戦うウネウネする何か達のお話。
ずっとウネウネクネクネしてるんですけどね?
門の広場は門を守るために魔物は入って来ないのかと思っていたらそういう事はなかったらしい、たまに【緑狼】とかが現れては通り過ぎていく、ひょっとして門の定期メンテナンスに魔物とか来るんだろうか、この広場の掃除したり門を磨いたり。
ここが俺の想像通りの場所だとすればこれから奥に進んで戦闘が起こると大変になるかもしれない、準備は整えておいて損はないだろう。
という事で、今は広場で日光浴中、アイビーも広場いっぱいに拡がって時折何やら試している、<土槍>からヒントを得て出来た<蔦槍>という魔法によらない蔦術の技を見せてくれた、なんでも<土槍>をイメージして使っていたら技として定着、登録されていたらしい、魔法である<土槍>より自分の身体を使った技なせいか自由度が高く便利そうなのがちょっと悔しい。
悔しかったので俺の方は今まで創造した魔法の見直しだ、【異界魔法】として大系化された俺の魔法は【コンソール】に表示できる、名前だけ。
いきなりこれが表示できた時どういうことかと思ったがこの表示された名前を見るとどんなイメージで造ったどんな働きをする魔法なのかと言うのが感覚として判るようになっていた、俺が魔法を創造する時のイメージが具体的な文字表記に向いていないからだろう、オノマトペとか。
ここで再現されるイメージを見ながら修正していく、元の世界だと妄想してるだけのように見えるがイメージを使ったシミュレータみたいなものである、<大火柱>の様にイメージの火力を上げすぎた結果ろくに使えなくなった魔法とか火力調整が曖昧で危険性を増している魔法は全部修正だ、修正が出来るようになってよかったのだがここで修正にも一癖あることが判明した。
一度造った魔法には名前がつく、例えばよく使う<土槍>、指定範囲の地面を掌握し土製の槍を生み出して地面から標的を貫く、というのが創造時の簡単なイメージだが、ここのイメージを決定されている名前に合わないように極端に変えてしまうと別の魔法として登録されてしまう、例えば掌握するのを地面ではなく水にした場合、<水槍>と言う魔法に名前が変わる、俺が魔法の命名者だと睨んでいる推定翻訳能力さんは自分がつけた名前のイメージを壊されるのが嫌らしい。
一通り修正が終わったら既存の魔法の改造も行う、魔法の全体的なイメージ、動き、火力、効果等俺のイメージの中から必要な情報を【術理】さんが整理して一つの魔法として組み上げていく、時々これは再現できないよとダメ出しを食らうがその時はイメージの組み立て直しである、再現できるようなら俺のその時の最大魔力を100とした数値で消費がどれ位になりそうかを教えてくれるので創造するか取りやめるかを決める。
能力が数値化されるとその数値に振り回されそうだが、数値化されていないと言うのもちょっと不便さを感じたりする、コンソールにゲージで表示できないかと思ったがそれもダメらしい、そのへんはおそらく飛沫様が世界的なルールを改変しないと無理な気がしている、ここで急に改変されてもこの世界大混乱だろうけど。
改造の結果が新たに創造する事になると謎の翻訳さんがそこに利用されている属性や効果を判断してそれらしい名前をつけていく、ただし漢字で、そこに俺の意思の介入する余地はなかったりするのが不思議だ、やっぱり何か拗らせてるんじゃ無いだろうか。
俺の中の術理さんのイメージはスーツで眼鏡の女教師さん、対する翻訳さんはゴスロリ眼帯のロリBBAである、いやそんなことはどうでもいいか。
一通り魔法の見直しが終わった頃合いでアイビーが戻ってきた、そろそろ出発するとしよう。
『そろそろ移動しようと思うけどアイビーの方で何かやっておくことはあるかい?』
(いえ特には、この辺の魔物は森の浅層から中層で見かけるものばかりのようですので、今の所は一通り摂り込みが済んでいます)
『じゃあ今まで見かけた事が無い様な魔物がいたら様子を見よう、あとはサンプルや薬草類の採取だね、持っていて損はないし上手く行けば成分を真似る事が出来るかもしれない、急ぐ事もないし歩きながら行くとしようか』
俺の能力やスキルに薬関係が出ているから解析するのはプラスになるだろう、異世界の薬効成分とかよく解らないし、物によっては俺の作る実よりもいい物が存在してるかもしれない。
最も俺の知識なんて飛沫様が解析した後のぬしぺでぃあの知識が元だから、新種があってもまずは1つサンプルを用意しないといけないと言う欠点があるのだが、鑑定して不明だったらまずストレージに放り込む事で解決だ。
