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あやしい石像を見かけたらどうしますか。

 扉の前に盾を持って立っている像っぽいモノ、パッと見ただけでも十分に怪しすぎる、何の意図があって其処に置いたのか罠を疑って変な具合に考えてしまう。


 (【守護石像(ゴーレムガーダー)】と言うもののようですが、動く様子はないですね)


 アイビーにまで鑑定であっさり正体バレてるよ……しかも一定範囲に接近するか、攻撃を受けるかするまでは石像状態のようだ。


 『見たまま材質は石のようだね、あんな位置にいたら出入りもしにくいし警戒されると思うんだが』


 (真っ直ぐ向かってくるだけの魔物相手なら逆に効果的な守りではないでしょうか)


 なるほど、言われてみればそうだ、魔物相手なら変に門の両側に置くより正面で防御してたほうが良い、と言うことは対応の為に感知範囲が広いか動きが素早い可能性もある、どこまで接近したら動き出すのか不明な分迂闊に近づけない。

 名前からして防御に優れるのだろうが、一体だけで立って居る所を見るに攻撃力も高いと見たほうが良いかもしれない、防御じゃなく守護の名を持つゴーレムだし。


 正面扉の警備は厳重そうなので建物の周囲をまず確認してみる、本当にちょっとした砦並みの大きさだというのが解る、扉も、建物も大きめで普通の人サイズではない、ただし砦と違って防御壁がさほど高くない、厚みも普通よりちょっと頑丈な壁レベルだ、しかも一部は半分ほど崩れてしまっている、敷地的にはほぼ長方形で正面と裏口の扉の前に一体ずつの【守護石像(ゴーレムガーダー)】、なんだろうこの杜撰(ずさん)な警備、以前は他にも周辺警戒の別のゴーレムとか居たんだろうか。

 そりゃ横から飛び込むよね、無理に戦う必要ないし、場合によっては後で破壊しないといけないかもしれないけど。

 建物側面の壁に魔手を伸ばして乗り越える、【守護石像(ゴーレムガーダー)】は反応した様子もない、そのまま敷地内へ、魔手をクッションにしてふわりと接地、何かが接近してくる様子もない、いいのかこんなんで。


 敷地内部は外から見るよりも荒れていた、そりゃそうだろう、侵入し放題だったもの、上層部とか崩れてるところもあるし、空から何かあった時の備えとかが何もない、考えられる事としては以前は外壁部分から建物を覆うような防御の結界か何かを使っていたんじゃないだろうか? だから出入り口に【守護石像(ゴーレムガーダー)】を置くだけでよかったんだろう。 


 『アイビー、分体で上層部分を調べてくれるかい、中に人工物が残されていたら回収を優先で、結構脆くなってる部分もあるようだから気をつけて』


 (畏まりました)

 

 返事と同時に蔦が地面に落ちる、そのまま大きな【森林蛇(フォレストボア)】と化して近い窓から建物内へと滑り込んでいく、上層の確認は任せておいていいだろう、迂闊に俺が上がると崩れそうな気がする、俺って結構重たいみたいだし。

 俺はそのまま建物の外周を確認する、ここであのキメラ達を造ってるのだとすれば何処かにそれなりの大きさの出入口がある筈だ。

 俺の身体の大きさはこういう所に入ったり調べたりする時不便だ、アイビーの分体がちょっと羨ましく思える、今後森の外に出て情報を集める為にもあそこまで高性能じゃなくていいからなんとかしたい所だ。


 建物の裏口方面、以前は頑丈で厚い両開きの扉があったのだろうが今は完全に朽ちてしまったらしく完全に開放されてしまっている入口、いや扱いとしては多分出口だろう、地面に複数の足跡が確認できる地下へのスロープ、なんとなく地下駐車場、というイメージが浮かぶがここから出てくるのは例の魔物達だろう、気配察知にも感知さんにも何も反応はないが警戒度を引き上げる。

 アイビーから上層部分は内部もほとんど朽ちてしまっていると報告がある、加工品なんかではこの放置された年月は耐えられないだろう、引き続き探索の続行と地下へ降りる事を告げて念話を終える、気分的にスニークミッションだが蛇さん(アイビー)は上層で活動中だ。


 時折水が滴り落ちる音だけがしている地下へのスロープ、警戒しつつゆっくりと進んでいるが俺が立てる音以外は静かだ、と言うか俺の葉っぱとか()が擦れる音とかが煩い、こっそりとか出来る身体じゃないなこの身体。

 スロープを下っていくと正面に両開きの扉、この森に来た時に潜ってきた扉とは違うがやはり石製、あの門のような認証がここにもあるとしたらこっそりしてても仕方がない気がしてくる。

 特に声を掛けられることもなく扉の前に立つとゴゴゴという音と小刻みな振動と共に扉が開いてゆく、これでこっそりどころの話じゃなくなった気がする。


 中に入ると大きな倉庫のようなスペース、四方の壁と天井に取り付けられた大きな水晶のような塊が淡く輝き出し部屋の中を照らしてゆく、流石に白熱灯や蛍光灯ほどの明るさはないがこの世界の屋内照明では十分明るい部類かもしれない、中央に大きな魔法陣らしき紋様が描かれているが床自体が大分汚れてしまっていて全部を確認できない、いろんな足跡がついている所を見るに恐らくはここに完成したキメラが出てくるのだと思うが今はその気配もない。

