侵食
「呂布が裏切った!?そんなバカな」
流石に勝利にとっても意外だった。ありえないと言ってもよかった。
「そんなこと、ありえない。坊や、恐らくこれはなにかの策略よ」
呂布のことを昔から知っている董卓が言う。
悪い情報は次々と入ってきた。
「報告!呂布が、劉備軍を攻め、劉備軍敗北!劉備殿が、我々を頼ってきています!」
「劉備もやぶれたのか。夏侯淵、今劉備がきているのか?」
「ああ、そうだ。」
とりあえず劉備を招き入れることにした。
「勝利殿!これはどういうことだ!呂布は、曹操軍の将となったのではないのか!?」
関羽が詰め寄る。
「それが、俺にもどういうことか分からないんだ。呂布の様子はどうだったんだ?」
「それが、正常ではなかった。光を失った目をしていて、まるでなにかに操られているようだったんだ」
「操られている、か…」
貂蝉が出てくる。
「そういえば、聞いたことがあります。陳宮という軍師が、幻術を使うことができると…。董卓様、そうでしたよね?」
「ふむ。確かに幻術を使うことができたな。だが、人を完全に操ることまで出来なかったように思うが…」
「曹操殿。こちらへ身を寄せさせて頂いてもよろしいでしょうか」
劉備がお願いをする。
「ダメよ!絶対だめ!」
猛烈に拒否する。
「曹操、どうした?ここは、受け入れるべきだと思うが」
「煩いわね。助けてあげる義理なんてないでしょ!」
「しかし、それは余りにも道理に反するぞ?」
「うう…仕方ないわね。ただし、あなた達が裏切らないとも限らないわ。勝利と手が届く範囲にいかないこと!いいわね?」
劉備がクスクス笑っている。
「曹操ちゃん。大丈夫だよ?心配しなくても」
「なんだ、ただの嫉妬かー」
張飛は煽るつもりなんてないのだろうが、曹操は怒る。
「違うわよ!」
「しかし、私たちが暗殺なんて無理です。勝利殿に敵うわけないじゃないですか」
関羽が正論を言う。流石に曹操も言い返せない。
「俺も別に気にしなくていいぞ。関羽や張飛とは手合わせしたかったし。劉備とも話したりしたかったしな」
「アンタがそんなんだから、警戒してるんでしょうが!バカ!」
和やかな雰囲気になりそうだったところで、一人の女の子が駆け込んできた。
「賈詡!?無事だったのか!?」
「勝手に無事じゃないことにすんな!少し水をくれ!」
貂蝉が水を取りに行く。
賈詡は、呂布と一緒に張遼を引き抜きにいっていた。勝利は呂布と操られていると思っていた。
「はい、どうぞ」
水は一瞬でなくなった。それから息を整え、落ち着いて話し始めた。
「陳宮ってやつ、前から変やと思ってたけど、やばい。優秀なのは間違いないから、張遼のついでに引き抜こう思ったんやけど、呂布が引き抜きに行ったまま帰ってこなかったんや。探しにいったら、光のない目をしながら兵の調練をしていた。まるで、今から戦をするみたいに」
「完全に操られてるな。陳宮ってのはどんなやつなんだ?」
「私が説明するわ。実は、少しだけ私の配下だったのよ。突然私の下からいなくなったけど、董卓のところにいたのね。その頃は幻術が使えるなんて言ってなかった」
「私がきてることは陳宮も知らなかったみたいで、なんとか逃げ出してきたんや。」
「良くやった。お前のおかげで、呂布は完全に操られてると確信できた」
頭を撫でる。
数秒撫でられた後、ハッとして勝利を殴ったが、痛くはなかった。
「恐らく呂布は袁紹も脅威を感じているはずだ。まず、呂布の猛攻を抑えよう。袁紹から力も借りれるだろう」
左慈というやつと何か関係があるかもしれない。勝利は、この世界に来た秘密がわかるかもしれないと思った。




