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実は嫉妬の炎だったらしいです。

つい出来心で…

 森の囁きの間隔は更に短くなった、次の段階へと移るのも近いだろう。

 ドームは更に広がり、魔物もどこからか更に集まっている、中の存在(ボス)も活発に行動(捕食)しているようだ、どうやら中央付近は少し窪んでいるようで未だに全体像が把握できない、まさか熱で溶けたとか蒸発したとかじゃないとは思うが。

 それにしてもでかい、まだ熱源だけでちゃんとした姿は判別できていないがそれでも推定5メートル以上はあるようだ、しかも高熱源体だ。

 何処かの森にあんなのと戦おうとか言ってる樹が居るらしいですよ、大丈夫? 燃えちゃわない? 近くでじっとしてたら炭化しそうな気もする、俺って炭化したらどうなるんだろう? 間違いなく柔軟性は無くなりそうだ、試してみたくは無い。

 

 アイビーはまだ起きない、だが蔦の根の方が完全に俺の身体の中に潜り込んで、外に出ている蔦部分が太くなった、俺の身体まで合わせて変化をはじめているようだ、あの時アイビーが申請してきた何かを許可した事と関係してるのかもしれない。


 俺はといえば相変わらずドームを観察しに行っては帰りに接近してくる魔物を殴っている、流石に近くで騒いで気づかれたくはないのでドームからは離れてるけど。

 囁きに対抗出来ていたのはあのムカデだけだったようで、あれ以降はひたすら一方的に狩ってるだけだ、今まで戦ったこともない奥地の魔物もたまにいるのでサンプル集めが捗ります、ただし意識がないから実際にはどんな攻撃をしてくるのか、とかが判らないのが残念だ、後全身を一気にストレージに放り込めないからサンプルも一度バラす必要がある、これも大変ではないが地味に面倒だ。

 戦闘方法自体はなんとかなる気はしてきた、森の中なら多少素早くても対処できるだろう、問題は平原に出て行かれたり飛ばれたりした時だ、平原に出たらこっちも見られる覚悟を決めるしか無いだろう、飛ばれたら諦めよう、樹にはどうしようもない。


 最近、というほどでもない、実はずっとなのだが、俺の最大の弱点は自分の能力を上手く使いこなせていない自分の頭ではないかと思っている、毎回言うけど考えたりするの苦手だし。

 なのでアイビーのサポートはありがたいが、今度はアイビーが優秀すぎて頼り切りだ、俺はと言うとヒャッハーしかしてない気がする、これはいけない、アイビーにも愛想を尽かされてしまう、もう少し考えて行動するようにしよう。


 俺の武器はこの世界の常識にない以前の記憶だ、誰かに改造された魂やそれを元に創られたこの世界の身体は自分でも何がどうなってるのか全く判らない分厄介だ。

 幸いこの世界は以前親しんだアニメやラノベやゲームの世界に似ている、この世界の魔術も存在するがこの世界の魔法よりも以前慣れ親しんだアニメやゲームの魔法のほうがはっきりとイメージできる、結果再現できたのが魔手であり俺がメインで使ってる<魔法>という力なのだが、ここで俺の間違った知識を正そうとする存在が現れた、新しくステータスに生えてきた【術理】さんである。


 俺は今まで摂り込んだ属性魔力を消費して属性魔法を使う、そんな風に思っていた、だがよく考えてみると消費するのは全部俺の魔力なのだ、しかも各属性ごと別にして魔力を溜め込んでいる気配はない。

 【術理】さんによれば人が魔術を使うときに作り出す属性の魔力は、魔力に触媒を足して魔力に属性を付与するものだ、その行動は俺の中では俺の魔力に俺の中の属性触媒を足して属性魔力とする、そうなると思っていた。

 ここで俺が解釈を間違えていた、自分で摂り込んだ属性魔力を蓄積したり、消費して魔法を使ったりするものだと思っていたのだ。


 体内の属性触媒は属性魔力として摂り込んできた物から分離されたものであり、俺の身体を形作る養分のなかの属性の力として蓄積されている物、であるらしい、これは俺の身体の魔力への適応、抵抗に反映する物らしく、多く摂り込んだほうがより有効に属性魔力が使え、属性攻撃に対して抵抗力が高まるという事だ。