 部屋の奥にまた石の扉、区画を閉鎖する役割でもあるのか頑丈そうだ、生み出されたキメラが暴れだしても大丈夫なように備えてあるのかもしれない。


 更にドアを開ける、相変わらず静かに開閉する気のない扉のせいでこっそり気分は既に無くなった、次の部屋は更に広く造られていたが石扉の割にこの部屋は湿気や外気と触れることも少なかったようで何だかよくわからない器具や書類が散乱している、雰囲気としては研究室か実験室、片方の壁一面に刻まれた魔法陣には水晶玉が幾つかはめ込まれている、とりあえず散乱していた書類は全部ストレージへ放り込んでおく。

 壁の魔法陣を調べてみる、といっても知識的な面とか術理さんと鑑定さんに丸投げだが、何かの装置だとしかわからない、水晶玉に触れてみても何も反応は、って魔法陣?


 何も無いと水晶から手を放そうとした途端に足元に広がる魔法陣、罠と言うよりはタッチ型のスイッチ代わりだった様な気がする、転移や移動の魔法とか当時は普通の技術だったんだろうかとぼんやり見当外れなことを考えるが、術理さんがそれを否定する。

 知識でも少なくとも転移やそれに類する魔法は【魔物迷宮(ダンジョン)】の仕掛けや罠以外ではあまり知られていないとある、ならばここを造った存在はかなり魔法や【魔物迷宮(ダンジョン)】に詳しかったに違いない、<楽園>と称するこんな規模の箱庭(閉鎖空間)を造り出したくらいだし。

 

 転移で飛ばされた先は真っ暗でかなり広い部屋、感覚では前の部屋よりもっと下層だろうか、暗いせいか空気が若干重く感じられる、背後では転移に使った水晶玉だろう物が輝きを失っていく。

 急に周囲が明るくなる、別に攻撃ではなく壁や天井に取り付けられた照明が機能しただけ、ちょっと視界内に現れたモノを見てこれいきなり喰らったら生身だと眩しいだろうな、という程度の考えしか沸かない魔樹です。

 30メートル程の円形空間の真ん中に既に乾燥し朽ちて根本しか残っていない大樹の幹、俺が並んでも枝にしか見えないだろう、元の幹周りは10メートルを超えるかも知れない、ちなみに俺の幹周りははちゃんと計測したことは無いが今大体2メートル位だと思う、上はなかなか伸びない、いや今の俺は樹だから一年とかからずにこの大きさに成長って事が十分おかしいんだけどな。

 【鑑定】に【看破】さんも動員してこの朽ちた樹の正体を探る、床に落ちている破片も回収してストレージへ、こんな所に取り込まれて施設の一部とされていたと思われる樹、これが普通の樹だとは思わないほうが良いだろう、一瞬だが前世で見たことがある社員食堂の中央に植えられていた樹を思い出して周囲を見直す、大丈夫、壁際にキッチンも存在してないしテーブルらしきものも無い。


 【朽ちた精霊樹】、かつて【樹精霊(ドライアド)】が宿っていた【精霊樹】が朽ちたもの。


 こんなんでました。

 そして樹を中心に周囲に刻まれた魔法陣、天井にも同系統と思われる魔法陣、視界を切り替える、照明と魔法陣に魔力の反応、この魔方陣はまだ生きて稼働中、【術理】さんもまだこの魔法陣を読めていない、やはり一般的ではない術法だという事だろう、この世界の知識、前世の知識、考えるのは苦手だが色々と混ぜて推測してみる、幾つか思い付くことを試す、導き出される解答、この対の魔方陣の役割、そのその中に置かれていた精霊樹の意味を朧気ながらに理解する。

 

 よし、施設に創造者達(クリエイター)の末裔がいたら滅ぼそう、樹の怒りを思い知らせてやる。

 【朽ちた精霊樹】の破片を周囲の土も含めてストレージに放り込んでいく、この精霊樹はこのままにしておけない、全部を連れ出してあげたいがアイビーのように全部一括取り込みができないのが悔しい。

 それはちょっとしたひらめき、俺の魔手は魔力に干渉できる、そして俺の使う魔法は想像力と思い付きと思い切りが揃うと大体なんとかなってしまっている、我ながらひどい話だと思いながら魔手をストレージの縁に手をかけて思い切り引っ張ると輪ゴムを伸ばすように口が拡がっていく、ありがとう飛沫さん、そのまま網を被せるように【朽ちた精霊樹】に覆い被せて全てストレージに回収する、朽ちていたせいか根は思っていた以上に浅かった。

 残ったのは上下の魔法陣、これは今はこのままにしておこう。


 来た場所の反対側にまた同じような水晶玉、これも移動用だと思えるので触れてみる、魔法陣が展開されて転移する。

 飛ばされてきたのは先程よりは狭い部屋、今度ははじめから明るい。

 中央には何やら水晶が複雑に埋め込まれた台座のような物、その傍らに立つ人影。


 「ようこそ<楽園>へ、珍しき来訪者。」


 既に用途として意味をなしていないボロボロに朽ち果てたローブを纏った骨、その肉の残っていない顔がこちらを見て楽しげに声をかけてきた。

大変遅くなりました、申し訳ありませんが次回も不定期の可能性が高いです。

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