魔物は普通薬草採取なんてしない、もちろん毒草採取もしない、ただそういうのが生い茂っている所に魔物が混ざっている事はよくある、採りに来る人もいないのに不思議な事だ。
【毒鞭植物】、移動能力のない肉食植物で2本の麻痺性のある毒棘の付いた蔓を振り回して獲物に巻き付いて引き寄せ、葉の間についているモウセンゴケのような粘毛を絡みつかせて相手を溶かしながら喰らう、ただしせいぜい人サイズくらいまでだ、しかも移動能力がないから居るのが判れば遠距離で仕留められる、そうでなくとも魔手の敵ではないし蔓と蔦が勝負しても勝負は見えてるだろう、つまり我々の敵ではない。
【草蛇】は草むらに潜んで周囲の色に合わせて身体の色を変える1メートルほどの毒蛇、そんな大きさでは言うまでもなく敵ではない、俺に毒とか効いたこと無いし、逆にアイビーの毒で死んでたし。
【妖樹】【石化妖樹】は魔力溜まりから発生する樹の魔物、一対の長い3本指の腕を持ち、根を使って移動するが速度は早くない、移動するせいで幹は枯れていることも多い、普通の樹からは【妖樹】が、石化樹と呼ばれる石化能力のある魔物の生息地域に生えている樹から【石化妖樹】が生まれるとされる、ノーマルのトレントより硬くて力は強いけどそれだけだ、ひょっとしたら石化能力や火に耐性があるのかもしれないがそんなの使うまでもない、放っておいてもこちらを襲ってくる様子はなかったので一応話しかけてはみた、全くこっちの話を聞いてなかったので<石弾>をぶつけて両腕を潰した後丸太で殴っていたら沈黙した。
【石化妖樹】が居た、と言うことはどこか近くに石化能力がある魔物が居るということだ、これは警戒しておくべきだろう、毒は効いたこと無いが石化まで防げるかはまだ謎だ、しかも俺もアイビーも全視界持ち、視線に石化能力が有るんだったらどの方向から現れても視線があってしまう。
この世界でも石化の原因は視線や吐息が一般的らしい、ちょっと変わったところでは石化毒と言う生物用の遅効性の毒物もあるようだがこれはどちらかというと暗殺用だろう、アイビーは普通に使えると言っていたが。
更に森を進むとどことなく空気が淀む、これは当たりだったかもしれない、周囲に石化樹が増えてきた、というか毒々しい瘴気の泡を吹く泥沼を囲んで【石化妖樹】がウロウロとしている。
前世のゲーム知識から行けばバジリスクもコカトリスもこんな沼地には棲んでいない、だがこっちは現実なだけに何が出てるか解らない、少なくとも石化能力が有るのは間違いないのだが。
沼の中から赤黒くツルリとした触手が伸びて【石化妖樹】を捕まえ、沼に引きずり込む、どうやらあれが元凶らしい、かなり大きな気配が沼地の中からしてくる、石のような【石化妖樹】を餌とするからには強靭な顎が有るか溶解させるか魔力だけを奪うか、いずれにしてもあんな存在は聞いたことが無いからこちらの固有種なのだろう。
水棲の魔物だとすれば雷撃に弱いかもしれないが<閃光爆雷>程度では大した効果は見込め無さそうだ。
『アイビー、あの敵の強さをどの程度と見る?』
俺が見ても巨大な気配と言うだけで強さをあまり感じない、そんな事は無さそうなのだが、こういった所で経験が足らないとか言われてしまうのだろうか。
(御主人様や先日の氾濫の魔獣に比べると大分劣るかと、大きいうえに特殊な攻撃はあるかもしれませんが強さ自体はそれほど感じません)
あら? アイビーからもそれほどでもない発言だ、ならばちょっと試してみよう。
コンソールを開いて範囲を確認してみる、うん問題無さそうだ、なのでやってみる、泥沼を掌握、そして<粉砕>、いつも死体処理や堆肥作りに使っている魔法だが、実態は機械式鉛筆削りのカッター部分がイメージの螺旋構造の巨大な刃が3つ、柔らかくした土中で回転しながら動き回るというものだ、角度を変えて固定すれば丸太だって鉛筆のように削れて杭になるし規模を変えれば普通に鉛筆も削れる筈だ、この世界に鉛筆とか無いけど。
泥沼の中から響く何かの断末魔の声、螺旋の刃は回転しながら縦に横にと動き回り泥沼の中を抉り撹拌する、やがて静かになったので気配を探るが既に何も存在してなかった。
周囲で固まっていた【石化妖樹】はわたわたと逃げるように動いているので放っておく。
とりあえず掌握していた泥沼の中から魔石を見つけて抜き出す、人の大人の拳大という結構大きな魔石だった。
(お見事です御主人様)
しかしどんな魔物だったんだろう?
悪者はどっちだ。