 俺が魔法を使おうとする時はこの触媒がティーバッグとフィルターの役割を果たし、ここに自分の魔力を通すことで属性魔力へと変化させ用途に応じて濃度や純度を高めて使用される、【術理】さん曰く、体内に摂り込んだら一時的に減少することはあっても残った触媒を利用して回復し、基本は<大きく減少しない物>で、属性魔力を摂り込む行為とはつまりは俺という身体の各属性へ適応力の上限を上げる行為であったらしい。


 ただしここでいくらでも取り込めるのか、というとやはりというべきかそんな事はなく、普通は種族や能力で限界値が必ずある、ゲーム的に言えば属性MAXになるまでステを上げてもその数値は種族で99だったり20だったりするわけだ、ついでにいえば環境や能力で若干の補正がつくものらしい、ちなみに先日出遭ったような[普人種]と呼ばれるこの世界の一般的な人種の上限はかなり低いと言われてるらしい。

 で、俺の場合だが、この上限がよくわからない、普通判るものでもないらしいから当たり前の事だが、なんたって新種族<彷徨う魔樹>だから過去の統計データとかが一切ない、どの属性に強いとか弱いとか全くの不明なのだ、ひょっとしたら火属性を強化したら常時燃える樹になるかもしれない。

 だからとりあえず言える事は一つ、なら限界になるまであげてみようぜ! である。

 神々が警戒するくらいの能力はあるはずなのだ、成長したら竜種ですら勝てないとまで言われたし、ならばここはどんどん摂り込んでいくべきだろう、そして成長するべきだろう、あのドーム内の存在(ボス)の属性も、根刮ぎ戴くつもりで頑張ろう。

 幸いというべきかあのドーム内の存在(ボス)に対して厄介そうだ、とは思っても怖いという感情は起こらない、散々誰かに弄られたせいだろうか? 多分出合い頭に魂を砕いてくるような怖い存在に事前に出遭っていたせいだろう、慣れって凄い。


 魔法を訓練する、【術理】さんによるサポートのおかげで魔力制御が格段にしやすくなっている、魔法の維持も楽だ。

 土壁を作る、維持したまま形を操作する、櫛の様に間を間引き複数の柱にする、根元の部分を繋いでおけばこれはまだ一つの魔法だ、よく使う土槍だって土中で繋がっている、最初のイメージが剣山だったせいか土の中で繋がった、効果範囲を指定して何もせず発動するとその範囲が土槍だらけになる、ターゲット指定と組み合わせると指定本数で伸ばせるとわかったのはあの脳内ディスプレイのおかげだ。

 目の前で土がグネグネと形を変えてゆく、これ人の形にしたらゴーレムとか言って遊べそうだ、自立稼働しないから操作めんどいけど、面白くなってきたので遮光器土偶を作ってみる、そこから埴輪へ、スフィンクスはダビデ像へと変わり、座り込み考える人から涅槃像へ、もう一度立ち上がって手を天に掲げて世紀末な覇王さんに、割と短時間で見られる形で変化させられるようになってきた。

 この訓練方法は面白いし魔力消費も大きいから今後も継続してやろう、最近は魔力を枯渇させることも難しくなってきた、次はロボに挑戦だ、土からなら前世で見たあの理不尽な3段変形だって可能なはずだ、分離合体は無理だからモーフィングだ、真の土塊魂を見せるときだろう、きっと今がその時だ、本当かどうかは知らない、これ下手に動かすと折れそうだ。


 ─ 面白いことをしておるな


先程から(スフィンクス辺りから)気配はしていた、だが今声と同時に突然横に姿が現れる。


 『魔力を操作する訓練の筈だったんですが面白くなりまして』


 ─ なかなかどうして、見事なものよ、造形もだが魔力でそのようなことが出来るとはな、土の術に見えるがそのような術は見たことがない


 『ありがとうございます、豊穣の黄、様であってますかね』


 淡い黄のローブを纏った白髪白髭の老人、細身ではなくガッチリとしている、アルプスの山小屋にでもいそうな雰囲気、杖代わりに手に持つのは草刈り用の大鎌だ、死神が持つデスサイズといったほうが解りやすいだろうか、でも斧とかのほうが似合いそうだ。

 

 ─ いかにも、儂が育む存在(モノ)、刈り取る存在(モノ)、豊穣の黄よ、お主の有り様は見ていて好ましい、よろしくな面白き姿になりし存在(モノ)


 姿が判ったので黄色様の像を作ってみる、モジャっている髭がなかなか難しい。


 ─ ほっ、これは儂か! なかなか良く出来ておる、貰ってもよいかな?


