↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/14

【09】 『お役所仕事』って、どういう意味?

爽香は住民課の前にある

待合席に腰掛けた。

そしてぶつぶつ呟いた。


爽香「まったく『転入』『転居』『転出』だのってお役所仕事なんだから。全部『転居』で何が悪いのよ。充分伝わるでしょうに! 公務員っておバカの巨大組織よね。そうだ、待っていても暇だからスマホで『お役所仕事』の意味を調べてみようっと」


爽香はスマホで『お役所仕事』と

入力して検索し始めた。


爽香「なになに、『形式主義に流れ、不親切で非能率的な役所の仕事振りを非難して言う言葉』」


爽香はスマホを膝の上に置き拍手した。


『パチパチパチパチ』


カウンターで丹沢が、


丹沢「なんだ、あいつ? 待合席から私を応援しているのか?」


爽香は待合席で、

スマホ画面を見ながら、


爽香「ははははは、お見事! まさにその通り。『不親切で非能率的』か。丹沢とやら、まったくこの言葉通りのお役所職員だわ。はははははっ」


更に大きな音を立てて拍手した。


カウンターで丹沢、


丹沢「あいつ、絶対に頭おかしいぞ!」


丹沢は、事務室の奥で

「方書一覧表」というリストから

美女来地区の共同住宅名を探していた。


そこに、先輩の戸部考一がやってきた。


戸部は室内で戸籍の仕事をしているが、

なにかと丹沢の面倒を見てくれた。


戸部「あの女、待合席で急に拍手して笑い出したけれど、頭大丈夫か?」


丹沢「大丈夫じゃないですよね。完全にイカれてます」


戸部「やっぱり。今日は、最後に悪いのに当たったね」


丹沢「いつものことです」


戸部「もう時間外だ、なにか手伝うことがあったらなんでも言ってくれ」


丹沢「ありがとうございます。いつも悪いですね」


戸部「なぁに、お互い様さ」


管理職とごく一部の職員は、

すでに職場を去っていた。


ロビーの待合席で。


爽香「『かたがきは?』って言われれば誰だって『社長』とか『課長』とかって思うじゃないねぇ、『かたがき』の『かた』が体の『肩』でなく、『方角』の『ほう』なんて言葉、誰が知っているって、馬っ鹿じゃないの丹沢さん。そうだ、時間があるからスマホで『かたがき』っていうひらがなを漢字変換してみようっと」


爽香はスマホで「かたがき」と入力し、

変換候補を見た。


爽香「あれっ? 体の『肩』の『肩書き』しか変換できないじゃない。『方書』なんて、ないわ。やっぱし。ふふふふふ」


爽香はスマホを膝の上に置き

手を叩いて笑い始めた。


拍手「パチパチパチパチ」


爽香「ぐははははは」


爽香は誇らしげに腹から笑った。


その拍手の音と笑い声を聞き、

丹沢と戸部が住民課の事務室内から

爽香を見た。


丹沢「完全にイカれてる!」


戸部「まったく同感だな!」


爽香「しっかし、遅いわねぇ。もっと簡単に手続きが終わらないの? あいつが『ようこそ美浦市へ。はい、これで手続きは終わりです』って、言えばいいのよ! なぜ、こんなに時間がかかるのよ! まったく『不親切で非能率的』なんだから!」


丹沢「速水爽香かぁ、なんできちんと書類を書いてこないのかなぁ、正確に記入してあれば書類を提出して数分で終わるのに。まったくいい加減な女だよ!」


爽香「あの受付の丹沢って男、もてないだろうなぁ。独身か? それともバツイチか? いずれにしても嫌な男ね!」


丹沢「まったく気の強い女だ。あれじゃもらい手がいないだろうな。絶対結婚したくないタイプの女だ!」


戸部「まぁまぁまぁ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。