衝撃
「これでお主は私の従順な部下。存分に戦っておくれ。」
「…」
陳宮が指示を出す。勝利は呂布と前線へ向けて歩いた。
突然、勝利が自分の舌を噛んだ。血が出てくる。
「おい、呂布!この程度の幻術にやられてるんじゃねぇ!」
「…」
しかし呂布に意識はない。
「くそ、仕方ないな」
突然、勝利は呂布に口づけをした。呂布の舌を少し噛む。血が出る。
「…?勝利…?」
呂布の意識が覚醒する。
「久しぶりだな、呂布。元に戻ってなによりだぜ」
「そう。私、陳宮に手を乗せられて、いつのまにか…」
幻術中も、遠い意識がある。なんとなく、ぼんやりと覚えているみたいだ。
「でも、どうして元に…?」
「血が出たら体の器官が狂う。特に舌の血は止まるのにも時間がかかるし、痛みを伴うことで現実にも戻って来やすくなる。」
「…?よく分からない」
「幻術は、何が起こってもぼんやりとしてしまうものだ。だから、それすらを超えてしまうような衝撃が必要だった。舌の血と痛みを、衝撃にしたということだ。」
呂布は考える。
「…それ、多分違う。」
「何が違うんだ?」
「勝利、私の初めて、奪った。それが、現実に戻ってくるくらい衝撃だった。」
「…なるほどな。悪かったよ」
「大丈夫。嫌じゃない。喜怒哀楽の、喜」
どうやら嫌われてはいないみたいだ。
「責任は、取ってほしい」
不穏な言葉が聞こえたが、今はそれどころではない。
「とりあえず、この調子で張遼の幻術を解くか」
呂布が腕を掴んでくる。
「…まさか、張遼にも同じことする気?」
殺気が漂ってくる。
「呂布!?何怒ってるんだ!?」
「治療のためなら仕方ないのはわかる。…でも、いや」
「と、とりあえず張遼の様子を見て考えよう」
「…うん。でも許すつもりはない」
張遼の陣へ駆けた。




