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もう一度魔王様に会いたい  作者: んまい棒
第一章
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第15話「古代文明」

 出かけていたケインがその後帰って来て、母と三人で夕食を取った。どうやらルシアンはあの後母にも合わずにすぐに眠ってしまったらしい。よほど疲れていたのだろう。


 夕食の後にケインを部屋に呼び出して例の話の続きを語ってもらう。


「古代文明について詳しく教えてください」

「そのことか。てっきり町の様子を聞かれるものかと思ってたのだけど」

「町の様子はそのうち自分で見れるので結構です」

「まぁ、自分の目で見た方が面白いかもね。それじゃ、色々教えてあげよう」


 古代文明とは、この国ができるよりも更に昔にあったとされる文明の事らしい。

 詳しい時代はわかっていないが、恐らく1000年前にあったとされる文明で、魔法が存在しない時代。その代わりに、技術が進化しており生活水準は今よりも高い物だったと推測されている。


「今は夜になると町には魔法石で発生させた街頭が少しあるくらいだけど、古代文明は電気と言われているエネルギーを国中に張り巡らせていたらしくて、夜になっても町中が明るかったらしいよ。それこそ、自分で明かりを用意しなくても領地を跨ぐ事すらできたらしい」

「街中だけでなく、山道等にも街頭があったということですか?」

「そうだ。というより、道が全て整備されていたようだ。人が通る場所は全て均されていて、女性や子供でも頑張れば山を越えられたらしい」

「そんなことまで……。なのに、滅んだのですか?」

「そうだ。何故滅んだかは分かっていない。当時の技術でもどうしようもなかった病が流行ったとか、戦争によって世界自体が滅んだとか、女神の怒りに触れて消されたとか色々議論されているね」

「そうなのですね……。滅んだにも関わらず、随分と資料は残っていたのですね」

「当時の技術の賜物なのだろうね。資料や記録はたくさん残ってたんだ。なんだけど、今の技術では再現できないようなものが多くてね。簡単なものであれば色々取り入れているんだけど、分かっていない物も多い。まだまだ興味の尽きない文明だね」


 環境整備や建築技術、簡単な道具等が再現されており、今の文明に溶け込んでいるそうだ。この研究によって発展した技術も少なくないそうだ。

 古代文明とは言われているが、その技術体系は未来の出来事としか思えない。


「その古代文明の中から持ってきた物の一つが、言葉だ。今では呪文として使われている事が多いが、他にも子供とか店の名前に使われる事もあるよ」

「そんなに浸透しているのですか? もしかして、思ったよりも私たちの言語に似ているとか?」

「そうでもないね。言語は複雑だし、資料を読み解くのは難しい。だけど、音がかっこよかったり、今の言語と交わらないということで呪文として使い勝手がよくってね。本屋とかには有名な古代語の辞書とか売ってるよ」

「そんな事で周知されてるのですか?」

「案外そんな事で周知されるもんだよ。魔法文明の僕たちが呪文として使い始めたのは割と最近だけど、それまでは通常の言語で詠唱していて事故も多かったんだ。所が、古代語でも意味を分かっていれば問題ないし、全く違う言語だから事故も起こらないってことですぐに広まったんだ」


 そう言われると納得してしまう。魔法の事故は古代語が周知されるまでは相当多かったらしい。誰もが頭ではわかっていても、それでも事故は絶えなかった。そう考えると、古代語が広まったのは道理なのかもしれない。


「面白いだろう? 今の子供であれば皆古代語の辞書を片手に、かっこいい呪文を考えるものさ。僕の考えた最強の魔法とか言ってね」

「兄さんや私もやってたのですか?」

「やったやった。僕らは属性も同じだったから一緒に考えたものさ。まぁ、呪文ばかりかっこよくしても実力も乏しかったから名前負けした物ばかりだったけどね」


 子供のころに考えていた呪文をいくつか聞いたが、古代語の知識が抜けている私には理解できないものばかりだった。なのに、何故か聞いてると恥ずかしくなってくるのはなんでなのか……。


「誰しもがやったことのある経験だけど、子供の発想なんて大したことなくてね。実はすでに似たような魔法が存在しているなんてよくあるんだ。例えば、炎で伝説の龍を象って放つとか、何もない空から大量の石礫を降らすとかは、大体魔法の教導書に乗ってたりしててね。最初に教導書を貰った人はそれを見て思い出して恥ずかしい思いをするんだ。で、それを知っている大人は笑ってくると。いやーほんとに恥ずかしかった」

「それを笑うのは大人の特権だということですね。私もやってみたかったです」

「なら、これから私の考える最強の魔法を考えればいい。今からでも遅くないよ」

「遠慮します。きちんとした理性のある今、そもそも最強の魔法はなんなのかみたいな所から始めないとですし」

「ははっ、それもそうだな」


 その後も兄の思い出話に華が咲き、あったのであろう思い出を空想しながら眠りについた。


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