頂点
勝利と関羽は駆け続けた。
「勝利!無事だったか!」
夏侯淵が、勝利の姿を見つけてやってくる。
「夏侯淵!曹操はどこだ?」
「曹操様は…幕舎だ!しかし、そこには…」
続きを言う前に、勝利はもう駆け出していた。
「…頼んだぞ、勝利」
駆けていく勝利の背中を見つめ、せめて自分にできることをやろうと、夏侯淵は思った。
見つけた。目から生気が無くなっているが、曹操だった。もう少しで、会うことができる。
突然、勝利の目に槍が迫ってきた。
「…!?」
咄嗟に如意棒で受け止める。激しくぶつかる音がした。
「…よく受け止めたな、異世界の人間よ」
「お前が、左慈か」
禍々しい槍を持った人間が、目の前に立っていた。
「お前は…許さない。目的と、知っていることを全部吐いてもらうまで、逃さない」
左慈の方を見ると、肩を震わせている。
「…許さない、だと?それはこっちのセリフだ!計画のことごとくを潰しやがって!」
目に見えない速さで槍を振るってくる。勝利はなんとか受け止める。関羽は、勝利の援護をしようとしたが、足手まといにしかならないことを自覚し、自重していた。
「…お前の目的は、なんだ?左慈!」
棒で打ち込む。しかし、うまくかわされる。
互角だった。本来、如意棒とは互角にうちあえない。ぶつかった武器は、如意棒の硬さに耐えれず、そのうち壊れてしまうからだ。
「なんでお前の武器、そんなに丈夫なんだ…?なぜ、俺と打ち合える?」
左慈の方から聞いてきた。
「その武器…もしかして、ゲイボルグ、か?」
「知っていたか。お前の武器はなんだ!?」
ゲイボルグ。勝利は聞いたことがあるだけだったが、持っている者の能力を数倍に引き上げる武器だった。
武器は、伝説の武器であれば、伸び縮みしたり、能力を引き上げたりという効果を有するものが多い。
「人間なら、俺には敵わないはずだ!なぜ、互角にうちあえる…?」
「…世界は広い。いくら能力が引き上げられていようとも、自分より上の人間は必ずいる」
交差した。槍は勝利の顔をかすめ、棒は左慈の肩を打っていた。
「…左慈。お前は、武器に支配されている。武器に、使われている。…武器に、呪われている。それじゃ、俺には勝てない」
「ばかな…。俺は、この世で一番強いはずだ!」
力任せに槍を突き出してくる。しかし、届かない。
「俺にもそう思う時期はあったから、そう思うことはよく分かる。…だけど、俺も、お前も、この世で一番強くなんてない。俺は槍一つとっても、お前より強い奴を二人知っている。…一人は、俺の棒の先生で、俺より強い」
「嘘だ!あり得ない!この俺がゲイボルグを使って、槍で負けるわけ…」
「先生なら、多分普通の槍でお前に勝つさ」
「そん…な…」
勝利に次々と棒で打たれる。最後の力を振り絞って、槍を突き出した。服にかかり、勝利の上半身が露わになった。
「お前…その龍は、なんだ…」
九つの首を持った龍。それが、勝利の上半身に現れていた。
返事をせず、勝利は左慈の胸を叩いた。左慈はついに気を失い、槍を地面に落とした。