 『造形がまだ甘いですがよろしいのですか?』


 ─ 構わぬよ、人の造る物より儂に似ておる、素材が純粋に土だけと言うのもまた面白い


 言うが早いか手に持っていた大鎌で根本から切り離される、形は崩れること無く維持されたままだ、さすが神様、そのままどこかに消え去る、ストレージに似たような能力があるのかもしれない。

 折角の機会なので森について聞いてみよう、たぶん無理だとは思うが。


 『森の件についてお伺いしても?』


 ─ 本来なら教えられん、だが今回はお主にも若干関係があるのでな、少しだけ教えておこう

 

 なんか俺関係者扱いだった!


 ─ 今起こっておるのは森の氾濫の兆候よ、魔物達が外に飛び出し、この森を外に広げる為にの、本来ならそれだけなのだがの、今回は()の奴がお主を試すと言い出してな、氾濫を率いる頭に少し肩入れしおった


 『ひょっとしてあの魔力ドームの中の()()ですか』


 ─ うむ、もともと騒ぎ好きな()の奴じゃがな、お主あまり赤の力を使わんだろう? 色々と難癖つけておるが、要は嫉妬しておるのよ


 嫉妬かよ! いや神様らしいといえば神様らしいのか、前世の神様達もやたらと嫉妬したりすねたり大変な存在だった覚えがある、多神教圏だったしな俺。

 でも赤の力は簡単に言えば火の魔法だ、森で使うには制限が多すぎる。


 『とはいえ赤の力は森の中で迂闊に振るうわけにもいかないと思うのですが』


 ─ 奴が司るは破壊と再生、特にこの森は多少焼いても再生すると言うてな、いつもそれで()()とも揉めておるのだが、まあそういう訳でちぃとばかり今回はいつもの森の氾濫と違うのよ


 うわぁ……面倒くさいわ赤様、これ森が焼かれても気にしないってことじゃないか、何てことしてくれてんの、神様というのに大人げない。

 黄の爺様も困り顔だ、なんとなくだが腕白が過ぎる孫を抱えたおじいちゃんぽく見える、見た目だけならそのままだな。


 『これが赤様からの試しだと言う事なら尚の事負ける訳には行かなくなりましたね』


 ─ 今のお主を見る限り別に心配はしておらんが、迷惑をかけるの


 いや、この世界に来た時からある意味覚悟はしてたんですけどね、それでも神様から敵対するって言われないだけマシなんだと思う。


 『いや気になさらず、いつかこう言う事もあるだろう、とはこちらに来た時から覚悟していましたから』


 ─ ふむ、ではお主を祝福しよう、新たに大地に芽吹きし存在(モノ)


 ─ お主の有り様は皆見ておる、()の奴も嫉妬はしておるがその有り様は認めておる、此度の件()がやたらと怒っておったわ、()は面白がっておったがの


 ああ、簡単に想像できる、1人でお茶を飲みながらブツブツ言って怒る白の女神とテーブルに両肘をついてニコニコではなくチェシャ猫のようにニヤニヤしてる黒の女神、多分翠様は我関せずだろう。


 『感謝いたします、今回の件出来るだけ他への被害を抑えられるよう頑張ります』


 ─ お主は出来ることを考えれば良い、森が溢れて一部に破壊が起こってもソレ自体は繰り返されてきた世の摂理よ、()()()()()()()が現れぬ限り其れは変わらぬ


 ─ 励むといい、それと像を作る腕が上がったらまた見せてくれ


 アルプスの死神農夫な黄色様の姿が消え去り気配も霧散する、どうやら黄色様にも受け入れてもらえたようだ、像も気に入ってもらえたようだ、確かあの時造ってたのロボだった気がするが、気に入っちゃったんだろうか?


 しかし森の氾濫のボス級に赤様が肩入れとは、どおりで体温が高いはずだよ。

 面倒ですよ神様。


 

もし魔改造フィギュアとか造っていたら見られていた。

ダビデ像はしっかり見られた。

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