如月さんあたりに殺してほしい。もし僕が、小鳥の家の家族を殺すようなことになったら、多分一層苦しむだろうから。もう苦しいのはいいや、えんりょ、かんべん・・・


諦めて瞼を閉じようとした。視界が狭まる。暗闇が瞳に写すものを減らしている。そして最後の光が見えた時、赤色の閃光が瞳に映った。


「・・・え?」


赤い光は、なめらかで、そして目にも留まらぬ速さで、空間を動いた。ルシアニウム二体がそれを追いかけるが、捉えられていない。

そして、腕が弾け飛ぶ。足が切り取られる。顔が削ぎ落とされる。胸に穴が空き、首から液体が飛び出て、目玉が潰され、耳から耳へ赤い光が伸びた時、もうルシアニウムは動かなかった。そのまま倒れる。



ひらりと、服が揺れる。瞳が赤く輝いた気がした。ブカブカの袖。低い背丈。ツインテール。

目があう。瞳が揺れ、僕を値踏みするように見る。


確か、柏木、と呼ばれていた女の子。

「ああ、そうか。そうかそうか。そうなんだ」

柏木は見つめてくる。赤いと思っていたそれは、普通の黒い瞳だった。

長い袖がごそごそと振れる。腕を上にあげ、袖が下がる。あらわになった細い腕。だが、それにはものすごい数の黒い斑点。

それがなんなのか考えようとしたが、それ以上のものがあった。注射針が小さな手の中に握られている。

「痛くない痛い痛くない痛い痛くない痛いいたくなーい」

よくわからないリズムを刻みながらツインテールの少女が近づいてくる。

なんの躊躇もなく、腕に注射針を刺してきた。

ちくり、と痛みが走る。

「いたーいいたーい、とってもいたくなーい」

ピストンを押す。中の透明な液体が体内に入り込んでいく。


すうっと、ミントの匂いが広がったような感じがした。鈍い頭が急に冷めていく。


「ふむむ」

注射針を捨て、腕を再び袖に隠す。

「ふむー?立ち上がれない?」

くるりと一回転。今度は右手に注射針が握られていた。


「ツクールツクール、でも壊れる。壊れて作れてレッツメイキング〜」

くるくる回転しながら背中に回ってくる。冴えた瞳はそれを明確に捉え、ようやく得体の知れない物体を体に入れられることへの恐怖を自覚し始めた。


「やめっ」

そういう前に、彼女は背中に注射針を突き刺していた。今度はピリリとした痛みなんてものじゃない。のけぞりそうなくらい強烈なものだった。


「ツクールルークツ、壊れるるれ壊」

またくるっと回転する。注射針が消えていた。


途端に背中に何かむずかゆい感触が走る。何かがうごめいているようだった。気持ちの悪い、外部からの何かが背骨を駆け上がっているようだった。


「壊れたものはまた作る」

回転が止まる。彼女はまた、黒い瞳で僕を見つめてきた。


「・・・パパの邪魔する奴は全部敵。あんたは敵?それとも敵?でも敵じゃないから私助けた。だから敵?」

言葉の意味はわからなかった。でもなんとなく、問いかけられているのはわかった。

「敵じゃないです。すくなくとも、今の僕たちの敵はあのルシアニウムたち」

ハッとして、窓から外の景色を見る。僕のサポートが消えて、如月さんは大丈夫だったのだろうか。


いない。不安が頭の中をよぎる。もしかしてルシアニウムたちに・・・

その時ケータイが鳴った。着信元を見ると、佐藤の名前があった。


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