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(本編完結・番外編更新中)あの時、私は死にました。だからもう私のことは忘れてください。  作者: 水無月 あん
番外編

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ラナから花へ 28

お母様の質問の意図がみえず、何も答えられずにいると、お母様がいらだった声で聞いてきた。


「あの女は、何の落ち度もないルリを逆恨みして、階段からルリを突き落したのよ!? そんな悪魔のような女なら、ルリに嫌がらせとかしていたに決まってるわ! ルリが目覚めないからって、あの女の悪事が隠されて、罪が軽くなったら困るもの。……ねえ、ラナ、ルリから、何か聞いてるんでしょう!?」


「いえ……、嫌がらせがあったとかは、聞いていませんが……」


「嘘よ! 事件の前の日、ラナの部屋からルリがでてくるところを見たもの。ちゃんと思い出しなさい!」


甲高い声が頭に響く。

でも、もう、体の震えは戻ってこない。


それよりも、しっかりと背中をおさえ続けてくれている春さんや、私を守るように、身をのりだして、スマホをにらみつけている森野君のおかげで、勇気がわいてきた。


こうなった以上、ルリのことは隠さず伝えたほうがいい。

お母様の知りたいこととは全く違うだろうけれど、私の知っていることを話そう。


「お母様。確かに、事件の前の日、ルリが部屋に来ました。解熱剤をとりにきたんです」


「解熱剤……? ルリは熱がでていたの!? ラナ、あなた、それを知っていたのに、私に何も言わなかったの!? ルリの体調が少しでも悪くなったら、すぐに私に教えなさいって、ずっと言ってきたでしょう!」


お母様が声を荒げて、私を責める。


「俺が花のかわりに、しゃべっていいか……?」


驚くほど、冷たい声でささやいてきた森野君。

見ると、怒りのあまりか、眼光が鋭すぎる状態になっている。


普段は冷静な森野君が、私のために、ここまで怒ってくれることがうれしくて、こんな時なのに、思わず、ふふっと笑ってしまった。


「森野君、ありがとう。二人がいてくれるから、私は大丈夫だよ。ちゃんと話すから、見守ってて」


スマホの向こうのお母様に聞こえないよう、私は森野君にささやき返した。

すかさず、春さんが私の背中を優しくさすってくれる。


「ちょっと、ラナ!? 聞いてるの!?」

と、お母様が叫んだ。


不思議と、お母様が声を荒げれば荒げるほど、お母様から自分が切り離されていくような気持ちになる。 

これも、ふたりのおかげだなあと、ありがたく思いながら、スマホの向こうにいるお母様に意識を戻した。


「聞いています、お母様。ルリには、お母様には言わないでと言われたのですが、ルリがこうなった以上、そのまま話します……。

ルリが私の部屋にきたのは、解熱剤をもらいにきたんです。でも、久々に熱がでそうな感じがしただけで、熱はないと言っていました」


「じゃあ、何故、解熱剤がいるのよ!?」


「ルリは、翌日、遊びに行くから、熱がでたら困る。だから、解熱剤をもらいにきたと言っていました。それは……」


そこまで言った途端、お母様が声を張り上げた。


「ラナ! まさか、あなた、それで、ルリに解熱剤を渡したの!? ルリは優しいから、お友達との約束をやぶりたくなかったんでしょうけれど、ラナが私に報告さえしていれば、学校を休ませたのに! そうしたら、ルリが階段から突き落されることもなかったのよ!」


森野君が椅子を蹴って立ち上がった。


私は、森野君の腕をおさえて「大丈夫だから」と、小声で言って、にっこり微笑んでみせた。


「守。落ち着きなさい……」


森野君を止める春さん。


でも、言葉とは裏腹に、春さん自身も椅子から立ち上がり、森野君と同じように、スマホに飛びかからんばかりに身をのりだしている。

そんな二人に、またも力をもらった私。

今度はお母様に遮られないように、もっと大きな声で、さっきの続きを話し始めた。


「お母様、その約束は、デートだとルリは言っていました。相手は、突き落とした女の子の彼氏だと思います。……彼女がいて、ルリになかなか落ちなかったけれど、やっと別れたから、絶対に行くと言っていました」


「……つまり、ラナは、ルリが彼女がいる人をとったって言いたいの? まさか、ラナ。あなたは、ルリがそんなことをする子だと思っているの……? 

ルリが、そんなことをするわけないじゃない! ……ラナ。ルリを守れなかったことを責めはしないから、本当のことを言いなさい!」


お母様の重い圧が、スマホ越しにも伝わってくる。


今までの私なら、こんなお母様を前にしたら、ただただ、びくびくしながら従うだけで、思っていることを何も言えなかった。

でも、もう、私は屈しない。

お母様の望む答えではなくても、私が言うべきことを正直に言おう。


「私は……、ルリから聞いたことをそのまま話しただけです」


次の瞬間、お母様が怒り狂ったように叫んだ。


「ラナ、あなたもなの!?」


え? あなたも? 

それって、どういう意味だろう……?



色々とあわただしく、なかなか更新できず、遅くなりました。不定期な更新のなか、読みづらいところも多々あるかと思いますが、読んでくださっている方々、本当にありがとうございます!

そして、こちらも遅くなりましたが、レビューのお礼を活動報告に書きました。

あたたかいレビューに本当に励まされました。ありがとうございます!

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