趙雲
「ごめんね、勝利お兄ちゃん…」
張飛が矛を交えてくる。劉備軍が敵に回ったのだ。曹操軍はかなり押されていた
「まあでも、張飛と真剣に戦えるのは楽しいな!」
張飛。めちゃくちゃ強かった。呂布には少し及ばないが、それでも他のやつよりは強い。
お互いに殺す気は無かった。しかし、本気で戦っていた。二人とも、楽しんでいるのだ。
「関羽には、呂布と張遼。張飛には、俺。張郃には、夏侯惇と夏侯淵。さすがにそう簡単には負けないぜ」
小声で話している。
「勝利お兄ちゃん、だめ…!もう一人、いる…!」
不意に、横で戦っていた曹洪軍が崩れるのが見えた。
「なに!?袁紹軍にそんなに優秀な奴がいたとは思えないが…」
勝利軍の側面を、敵の騎馬隊が突っ込んできた。
「多分、勝利お兄ちゃんは知らない…。公孫瓚が、袁紹に敗れて、その後劉備お姉ちゃんの下にやってきた人がいるの…」
「張飛!よくぞ言った!その、可憐で最強で美しい武将とは、私のこと!趙雲、参上!」
「…可憐と美しいは、同じ意味だぜ…?」
いきなり槍で突いてくる。こっちは殺す気だ。
「趙雲!殺しちゃだめ!」
「何を言っている。曹操軍の軍師であろう?敵ではないか!」
そうか。趙雲は今一状況を掴めていないみたいだ。
「それにしても、お前、強いな…!!」
勝利は防戦一方だった。殺していいかも決めかねている。
「くそ、しょうがない。撤退の合図をならせ!殿は、俺がつとめる!」
撤退の銅鑼が鳴らされる。曹操軍は撤退していく。
敵も、追撃をしてくる。
「一つだけ残して橋を切れ!」
曹操軍が橋を渡りきると、一つを残して切る。追撃を防ぐためだ。
残った橋の真ん中に、勝利は立つ。
「誰か、俺と一騎打ちしたい者はいるか?」
負け戦でも、味方の士気を落とすわけにはいかない。一騎打ちをし、勝つことによって、撤退した味方の士気をあげる作戦だった。
「ふん。私が行こう」
趙雲が来た。勝利は武器を手にしていなかった。
「舐めてるのか!」
趙雲は気を発する。しかし、迂闊に踏み込めない雰囲気があった。
趙雲の顔から汗が滴り落ちる。
(なんだこれは…。動けない…?)
趙雲はお腹に力を入れた。叫ぶ。踏み込んだ。
しかし、その槍が勝利に届く前、槍が突然消えた。
「!?」
いつの間にか、槍は勝利に取られていた。
「なんだ、お前…!?」
「俺のいた世界では、無刀取りと呼ばれていたな」
「無刀…取り?」
勝利が踏み込んだ。一気に趙雲との距離をつめる。
「悪く思うな。」
掴んだ。見渡し、張飛のいるところを確認する。
ブンッ。投げた。張飛のところへ。
「わっ!」
なんとか張飛はキャッチした。
「て、撤退!」
張飛が撤退の合図を出した。
撤退していく袁紹軍を見送り、勝利は自陣へ戻った。




