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目覚めるあの子と目覚めるアイツ。

おはようございます!

 ついに森の囁きが次の段階へと進んだ。


 <奮起せよ>


 前よりも短い間隔で魔物に奮起を促している、魔物がノッてくるのだろうか?

 ともあれ聞いていた通りに森の氾濫は近いようだ、この囁きの期間は短いだろう、そして恐らくは次でドームが解放されて魔物が飛び出してくる。

 もうドームの近くに行くのは危ないかもしれない、何がトリガーとなって氾濫が始まるかわからない、【振動探知】がドーム内外問わず様々な揺れを捉えている、ドーム内もただ立ち尽くしている段階を終えたのだろう、共食いでもして数が減ってくれればいいのだがそれでも数百規模で魔物が集まっているから期待はできない、更にはあの赤様肩入れのボスだ、もう自分だけでどうにか出来る規模ではなくなっている。

 最低でもボスは自分で何とかするとして、取り零しの他の魔物は人側に頑張ってもらうしか無いだろう、自分達の生存圏維持の為だ、対策できてなかったら仕方ない、黄色様も言ってた事だそれもまたこの世界の摂理なのだろう。


 ただこの囁き声がある限り、俺にはこの氾濫がとても自然の物とは思えないんだが、色々と気になることも増えてきた、だがまずはこの氾濫をなんとかしないと、全てはそれからだ。

 不思議なことに【振動感知】で見るボスの動きが静かだ、ドームの中央にいるらしいのは判るが他の魔物達のように活発に動いていない、以前なら派手に捕食行動をしていたせいでよく判ったのだが、成長のために捕食していたのだとすればそれが終わったのだろうか、その割にボスの魔力自体はよく動いているようだが現場が見えないのでなんとも言えない。



 切断されていた俺の中の感覚が繋がった気配、アイビーの目覚めが近いようだ、だが名前の表示はまだグレーのままだ、今まで根を通じて思念で繋がっていたが、俺の身体の中に潜り込んだ部分が多くなったせいだろうか、俺とアイビーの間で何かがやり取りされているのが判るようになった。

 魔力を吸っている感覚ではないから相互の変化した部分の情報でも交換しているんだろうか、寄生状態とは言え元は別の身体だ、今は同化が進んでいるがダウン中に変化している部分も大きい、双方を同調させるのは必要な事なのかもしれない、身体が勝手にやってしまっているから俺自身には全く何が起こってるのか理解すらできていないけど。

 

 とりあえず進行方向と思われる森の外側の方の樹を間引くような形で倒していく、どうせ魔物が現れるのはわかっている、ならトラップでも仕掛けておこう、全滅は無理でも足止めや踏まれて負傷くらいはするだろう。

 俺の魔法で穴をほっていく、内部の方を広めの三角フラスコ型、魔法だと崩落の危険性無く補強しながら掘削できるから楽だ、口を10メートルの深さ30メートルも掘っておけばいいだろう、出てきた土はまとめてストレージへ送る、後は丸太を削った杭を尖らせた方を上にして立てていく、ついでに暴れたら潰れるようにカプサイシンの実と幻惑の実をばら撒く、潰れさえしなければ数日は持つだろう、上部はまた土魔法で薄く蓋をしておく、これで簡単に踏み抜ける、罠から生きて這い上がってくるにも時間がかかる、俺みたいに土魔法使って手がかり補強したり魔手を伸ばして一気上がったりしてこない限り完全に出遅れることだろう、20も作っておけばそれなりに減ると思う、実は穴の中の居心地が良くて寛ぎそうになったのは秘密だ。

 ボスの頭の出来がどの程度かは知らないが出てくる魔物はいつもの連中だ、普通の魔物で真っ直ぐ突っ込んでくる連中だ、なら単純だがこの方法が有効だろう、本当はワイヤートラップも仕掛けたいがワイヤーがない、この世界に存在するかも怪しいから無理だ、後は棘付きの板をばら撒く、少し加工して踏んだらテコの原理で起き上がってくる棘付きの板も多数仕掛ける、板は丸太から多く加工できるし杭を造るのに落とした枝が棘として使える、起動部分を踏まなくとも板は浅く埋めているだけだから棘部分を踏むだけでも嫌がらせになるだろう。


 虫型には効果が薄いのが気になったのでここにも実をばら撒いておく、カプサイシンと虫寄せ、幻惑は効果が薄そうなのでやめておこう、代わりと言ってはなんだが食虫植物の消化酵素の濃縮版を触れたら炸裂するタイプの実に込めておく、実の効果は現状俺の記憶からの知識を植物成分で再現したものだ、対生物用の毒物は割と簡単に再現出来るが殺虫効果は難しい、この世界の実や草に殺虫効果のある物とかがあればその内できるかもしれない、ちなみにだが今でもその気になれば実ではなく葉っぱに殺虫効果を持たすことは出来る、ただしこの方法は葉っぱを乾燥させて燻す必要があるからあまり実用的ではない。

