表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

企業戦士、木を折る。

はじめまして。

本作は「企業×能力バトル」というテーマで描く物語です。

商談が戦いになり、契約が勝敗として決まり、

その結果が株価として市場に反映される——そんな世界を舞台にしています。

現場、会議、市場。

すべてが戦場になる中で、企業と人はどう戦い、どう成長していくのか。

まずは第1話、東都建材と柏木林業の一件から。

楽しんでいただけたら嬉しいです。


コーヒーは、少し苦かった。


時任明は紙コップを傾けながら、会議室の空気を測っていた。


決算月。

数字が落ちれば——吸収される側に回る。


「今月は材木系を取る」


社長・鷹名の一言で、空気が締まる。


そのとき。


——コンコン。


ドアがノックされる。


中田祥子が入ってきた。


「柏木林業から連絡です。取引内容に不備があると」


ざわつく。


柏木林業。老舗。格上。


中田が続ける。


「担当は柏木ミツキ部長です」


---


一瞬。


岡田の手が止まる。


---


「……ミツキ?」


---


低い声。


いつもの軽さが消える。


---


「……あいつか」


---


拳がわずかに握られる。


---


「俺が行く」


---


椅子が鳴る。


立ち上がる岡田。


---


「座れ」


---


鷹名の一言。


短く、重い。


---


「今回は時任だ」


---


沈黙。


---


岡田は時任を見る。


---


「……あいつは」


---


言いかけて、止める。


---


「……いや、いい」


---


ゆっくり座る。


だが、その目はどこか遠くを見ていた。


---


(因縁か)


---


時任は理解する。


---


「行きます」


---


---


エレベーター。


中田が資料を差し出す。


---


「柏木ミツキ。植物操作能力者です」


---


ページをめくる。


整っている。


---


「ただし」


---


一枚の資料。


---


「植物があれば増殖・擬人化が可能です」


---


写真。


喫茶店。


観葉植物。サラダ。


---


「相手に有利な環境です」


---


時任は小さく頷く。


---


「十分だ」


---


---


喫茶店。


木目のテーブル。

落ち着いた光。


新人二人が座っている。


---


「風間ユウキです。よろしくお願いします!」


---


「剛田リョウっす。任せてください!」


---


「力むな」


---


時任がコーヒーを置く。


---


「仕事だ」


---


「お待たせしました」


---


ヒールの音。


---


「柏木ミツキです」


---


柔らかい笑顔。


だが——


“揺れている”。


---


ランチが運ばれる。


サラダ。

パスタ。

コーヒー。


---


和やかな会話。


---


(来る)


---


サラダの葉が震える。


---


——バサッ


---


葉が弾ける。


空中で形を変える。


---


「……立って」


---


ミツキの声。


---


葉が蠢く。


---


丸い体。

葉の耳。


---


小型ドライアド。


---


「なっ……なんだこれ!」


---


風間が前に出る。


---


「風間ユウキ、行きます!」


---


ドライアドが突っ込む。


---


(速い……でも!)


---


「見える!」


---


ギリギリでかわす。


背後を取る。


---


だが——


---


蔓が地面から伸びる。


---


「うわっ——!」


---


足を取られる。


---


「ユウキ!」


---


剛田が前に出る。


---


「剛田リョウだ!ナメんなよ!」


---


蔓を掴む。


---


「うおおおお!」


---


ブチッ——


---


一度だけ引きちぎる。


---


だが次の瞬間。


---


さらに絡まる。


---


「……っ、キリねぇ!」


---


(分断された)


---


新人二人は足止め。


---


ミツキは座ったまま。


---


「3対1、なんて思っていませんよね?」


---


微笑む。


---


(戦場を分けてる)


---


時任は視線を落とす。


資料。

数字。

違和感。


---


(起点は……サラダと観葉植物)


---


(なら——増やされる前に崩す)


---


ネクタイに触れる。


---


調整アジャスト


---


時間が、わずかに伸びる。


音が遅れる。

動きが鈍る。


---


時任だけが、通常の速度で動く。


---


「一点、いいですか」


---


言葉を差し込む。


---


「御社の過去契約、数値が合っていません」


---


止まる。


---


ミツキの流れが乱れる。


---


「それは——」


---


「この履歴と帳票、整合していない」


---


畳みかける。


---


「風間、資料」


「はい!」


---


「剛田、抑えろ」


「了解!」


---


流れが逆転する。


---


ドライアドの動きが鈍る。


---


ミツキの能力が絡まり、崩れる。


---


沈黙。


---


ミツキが目を閉じる。


---


「……条件を飲みます」


---


契約成立。


---


ドライアドが崩れ落ちる。


---


そのとき。


---


ミツキが、わずかに笑った。


---


(……余裕?)


---


この状況で。


---


違和感だけが残る。


---


---


数日後。


---


柏木林業。


---


吸収合併、決定。


---


---


月末。


---


画面に表示される。


---


東都建材 +7.3%


---


社員がざわつく。


---


「一気に来た……!」


---


---


中田が静かに言う。


---


「市場が評価しています」


---


---


時任は画面を見る。


---


(戦いは終わった)


---


(市場で)


---


---


岡田が壁にもたれる。


---


「……勝ったか」


---


タバコを取り出す。


だが火はつけない。


---


「ミツキ……」


---


小さく呟く。


---


---


その頃。


---


高層ビル。


---


「東都建材、ですか」


---


資料が閉じられる。


---


「面白い」


---


都市が、わずかに歪む。


---


次の戦いが、始まろうとしていた。

第1話を読んでいただきありがとうございます。

今回は主人公・時任明の初陣と、

植物を操る柏木ミツキとの対戦を描きました。

この作品では、戦闘だけでなく「株価」や「企業の成長」も

重要な要素として描いていきます。

今後は、四天王とのバトル、証券会社との市場戦、

そしてスパイによる情報戦など、戦いのスケールも広がっていく予定です。

少しでも「面白い」と感じていただけたら、

ブックマークや評価をいただけると励みになります。

引き続き、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