表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
企業戦士戦線(コーポレート・ウォーフェア)  作者: 凡夫 成


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/104

企業戦士 外伝 秘書室 ―中田翔子― 第4話 鳩

今回から外伝として、中田翔子編を始めます。

本編ではすでに“象徴”として語られることの多い中田さんですが、彼女がどのように秘書室を作り、東都を支えていたのかを書いていきます。

企業戦士の戦いには、前線で戦う武官だけでなく、情報を読み、人を動かし、会社を守る文官もいる。

そんな裏側の企業戦争を楽しんでいただければ嬉しいです。


東都建設。


秘書室。


白鷹と出会ってから数週間。


大きな事件は起きていなかった。


だからこそ。


中田は気を緩めなかった。


静かな時ほど。


敵は動く。


その日。


鷹名から一本の連絡が入る。


「中田。」


「一人預ける。」


数分後。


秘書室の扉が開く。


若い社員。


まだ二十代前半。


緊張した表情。


「営業一課の鳩山です!」


深々と頭を下げる。


中田。


笑顔で迎える。


「いらっしゃい。」


鳩山。


困惑する。


「営業を辞めるんですか?」


中田。


首を横に振る。


「違うわ。」


「兼務よ。」


「今日から秘書室でも働いてもらう。」


鳩山。


「えぇ!?」


「でも……秘書室って何するんですか?」


中田。


資料を渡す。


「読んで。」


鳩山。


五分後。


頭を抱える。


「難しい……。」


株価。


契約。


情報管理。


役員対応。


企業防諜。


聞いたこともない言葉ばかり。


中田。


笑う。


「安心して。」


「最初はみんなそう。」


鳩山。


「室長は全部分かるんですか?」


中田。


少し考える。


「全部は分からない。」


「だから考えるの。」


「分からないままにしない。」


その言葉は。


鳩山の胸に残った。


数日後。


中田は鳩山を連れ。


営業フロアを歩いていた。


時任明。


営業資料を抱え。


廊下を走る。


鳩山。


「あっ、時任さん。」


時任。


「あれ?鳩山。」


「営業戻ってこいよ。」


鳩山。


苦笑する。


「秘書室に連れていかれました。」


時任。


驚く。


「お前すげぇな。」


鳩山。


「俺もよく分かってない。」


中田。


二人を見る。


時任。


誰よりも真っ直ぐ。


鳩山。


誰よりも人をよく見る。


中田。


心の中で呟く。


「面白い。」


「タイプは違う。」


「でも。」


「二人とも会社を守る人になる。」


その時だった。


一人の社員が走ってくる。


「室長!」


「契約書が一枚ありません!」


営業部。


騒然。


「社外秘だぞ!」


「どこいった!」


鳩山。


青ざめる。


「盗まれた……?」


中田。


即答する。


「違う。」


「まだ社内にある。」


全員。


「え?」


中田。


静かに歩き始める。


社員の机。


コピー機。


会議室。


ゴミ箱。


何も触らない。


ただ。


見るだけ。


そして。


コピー機の横で止まった。


中田。


一枚の紙を持ち上げる。


「これね。」


契約書。


社員たち。


「えぇ!?」


営業部長。


「なんで分かったんですか?」


中田。


微笑む。


「犯人を探してないから。」


「契約書を探しただけ。」


静まり返る。


鳩山だけが。


その意味を考えていた。


その夜。


秘書室。


鳩山。


「室長。」


「俺。」


「企業戦士にはなれません。」


中田。


コーヒーを飲みながら答える。


「なる必要もないわ。」


鳩山。


「え?」


中田。


笑う。


「あなたは戦う人じゃない。」


「守る人。」


「剣じゃない。」


「盾になりなさい。」


鳩山。


黙る。


中田。


続ける。


「会社には武官も必要。」


「でも。」


「文官がいなければ会社は勝てない。」


「あなたは。」


「文官になりなさい。」


その瞬間。


鳩山の中で。


何かが決まった。


その頃。


向かいのビル。


白鷹。


双眼鏡を覗く。


鳩山を見る。


そして。


小さく笑う。


「鳩か。」


「良い名前だ。」


部下。


「消しますか?」


白鷹。


首を横に振る。


「いや。」


「まだ飛べない。」


「飛べるようになってから狩る。」


企業戦争。


白鷹は。


次の獲物を静かに見定めていた。

中田翔子編、開幕です。

今回は秘書室の誕生と、白鷹との出会いまでの流れでした。

本編では名前だけでも重みのある中田さんですが、外伝では彼女の有能さや優しさ、そして東都に残したものを少しずつ描いていく予定です。

鳩山や時任明との関係も、本編につながる形で入れていきたいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