 後は枝を伝って移動するタイプへの対処として枝をある程度落としておく、いくつかルートを残しておいて折れやすく加工する、落ちる先は落とし穴か棘板だ、そうでない部分には粘性を高めた油を塗っておく。

 飛行タイプがいた場合の対処は諦めた、かすみ網とか材料も作ってる時間もない。



 (おはようございます御主人様(マスター)、目覚めるのに時間がかかってしまったようです)


 アイビーが目を覚ました、前より鮮明に、というよりこれ伝達手段が進化してるな、アイビーの声が俺の頭の中に響く、俺の頭って……考えちゃいけない気がするな。


 『気にすることはないさ、森のボスもそろそろお目覚めらしい、森が氾濫するという事だよ』


 (なるほどそういう事でしたか、それで先程のような用意を、意識がはっきりと目覚める前に周囲の光景だけは見えておりました)


 俺が繋がったと感じた時の事だろう、あの時点からもう周囲が見えていたのかもしれない。

 さて、気になっているアイビーの存在だ、彼女は自分の存在を確定できたのだろうか?


 『アイビー、自分のことは鑑定できたかい?』


 (はい、最初に自分を鑑定した時何かの声が聞こえました、そこで意識が途切れて、今は自分という存在が何であるかが鑑定できています、どうぞ御覧ください)


 なんだかドヤった感じで目の前で蔦をふりふりしてるアイビーを鑑定してみる。


==========

名前:アイビー 魔樹の眷属


所持スキル

【花術】【蔦術】【鞭術】【知覚】【感受】


保有能力

【念話】【鑑定】【全視界】【悪食】【伸縮】【再生】【毒生成】【蜜生成】

【庭園】【吸血】【成分調整】【硬化】【隠蔽】【偽装】


特殊能力

【ストレージ】【ステータス】【分離結合】【擬態】【分体操作】【魔樹同化】


==========


 さて、今回も見事にツッコミどころ満載のステータスだ。

 魔樹の眷属、眷属かあ、魔樹ってのは俺のことだろう、この状態で別の存在の眷属だったら逆に凄い、眷属ってそんな簡単に出来るものなんだろうか? 思い当たることといえばあの謎の申請だ、それしか無いだろう、後で自分のステータスも確認して見る必要があるかもしれない。

 【花術】【蔦術】【鞭術】はなんとなく意味は理解できる、鞭以外はアイビーがやってきたことだ、鞭は蔦を振り回す事が進化したのだろうか似合いすぎるスキルだ、【知覚】【感受】はあの人種達も持っていた物だ、人に限らず取れるスキルらしい。


 能力は一部が俺と被るがかなり独特だ、アイビーらしいかと言えば十分にらしい能力だろう、【思念伝達】ではなく【念話】だ、声がはっきりとしたのはこのせいだろう、身体の方が一体化してるせいで意思の疎通は能力を介さなくとも出来る事が大きいのかもしれない。

 【鑑定】はどうやら俺の下位、この世界に存在していた鑑定能力らしい、【ぬしぺでぃあ】を通さない鑑定だ、【全視界】【悪食】【伸縮】【再生】【毒生成】【吸血】【成分調整】この辺りは以前からやっていた、【庭園】は地面に広がるあの技だろう、技なのかと思っていたら能力として定義されたらしい、庭ではなく庭園と言うくらいだから能力化して更に強化されたようだ、【隠蔽】【偽装】持ちだからその辺の草むらに入ったつもりがアイビーの真っ只中と言う事にもなりかねない。

 【蜜生成】は花の能力向上だろうか、今まで花は花粉がメインだったが蜜も攻撃手段になったようだ、アイビーのことだからほとんどの蜜に毒性がある気がする、【硬化】はそのまま硬くなるらしい、蔦から茨のように変化させて鎧のようにもなれると意気込んでいる、でも多分熱に弱いぞその鎧、俺が耐性上げればアイビーの耐性も上がるんだろうか?


 そして問題の特殊欄、【ステータス】は予想できていたこととして【ストレージ】がある、俺とアイビー別々かと思ったら中身共通だった、だがこれは便利だ、アイビーが放り込んで俺が出せる、逆も可だ。

 【分離結合】【分体操作】【魔樹同化】なんというか予想以上だった、アイビーはこれのおかげで俺からある程度離れても行動できる様になった、俺の中に摂り込んだ根から一定範囲の蔦部分、それこそが【魔樹同化】で俺と一体化したアイビーの本体で表層の蔦部分を切り離して分体とする事が出来るようになっていた、切り離して丸まった分体の蔦はまるで緑色をした西部劇で転がるアイツ、タンブル・ウィードだ、回転草とか読んじゃうとそのままだ、オカヒジキだとちょっと美味しそう? だがこいつはアイビーの分体、アイビー本体のほうが何もできなくなる代わりに溜め込んだ養分を消費しながらアイビーとして行動することが出来る、転がって移動したり這うように移動したり出来る、なんだか別の魔物っぽい。

