第2話 企業戦士、火と戦う。
本作は「企業×能力バトル」をテーマにした物語です。
商談は戦闘。契約は勝敗。
その結果は株価として市場に反映されます。
現場、会議、市場——すべてが戦場です。
気軽に読んでいただければ嬉しいです。
午前。
---
「行くぞ」
---
岡田が歩き出す。
---
「挨拶回りだ」
---
時任明は一歩後ろを歩く。
---
「この辺一帯は、全部“顔出し”しとく必要がある」
---
工事現場。
事務所。
取引先。
---
企業戦士にとって、関係構築は戦いの前段階だ。
---
「現場を知らねぇ奴は、勝てねぇ」
---
岡田は止まらない。
---
一件、一件。
短い会話。
鋭い視線。
---
(……見てるな)
---
時任は感じる。
---
岡田はただ挨拶しているわけじゃない。
---
“測っている”。
---
相手の力量。
空気。
危険度。
---
そして——
---
「……来てるな」
---
足を止める。
---
空気が、熱い。
---
昼の街は、いつも通りのはずだった。
信号。
車の流れ。
人の足音。
---
だが、その一角だけが歪んでいる。
---
「東都建材、か」
---
声。
---
振り向く。
---
炎のような髪の男。
---
「燃やしていい?」
---
炎城レオ。
---
---
そのとき。
---
岡田が一歩前に出る。
---
「その話、俺が聞こうか」
---
---
視線がぶつかる。
---
だが——
---
動かない。
---
---
企業戦士にとって。
---
初対面の名刺交換は——
---
“神聖な儀式”である。
---
---
いかなる戦闘よりも優先され、
いかなる能力よりも干渉されない。
---
---
何人たりとも、邪魔はできない。
---
---
炎城がポケットから名刺を取り出す。
---
岡田も同じように出す。
---
時任もそれに倣う。
---
---
「帝央ゼネコン」
---
炎城が名乗る。
---
---
「東都建材」
---
岡田が返す。
---
---
静かに、差し出す。
---
受け取る。
---
---
一瞬だけ。
---
空気が止まる。
---
---
——契約前の、確認。
---
---
名刺が収まる。
---
---
その瞬間。
---
「焼き尽くせ——フレイム・ライン!!」
---
一直線の炎。
---
---
「遅ぇ」
---
岡田が突っ込む。
---
直撃。
---
肉が焼ける。
---
煙。
---
---
だが——
---
その中から出てくる。
---
焼けた皮膚が再生していく。
---
---
「効いてねぇよ」
---
「……は?」
---
---
岡田、距離を詰める。
---
拳。
---
ドンッ!!
---
炎城が吹き飛ぶ。
---
---
「ぐっ……!」
---
---
「……いいな」
---
炎城が立ち上がる。
---
「もっと見せろ」
---
---
「インフェルノ・サークル!!」
---
周囲が燃える。
---
アスファルトが溶ける。
---
---
「邪魔だ」
---
岡田が突っ込む。
---
殴る。
---
「チッ……!」
---
---
温度が上がる。
---
空気が歪む。
---
「ならば——」
---
炎城の目が変わる。
---
「我が炎の極致——」
地面が焦げる。
「邪王炎…(ジャオウエン…)——」
---
そのとき。
---
風が吹く。
---
「……レオ、それ以上やると」
---
---
「——安間部長、来ますよ」
---
---
一瞬。
---
炎城の動きが止まる。
---
沈黙。
---
「……あ?」
---
時任が眉をひそめる。
---
(誰だ、それは)
---
---
土岐ルナが肩をすくめる。
---
「うちらでも止めらんない人」
---
---
水瀬アオイが静かに言う。
---
「……消される」
---
---
炎城、舌打ち。
---
「……チッ」
---
炎が消える。
---
---
「つまらん」
---
---
背を向ける。
---
---
岡田が笑う。
---
「逃げんのか?」
---
---
「違う!」
---
---
「燃やす場所を選ぶだけだ」
---
---
四天王が去っていく。
---
---
静けさが戻る。
---
---
そのとき。
---
時任のスマホが震える。
---
---
画面。
---
『帝央ゼネコン幹部、現場で押される』
---
『炎城レオ、実質敗北か』
---
『東都建材、上昇の兆し』
---
---
「……早ぇな」
---
岡田が笑う。
---
---
風が吹く。
---
「風ってさ、こういうの運ぶのも仕事なんだよね」
---
遠くで風見カエデの声。
---
---
水瀬アオイが呟く。
---
「……事実じゃない」
---
---
土岐ルナが笑う。
---
「でも市場は“印象”で動くよ?」
---
---
炎城は無言でスマホを見る。
---
---
帝央ゼネコン −0.6%
---
---
「……くだらん」
---
---
一方。
---
東都建材。
---
---
東都建材 +1.8%
---
---
社員がざわつく。
---
「上がってる……!」
---
---
中田の声。
---
「市場が反応しています」
---
---
時任は画面を見る。
---
(戦いは終わっていない)
---
(もう一つの戦場で続いている)
---
---
岡田が肩を鳴らす。
---
「……面白ぇ」
---
---
だが、その目は冷静だった。
---
(あれが本気じゃねぇ)
---
---
時任は空を見上げる。
---
(規模が違う)
---
---
その日。
---
東都建材は、次の段階へ進む。
---
戦いは、まだ始まったばかりだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本作ではバトルだけでなく、企業の成長や株価の動き、
情報戦なども含めて描いていきます。
少しでも面白いと感じていただけたら、
ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。
今後ともよろしくお願いします。




