信頼
趙雲がやってきた。
「…劉備殿から書状を持ってきました。これを」
書状には、袁紹軍の兵糧のありかが記されていた。
「…では」
去ろうとする趙雲を呼び止める。
「待ってくれ。…、ありがとう」
「失礼」
戸惑いながら、趙雲は去っていった。
「勝利。どうするの?この書状、信じれる?袁紹が書かせたものかもしれないわ」
「罠の可能性は確かにある。だが、同時にまたとない好機でもある。あと2日、待ってみよう。袁紹が書かせたものなら、その間になんとか弁明の書状がくるだろう」
「勝利殿。待って頂きたい。劉備殿が天下を狙っているのであれば、向こうの立場から考えると、ここで我らを滅ぼす方がいいのではないか?」
「荀彧。お前の言っていることは正しい。もっとも天下に近づくやり方はそれだろう。…だがな、劉備や関羽、張飛は絶対にその手段は取らないと思う。だからこそ、あいつらは慕われるし、曹操に匹敵する勢力になりうるんだ」
「劉備のこと、よく知ってるわね」
ジトっとした目で見てくる。
「俺はな、袁紹よりも、よっぽど劉備の方が手強いと思うぞ。曹操も、それは分かっているだろう?」
「まあ、ね…」
「この烏巣っていう情報を知れた。これが本当だったら、俺たちに負けはない。つまり、俺たちが今劉備軍をせめて滅ぼす、という手段もある。その後袁紹を倒せば、天下はすぐに俺たちに傾くだろう。…だが、俺も、曹操も、あるいは誰も、それをする気はないだろう?」
夏侯惇と呂布だけは分かっていない様子だったが、他のものは頷く。
「結局、曹操も、劉備も、どこか甘いんだ。そして、その甘さが、優秀な将が集まる天下人の素質なんだろう」
「あら…照れるわね」
冗談っぽく言っているが、顔は赤かった。
「2日後。俺は烏巣を急襲しにいく。急襲の知らせが入ったら、こっちに援軍が寄せられるかも知れないし、俺がいない間に本陣が攻められる可能性もある。堅陣を組んどいてくれ。こっちから攻める必要はない。とにかく防御に徹しろ」
「分かったわ。…相手がそっちに援軍を送ってきたり、あるいは罠だったりした場合、どうするの?」
「罠だったら逃げる。その時は、合図を送るから、せめこむふりをしてくれ。騎兵を中心にいくから、大丈夫だ。援軍を送ってきたように、こっちにもそこそこ優秀で、もっと成長していってほしい将をつける。楽進、李典、于禁などどうだ?」
「いいわ。貴方もだけど、その三人も絶対死なないようにしてね」
「ああ。どっちに張郃が来るかわからない。こっちに張郃が来たら熾烈な争いとなるが…そっちに来たら、攻め込みに行かず守りに徹してくれ。それでなんとかなる。呂布もいるしな」
「…うん。頑張る」
「よし。じゃあ、準備だ!」