 ちなみにアイビーが【吸血】したり【悪食】で摂り込んでしまえば養分は補充されるので行動範囲はかなり広い、しかもこの状態でも【ストレージ】が使えるのだ、アイテムの短時間輸送が可能になってしまった、分体が消滅してもアイビー自身は本体にあるので無事だが、蔦として完全に再生するまで時間がかかるらしい、ちゃんと戻ってきて結合し直せばその時間は短縮される。

 何よりこの分体【擬態】という能力を持つ、【吸血】や【悪食】で摂り込んだ存在の姿を真似ることが出来るのだ、姿を真似るだけでその特殊能力が使えるわけではないが、手を使ったり四足動物になって移動速度を上げたりは出来るらしい、養分もその分消費するらしいが転がるよりは早いということだ、スキルに格闘が出る日は早そうだ。

 アイビーがドヤるのも無理はない、これはもう変化というより進化だろう。


 (これで今まで以上に御主人様(マスター)のお役に立てます、いえ立ってみせます!)


 感情面も前より豊かになったようだ、なんだか前のめりっぽい感じの声と意思が伝わってくる。


 『お、おぅ、でも無理はしないようにな? 分体の操作とは言え離れた時に滅んでもいいとか思わないように、帰還を優先だ』

 

 (ハイッ!)


 また全身クネりだす、前より蔦が大きくなっているので蛇か何かがクネッているようにも見える、実にシュールだ。

 今のうちに自分のステータスも確認しておこう。


==========

 名前:レージ  種族:彷徨う魔樹


 所持スキル

 【魔手格闘】【投擲】【術理】【属性技】【発酵】【罠作成】


 所有能力

 【念話】【範囲伝達】【振動感知】【全視改】【魔法】【結実】【熟成】【合成】【悪食】【隠蔽】【偽装】


 特殊能力

 【ぬしぺでぃあ】【ストレージ】【特殊鑑定】【ステータス】【魔操戯】【眷属化】【異界魔法】【並列思考】【コンソール】


==========


 うむ、なんか増えてる、【思念伝達】がどうやら分離上位化したらしい、【念話】と【範囲伝達】に化けてる、範囲ってあの話しかけた時のやつか? ということは念話は単体のみなんだろうか。

 そしてあったよ【眷属化】、特殊枠らしい、説明によると己に従属した存在を眷属とする事が出来る、眷属とは魂で繋がれ眷属が会話できなくとも主従、眷属間の相互の意思疎通が可能になる、眷属は主となった存在の能力の影響を受け一部能力やスキルを受け継ぐことがある、ね……俺の身体の影響を濃く受けているアイビーだからこそ【ストレージ】が使えたんだろう、【ステータス】だって発現しているし、俺の一部認定なのかもしれない。


 【異界魔法】はあれだ、俺が普通に魔法と呼んでる能力だ、原理不明で再現できてしまったゲームとかの魔法の数々、いや魔法だけじゃないけど結果として魔力を使う行為はこの魔法扱いされているようだ、恐らくここに定義化されたことで制御がしやすくなっているんじゃないだろか。

 【並列思考】ラノベとかでよくあるもう一つの思考領域ってやつだろう、魔法の多重操作とかできるようになるかもしれない、でも俺の場合【コンソール】を使うためのもう一つの思考だろう。

 【コンソール】は俺が脳内ディスプレイと呼ぶアレの事らしい、たしかにコンソールパネルだ、チートコードは無いようだ、存在自体がチートじみてる気がするのはきっと間違いじゃないと思う、神様に警戒されるってどんだけよって話だ、今更ではある、神々にも受け入れられつつあるし頑張ろう。


 あとなんか【発酵】と【罠作成】が生えてる、罠はさっきの行動に間違いないだろう、【発酵】は黄色様の祝福だろうか? 堆肥作りに魔石を使う必要がなくなったようだ、上手く行けば俺が造る実から酒とか出来るだろうか? 俺飲めないからそのうち考えよう、でもアルコールはあると色々と便利かもしれない。


 どう考えてもスキルの増える速度がおかしい、おかしいとは思うが受け入れるしか無いだろう、言ってどうにかなるような()()の仕業じゃないだろうし、こっちにとってはありがたいばかりだ、感謝しておこう。


 (御主人様(マスター)、あちらがそろそろ動き出すようです)


 我に返って感知を見る、あれだけウロウロしていたドーム内の動きが静かになっている、逆にボスと思われる存在に動きがある、どうやら準備が整ったようだ、ならばこちらも挨拶を用意しておこう。



 ドーム内の魔物が一斉に咆哮する、その圧力に耐えかねたのかドームを形作っていた魔力が内側から弾け飛び霧散する。


 <狂乱セヨ!>


 森にひときわ大きい思念が広がり魔物達が動き出す。

 遂に氾濫が始まった。

アイビーが強くなりすぎてる疑惑。

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