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潜入

「行くぞ!」

黄蓋が指揮をして、船団が動き始めた。

弓矢がこないように、盾をしっかり用意している。

向こうも、船を出してくる。小型の船が多い。慣れさせるために、一度戦をしておくべきと考えたのだろう。

「勝利。無事でいるのじゃぞ」

「ああ、もちろん」

大型の船から出てきた小舟に、勝利は乗る。上手く敵の船に紛れるようにして、見えなくなった。

「船の大きさでこちらの方が大きい場合は、ぶつかれ!」

ぶつかる。敵は小型の船が多かったので、上手く攻めれている。

しかし、小型の船の方が動きが早い。しかも小回りもきく。

上手くこちらの船の側面に回り込んで、こちらの船へ飛んでくる。

「ちっ。潮時か。全軍!引け!」

頃合いと見た黄蓋が撤退の指示をだす。

敵が乗ってきた船の兵士は、海へ飛び込んで逃げる。

こうして、初戦は終わった。



「よし、何とか乗り込めたな…」

敵に船を数隻奪わせたのはわざとだった。そうすることで、船の個数が増えていても不思議がられない。

「!!何者ですか!」

見つかった。見覚えのない顔だった。

「お前は…?曹操軍のやつか?俺は、孫権の軍師、勝利だ。敵ならば殺す!」

棒を構えた。

「ち、ちがいます!私は劉備軍の軍師、龐統といいます!曹操軍の様子をこっそり探るように言われて、潜入してるところです!」

正直に言いすぎだった。

「潜入に向いてなさそうだな…」

「あ、ここでは私は曹操軍の軍師ということになっています!」

「しかも俺のことすぐ信じすぎだろ…」

「あ、それについては孔明ちゃんから話をすでに聞いているので!この作戦のことは知らなかったですけど、孔明ちゃんがいってた通りの人だったので、大丈夫と判断しました!」

どんな印象を話されたのか、気になるところではあった。

「まあそれなら話が早いな。こっちは火攻めを考えている。船を鎖でつなぐの、お願いできるか」

「は、はい。多分大丈夫だと思います」

「あと…曹操軍に、操られていない奴はいないのか?」

「勝利!無事だったか、よかった」

近寄ってきた人間を見ると、夏侯淵だった。

「夏侯淵!操られてなかったのか。お前だけ無事なのか?」

「ああ…そうだ。姉上にとっさにかばわれて、私だけは幻術を受けないで済んだ。もっとも、操られている振りはしているが」

「なるほど。それはいいことを聞けたな」

「勝利。気をつけろよ。この戦、何としてもお前を殺す気みたいだ」

「…ああ。ありがとう。じゃあ、またな。絶対助けてやる」

「…でも、どうやって戻るんですか?向こうへ」

「おそらくそのうち、もう一回戦争を仕掛けてくれるはずだ。それに乗じて、戻るようにする」

とりあえず、操られていない人がいることがわかった。鎖でつなぐことも任せたし、勝利は、逃げれる機会をはかった。

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