ルーゼット視点 10
「すまなかった、ルー」
生徒会室に着くなりレオンが謝ってきた。何事?
「今まで俺があんな勘違い女を野放しにしておいたから、今回ルーやユーリック公爵家を侮辱する発言を許してしまった。父親のガレット侯爵は、以前からかなり黒い事をしていたから、証拠を掴んで抑えておいたんだけれど、まさか娘の方が学園内であんな馬鹿な事をするとは……いや、以前から頭は悪いと思っていたが、まさかあれほどとは……」
「プッ」
レオンの言葉に僕は思わず吹き出してしまった。
「ハハハハハ、確かに頭悪かったよね。男は皆自分の事が好きだと勘違いしていて、レオンの事狙っているくせに、僕や皆にも妙な視線をおくってきて、あからさますぎて気持ち悪かった」
キョトンとしたレオンをおいて僕は笑い続ける。
「フフ、本当に僕が機嫌を害する前にいつも君が怒ってくれるからなぁ。だから僕は穏やかでいられる。クスクス。こんな怒りん坊の男のどこが完全無欠の王子様何だろうねえ」
レオンは頬を少し染め、プイと横を向く。
「……今回の件で学園内にも抑えが出来たと思うが、何かあれば言ってくれ。すぐに対応する」
こんな所にも気を回すんだから、リリが惚れるのも無理はないよな。
手の内に入れた者は、全力で守り切る。そんなの見せつけられたら負けを認めるしかないよね。幼い頃からそういう所は変わらない。
マルロス、セル、トーマスも笑いを隠さない。
「反対勢力は大丈夫なのか? これを機に第二王子派閥とか動き出さないか?」
マルロスが思い出したかのように尋ねる。
「そんなの王妃が許すと思うか? まあ、モリーやマックも王に相応しいのは俺だと言って譲らないし、妙な動きをする輩がいれば、すぐにでも王位継承権は返上すると言って、自分達を持ち上げてくる奴らを脅しにかかってるしな、滅多な事がない限り、動けないのが現状だろう」
「モリーもマックも、本当にレオンの事好きだよねえ」
セルがクスクス笑う。
「……まあ、王族は王族で色々あるからな」
うん、色々な問題を君が解決してあげてるからね。
「ああ、そういえばルー。次のお茶会でリリを俺の家族に会わせてもいいか?」
「婚約が決まったんだもの。もちろんだよ。何? 国王様が会いたいって?」
「国王はもちろんだけれど、下三人もな。特にミリーは女だから、姉が出来たと喜んで、年も近いし早く会いたいと言っている」
僕は少しおしゃまな王妃様に似た、可愛いレオンの妹殿下を思いだす。
母上と王妃様のような関係になったら……ちょっと困るかな? レオンが。
「今年八歳だっけ? リリも喜ぶと思うよ。年下好きだから」
「え? 年下好き? リリは年下が好みなのか?」
うん、正しく間違っているよレオン。
「リリを変態みたいに言わないで。リクルや使用人の子供の面倒をみていた姿を思い出して言っただけ。変な意味じゃない」
「……あ、ああ。うん、悪かった」
「クスクス、本当にリリの事になると表情豊かだね。王子様」
トーマスが揶揄うように言う。
「…………」
バツが悪そうにそっぽを向くレオン。こんなレオンが見られる日が来るとは思わなかったよ。
それが自分の妹だっていうのは、少し複雑ではあるけどね。




